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王太子殿下の答え②
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聖女様への恋心を否定したような形の王太子殿下に、私は何とも言えない気持ちになりました。
ウェンディのあの苦しみは何だったのでしょうか。
ですが、今はまだ質問を続けなくてはなりません。
「二つ目の質問です。ジュリアーノ王太子殿下は、元婚約者の公爵令嬢様のことをどうお考えなのですか?」
王太子殿下がウェンディのことを大切に思ってくれていないことは、痛いほど分かっています。
聖女様を想っていた頃は、憎まれていたといっても過言ではないでしょう。
ですが今、聖女様への気持ちが消えた今、ウェンディのことをどうお考えなのかお答えいただきたいのです。
今さら大切だとか、申し訳なかったとか、そんな偽善な言葉は要りません。
何故、婚約解消をせずに殺すという選択を取ったのか。
今回の王太子殿下は、まだウェンディを殺していませんが、それは私が聖女様のお体に乗りうってしまったからだと思います。
そして、眠って目覚めないウェンディとの婚約はお父様により解消されました。
ですが聖女様を想っていた頃は、きっとウェンディの存在を疎ましく思っていたはずです。
王太子殿下は、私の問いに目を見開き、そしてためらうように視線を泳がされました。
「元婚約者・・・ウェンディ・レンブラン公爵令嬢は・・・被害者だ。僕が聖女に惹かれたから、彼女を蔑ろにした。そして、何があったのかは分からないけど、今の彼女は眠りから醒めないらしい。そのことで、公爵から婚約の解消を求められて、父と母がそれを受け入れた。僕は、聖女に夢中だった頃、ウェンディのことを疎ましくすら思っていた。彼女がいなければ、聖女を婚約者にできるのにと愚かにも思っていた」
「もし、彼女が目覚めたらどうなさいますか?」
「そうだな・・・謝りたいが、ウェンディは僕に会いたくなどないだろう。それに、赦されようする僕を公爵夫妻もウェンディに会わせないと思う」
そう・・・ですね。
お父様とお母様には、私が冤罪で殺されたことを話しています。
ですから、絶対にジュリアーノ王太子殿下を赦すことはないでしょう。
私も・・・
たとえ謝罪されても、赦すことはできないと思います。
目の前の王太子殿下が、私を殺した王太子殿下ではないとしても、それは私が聖女様のお体に入っていたから。
もし、私がウェンディのまま生き戻っていたなら、きっと王太子殿下は同じことを繰り返したでしょう。
「そうですか。わかりました。では、最後の質問です」
ウェンディのあの苦しみは何だったのでしょうか。
ですが、今はまだ質問を続けなくてはなりません。
「二つ目の質問です。ジュリアーノ王太子殿下は、元婚約者の公爵令嬢様のことをどうお考えなのですか?」
王太子殿下がウェンディのことを大切に思ってくれていないことは、痛いほど分かっています。
聖女様を想っていた頃は、憎まれていたといっても過言ではないでしょう。
ですが今、聖女様への気持ちが消えた今、ウェンディのことをどうお考えなのかお答えいただきたいのです。
今さら大切だとか、申し訳なかったとか、そんな偽善な言葉は要りません。
何故、婚約解消をせずに殺すという選択を取ったのか。
今回の王太子殿下は、まだウェンディを殺していませんが、それは私が聖女様のお体に乗りうってしまったからだと思います。
そして、眠って目覚めないウェンディとの婚約はお父様により解消されました。
ですが聖女様を想っていた頃は、きっとウェンディの存在を疎ましく思っていたはずです。
王太子殿下は、私の問いに目を見開き、そしてためらうように視線を泳がされました。
「元婚約者・・・ウェンディ・レンブラン公爵令嬢は・・・被害者だ。僕が聖女に惹かれたから、彼女を蔑ろにした。そして、何があったのかは分からないけど、今の彼女は眠りから醒めないらしい。そのことで、公爵から婚約の解消を求められて、父と母がそれを受け入れた。僕は、聖女に夢中だった頃、ウェンディのことを疎ましくすら思っていた。彼女がいなければ、聖女を婚約者にできるのにと愚かにも思っていた」
「もし、彼女が目覚めたらどうなさいますか?」
「そうだな・・・謝りたいが、ウェンディは僕に会いたくなどないだろう。それに、赦されようする僕を公爵夫妻もウェンディに会わせないと思う」
そう・・・ですね。
お父様とお母様には、私が冤罪で殺されたことを話しています。
ですから、絶対にジュリアーノ王太子殿下を赦すことはないでしょう。
私も・・・
たとえ謝罪されても、赦すことはできないと思います。
目の前の王太子殿下が、私を殺した王太子殿下ではないとしても、それは私が聖女様のお体に入っていたから。
もし、私がウェンディのまま生き戻っていたなら、きっと王太子殿下は同じことを繰り返したでしょう。
「そうですか。わかりました。では、最後の質問です」
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