入れ替わり転生〜生まれ変わったら、私を殺した婚約者の最愛になっていました〜

みおな

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王太子殿下の答え③

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「それでは、最後の質問です。聖女様を愛していたとしても、婚約者様との婚約を解消してから交際なさらなかったのですか?私にこんなに真摯に向かい合ってくださっているのに、どうして婚約者の方には真摯に向き合えなかったのですか?」

 私の問いに、王太子殿下は黙り込んでしまわれました。

 どうしてと問われても、理由などないのかもしれません。

 王太子殿下は、ウェンディのことを軽んじていらしたということなのでしょう。

 それとも、これを機会に殺したいと思うほど、憎まれていたのでしょうか。

 しばらく考え込まれた王太子殿下は、やがてゆっくりと首を横に振られました。

「そう言われても仕方ない。あの頃の僕は、。婚約者のことを邪魔だと思い、聖女と結ばれたいとしか考えていなかった。異世界人の聖女を王太子妃にできないと父に言われても、マナーのひとつも身についていない聖女に王太子妃は無理だと母に言われても、全く理解しようとしていなかった。今でも、よく分からない。何故、あれほどまでに聖女に傾倒したのか」

「そう・・・ですか。ご自分で説明できない何かがあったのかもしれませんね」

 王太子殿下にそうお伝えしましたが、私自身不可解なことだと感じました。

 何故、ジュリアーノ王太子殿下を後悔させなければ、ウェンディの体に戻れないのでしょうか。

 何故、私が殿下を責めることを躊躇ったことで、ウェンディではなく皇女様のお体に入ったのでしょうか。

 ジュリアーノ王太子殿下が、最愛の相手から拒絶されて後悔しなければ、私が元の体に戻れないとは、何故なのでしょうか。

 そもそも、何故私は生き戻ったのでしょうか。

 死にたかったわけではありませんが、これではまるで、ジュリアーノ王太子殿下を絶望させるために生き戻ったようではありませんか。

 女神様は一体、何をお考えなのでしょうか。

 多くの疑問が頭の中に浮かび、このまま王太子殿下を責めることが正しいのか、分からなくなってしまいました。

 こうやって迷えば、私はウェンディに戻れなくなるのかもしれません。

 それは・・・
仕方のないことだとしても、お父様やお母様、そしてラミリスのおじ様やおば様を悲しませることになるのは、嫌です。

 それに、このお体はユエリティ皇女殿下にお返ししなければなりません。

 もし、全てを明かして王太子殿下が後悔なさらなかったとしても、せめてこのお体だけは皇女殿下にお返しできるように女神様にお願いしましょう。

 どんな結果になるとしても、私は私らしく、胸を張れる自分でいられるように。
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