嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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ルイス様の気持ち

「嫌・・・嫌いに・・・」

 世の中に絶望したような表情の、ダニエル王太子殿下。

 ちょっとだけ・・・
かわいそうに思えるわ。ほんのちょっとだけだけど。

 だって自業自得だもの。
ルージュ様のためとはいえ、他人の婚約を勝手に推し進めようとしたのよ。

 ダニエル王太子殿下は、それが可能な権力を持っているんだもの。

 自分の力の及ぶ大きさを、ご理解されるべきだわ。

「る、ルージュ・・・」

「ジュエル様とウイングバード様に、キチンと謝罪なさって?わたくし、大切なお友達を失ってしまうところでしたわ」

「・・・ジュエル・リビエラ嬢。ルイス。申し訳なかった。本人の気持ちを無視して、自分勝手なことを言った。二度とこんなことは口にしない。だから、許して欲しい」

 ダニエル殿下は、その頭を深々と下げた。

 私は、伯爵令嬢として権力者とは距離を置きたいと考えていた。

 それは身分はともかく、王太子妃教育を終えている私を、それこそ婚約者にと考える高位貴族の方がいることを理解しているからだ。

 教育を終えている『能力』は認めるけど、伯爵令嬢という『身分』を見下される。

 それが、嫌だから。

 だから、身の丈に合った婚約をしたいと考えている。

 やっと出来たお友達、公爵令嬢だけど私を見下したりしないルージュ様とのことを盾に取って、私に身の丈に合っていない婚約を強要しようとした王太子殿下のことは好きになれない。

 なれないけど、この人のルージュ様至上主義で、ルージュ様に関することなら謝罪出来るところは、嫌いじゃない。

 友達にはなれない(上から目線だけど)けど、お友達の婚約者としてなら接しても良いかな、程度には。

「ハァ。今回だけだぞ?」

 ルイス様がため息を吐いている。
彼も従兄弟の暴走に巻き込まれた被害者だ。

「だけどお前だって、リビエラ嬢のこと可愛いって言ってたじゃないか」

「あのなぁ。確かにリビエラ嬢は可愛いが、彼女は王太子殿下との婚約を解消したばかりなのだろう?伯爵令嬢でありながら、王太子殿下との婚約関係は楽しいものばかりじゃなかったはずだ。リビエラ嬢が望んでくれるならともかく、俺の方からリビエラ嬢の意に沿わない婚約を申し込むつもりはない」

「・・・すまない、ルイス。リビエラ嬢も本当に申し訳なかった」

 ルイス様は、私の考えをちゃんと理解してくれているみたいだった。

 私としても、ルイス様は素敵な殿方だとは思うけど、今のところ恋愛感情は持っていないし、誰かと恋愛したい気持ちでもない。

 ルイス様は素敵な方だ。
その身分に合った、素敵なご令嬢と婚約して欲しいと思う。



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