嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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自分を嫌いにはなりたくない

「ルイス様ぁ。お昼をご一緒して下さい~」

「断る」

 今日ここ最近で見慣れた光景が、少し離れた席で繰り広げられている。


 私の婚約者話の後、ルイス様が私とお昼をご一緒することはなくなった。

 私は、ルージュ様とお昼をご一緒するのは一日おき、ご一緒しない時はリラとララや他のご令嬢とご一緒する。

 その時は、ルージュ様と王太子殿下、ルイス様は三人ご一緒だけど、私がルージュ様とご一緒する時はルイス様は他のご令息と食事をされていた。

 なんだか申し訳なくて、気にしていない旨をお伝えしたけど、自分が一緒にいると他のご令息が声をかけ辛いだろうからと、お断りされてしまった。

 確かに、婚約者のいない公爵令息がそばにいたら、よほど自分に自信がなければ声はかけてこないわよね。

 そう考えると、ルージュ様と親しくさせていただいている私が、ルイス様のそばにいるのも良くないかもしれない。

 王太子殿下とルージュ様は婚約者同士だから、隣にいるルイス様と私も婚約と思われてしまう可能性があるものね。

 ルイス様の良縁の邪魔になってしまうわ。

 そうして、距離を置くことになったのだけど・・・

 そうしたら、件の男爵令嬢様がルイス様に猛アタックするようになった。

 ドロシー・リエナイ様、だったかしら。
 フィヨルド侯爵家の嫡男の方と、お付き合いされているのではないの?

 ルイス様にどれだけ冷たくされても、全くめげないなんて、本当に心が強いわ。

 ある意味、あの強さは価値があると思う。
 あとは優秀さと身持ちの固さがあれば、ルイス様ももう少し優しくしてくれると思うわ。

 そんなことを考えながら、離れた場所からその様子を眺める。

「ジュエル様。お聞きしてもよろしいですか?」

「なぁに?リラ」

「ジュエル様はウイングバード公爵令息のことを、お好きではないのでしょうか?」

 リラにしては珍しく、込み入った発言だと思う。

 ララなら理解るんだけど。

「人としては好きよ。でも、リラが聞いているのは異性として好きかということよね?それで言うなら・・・どちらでもない、かしら」

「どちらでもないですか?」

「ええ。もし、お友達として時間を重ねたら異性として好きになっていたかもしれないわ。そばにいたら・・・好きになったかもしれない。でも、ルイス様は王太子殿下と従兄弟で、大公閣下のご子息。私はもう、自分を嫌いにはなりたくないの」

「自分を嫌いに?相手を嫌いにじゃなくですか?」

 リラの問いに頷く。

 相手を嫌いになるのは、いいの。
嘘を吐かれたり、裏切られれば嫌いになることもある。

 でも身分不相応だと、頑張ってもどうにもならないことで人に責められると、自分を嫌いになるの。

 どうして好きになったのかと、好きになった気持ちまで嫌になってしまうのよ。



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