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消え去った重石
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「閣下、謝罪は必要ありません」
謝ってもらうとしたら王太子殿下にだけど、殿下はすでに謝罪してくれている。
それに、別段王太子殿下は悪いことはしていない。
ルイス様の婚約者になって欲しいと言っただけだ。
ただ、私が政略結婚を、しかも高位貴族としたくなかっただけだ。
「私は、自分の身の丈に合った婚約をしたいと考えています。ですから、ルイス様は素敵な方ですが、私は婚約者にはなれないとお断りしただけです。むしろ私に気を遣ってルイス様にご迷惑を・・・」
「身の丈に合った、か。ひとつだけ言っておこう。君の婚約者が他の女性を選んだのは、彼が間違った行為をしただけであって、君にはなんの非もない。だから君が身分不相応だと思う必要はないし、君には君が思っている以上の価値がある。ああ。勘違いしないで欲しいが、別にルイスと婚約しろと言っているわけじゃない。ただ、この先君が誰かを好きになって、その相手が身分がある人間だとしても、それを理由に退く必要はないと言いたいだけだ」
ルイス様のお父様、王弟閣下は諭すようにゆっくりと語られた。
私は・・・
シリウス殿下がコンフォート様と逢瀬を重ねているのを見て、苦しかった。
あんなに辛い思いに耐えて王太子妃教育を頑張ったのに、裏切られたと思った。
婚約者になったとき、王妃様や周囲に言われたように、後ろ盾になる身分のある相手が良いなら、最初から私を選ばなきゃ良いのにって思った。
結局、身分に負けたんだってそう思った。
でも。
そっか。
単にシリウス殿下が浮気しただけなのね。
私に嘘を吐いて、浮気を繰り返していただけだったんだ。
ずっと胸の奥に乗っていた重石が、除かれた気がした。
私が伯爵令嬢なのが、悪いわけじゃないんだ。
一生懸命、王太子妃教育を頑張ったことは無駄なわけじゃないんだ。
私の中で知識となって、コンフォート様以上の価値になってるんだ。
だからといって、ルイス様の婚約者になろうとかそういうんじゃないけど、そんなことを気にして選択肢を狭めなくて良いんだ。
「ありがとう・・・ございます」
「うん。君が愛する相手と結ばれるように、心から祈っているよ。ルイスやダニエルとも友人として親しくしてやってくれると嬉しい。大丈夫。身分がどうこう言うような連中は、マクラーレン王国の三大公爵家が敵になると分かればすぐに逃げ出すさ。君は胸を張っていれば良い」
そう言うと、ルイス様のお父様は私の肩を叩いて、帰られて行った。
謝ってもらうとしたら王太子殿下にだけど、殿下はすでに謝罪してくれている。
それに、別段王太子殿下は悪いことはしていない。
ルイス様の婚約者になって欲しいと言っただけだ。
ただ、私が政略結婚を、しかも高位貴族としたくなかっただけだ。
「私は、自分の身の丈に合った婚約をしたいと考えています。ですから、ルイス様は素敵な方ですが、私は婚約者にはなれないとお断りしただけです。むしろ私に気を遣ってルイス様にご迷惑を・・・」
「身の丈に合った、か。ひとつだけ言っておこう。君の婚約者が他の女性を選んだのは、彼が間違った行為をしただけであって、君にはなんの非もない。だから君が身分不相応だと思う必要はないし、君には君が思っている以上の価値がある。ああ。勘違いしないで欲しいが、別にルイスと婚約しろと言っているわけじゃない。ただ、この先君が誰かを好きになって、その相手が身分がある人間だとしても、それを理由に退く必要はないと言いたいだけだ」
ルイス様のお父様、王弟閣下は諭すようにゆっくりと語られた。
私は・・・
シリウス殿下がコンフォート様と逢瀬を重ねているのを見て、苦しかった。
あんなに辛い思いに耐えて王太子妃教育を頑張ったのに、裏切られたと思った。
婚約者になったとき、王妃様や周囲に言われたように、後ろ盾になる身分のある相手が良いなら、最初から私を選ばなきゃ良いのにって思った。
結局、身分に負けたんだってそう思った。
でも。
そっか。
単にシリウス殿下が浮気しただけなのね。
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だからといって、ルイス様の婚約者になろうとかそういうんじゃないけど、そんなことを気にして選択肢を狭めなくて良いんだ。
「ありがとう・・・ございます」
「うん。君が愛する相手と結ばれるように、心から祈っているよ。ルイスやダニエルとも友人として親しくしてやってくれると嬉しい。大丈夫。身分がどうこう言うような連中は、マクラーレン王国の三大公爵家が敵になると分かればすぐに逃げ出すさ。君は胸を張っていれば良い」
そう言うと、ルイス様のお父様は私の肩を叩いて、帰られて行った。
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