嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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どうしてこんなことに④〜ドロシー視点〜

 私を馬鹿にする娼婦たちも、客も、主人も、みんな大嫌いだった。

 だから、私に買い手が付いたと聞いて、ザマアミロと思った。

 やっぱり見る人が見ればわかるのよ。

 どこの貴族家かしら?
どうせなら伯爵家以上がいいわ。あの女が伯爵令嬢だもの。

 今度こそ、あんな女この国から追い出してやるんだから!

 私を引き取りに来た黒服を着た背の高い男は無愛想だったけど、載せられた馬車はそれなりに乗り心地も良かったから、私は上機嫌だった。

 ええ。その屋敷に足を踏み入れるまでは。

 馬車で連れて来られた屋敷は、鬱蒼とした森の手前にあって、周囲には全く屋敷らしきものは見えなかった。

 ええーっ、なによ、ここ。
こんなに街から離れてたら、学園に通うのも大変じゃない。

 玄関を入って、広いそこでキョロキョロしていると、二階から一人の男性が私を見下ろしていた。

「ねぇ!あなたが私を引き取ってくれた人?ここってどこ・・・ぎゃっ!」

 問いかけていると、いきなり後ろから突き飛ばされて、床に転がった。

 そしてそのまま、背中を踏みつけられる。

「い、痛っ・・・!」

「誰が勝手に旦那様に声をかけて良いと言った?」

「かまわないよ、エグザス。元気でなりよりじゃないか。これなら思ってるより長くだね。早速、運んでくれるかい?」

「御意」

 エグザスと呼ばれた男は、私を踏みつけていた足を退けると、そのまま私の襟首を掴んでズルズルと引きずって行く。

「痛いっ!痛いってば・・・」

「ああ、忘れていた。エグザス、僕は処置しといておくれね」

「かしこまりました」

 この時点で、私はもしかしたらヤバいやつに引き取られたんじゃないかと、不安になった。

「わ、私やっぱり戻・・・きゃっ!」

 片手で持ち上げられると、固い・・・机のような物の上に放り上げられた。

 そのまま両手両足が、ベルトのような物で拘束される。

「ちょっと!む、むぐっ、ゴホッ!ゴホッゴ・・・!」

 鼻を摘んで、口の中に液体を流し込まれた。

 喉が焼けるように熱くなって、何か言おうとしても、声が出ない。

「・・・!」

 声にならない声をあげていると、さっきの男が白衣を着てやって来た。

「ああ。若いし長持ちしそうだ。じゃあ、まずはこれから試すかな。ああ。今から君は、新薬の被験者になるんだよ。良かったね?これから死ぬまで人の役に立てるよ」

 にこやかに言う男に、背筋がゾッとする。

 新薬の被験者?どういうこと?

 私を運んできた男が、手足を拘束したまま、着ていた服をナイフで切り裂いていく。

 露出した肌に、男はヘラのような物で何かを塗りたくった。

 数分後に、そこが真っ赤に爛れて、激しい痛みを感じた。

「・・・!・・・!」

「おや?これは駄目だね。キツすぎるみたいだ。調整しないと」

 男は紙に何やら書き込みながら、ブツブツと呟いている。

 なんでこんなことに!
こんななら、娼館にいた方がマシだったじゃない!
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