嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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お茶のお誘い

 ドロシーさんが引き取られたのは、新薬の研究をしている場所だそうだ。

 私が聞かない方が賢明だと判断した事案は、あっさりとルイス様のお父様であるウィングバード公爵閣下から情報開示されてしまった。

 別に聞く内容が怖いとかではなくて、それを王太子殿下に尋ねた場合、嬉々として聞きたくないことまで語りそうだったので、危機回避したに過ぎない。

 私はこれでも、王太子妃教育まで終えているわけで・・・

 あの教育はばかりを見ていてはやっていけないのだ。

 清濁併せ呑むくらいでないと、王太子妃や王妃はやっていけない、というのが先生方の意見だった。

 そこはまぁ、私もそう思う。

 だからこそ、シリウス殿下が男性としての機能を剥奪されたと聞いた時も「仕方ないわよね」としか思わなかった。

 浮気したのは殿下だし、正当な手順を踏まなかったのも殿下だ。

 結果がアレだとしても、それは王族として殿下が負う責任だろう。

 今回のドロシーさんのことにしても、諌められなかった親の責任や、ドロシーさんの嘘の裏付けを取らなかった本人たちの責任、そして自分の罪を理解出来なかった責任。

 それを負うのは、仕方のないことだと思う。

「そうですか」

「酷いとか言わないのかね?廃籍された令息令嬢の中には、自分はそこまで酷いことをした覚えはない、過剰な罰だと喚く者もいたようだが」

「・・・新薬の治験は、必要なことだと思います。いきなり患者で試すわけにはいかないものですから。その役目を罪を犯した者にすることは、やむ得ないことだと思います。それから、貴族や王族が、権利を得る代わりに義務を持つことは当然ではないでしょうか」

 綺麗な服に美味しい食事、贅沢な暮らし。それらは領民の血税で賄われているんだから、それに対する義務は発生するわ。

 その義務を果たさなかったり、罪を犯したなら、罰を受けるのは当たり前よね。

 それが人のためになる罰なら、処刑なんかより何倍も価値があると思うわ。

「・・・本当に

「閣下?」

「いや、何でもない。さて、もうひとつの要件だが、妻が君に是非会いたいと言っていてね。我が家に遊びに来てくれないか?」

 は?ウィングバード公爵家に?しかも、公爵夫人のお誘い?

「ひとりでは来にくいだろう。姉君と、ラウンディ公爵令嬢と一緒にどうかな?ラウンディ嬢が来ると必然的にダニエルも付いてきてしまうが」

「ふふっ」

 それは絶対について来るわよね。
王太子殿下は、ルージュ様をラウンディ家に帰すのすら嫌なんだもの。

 お姉様と一緒でも良いなら、お誘いにはお応えするべきよね。
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