嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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愚か者たちの末路〜王妃視点〜

 どうしてこんなことになったのか。

 大切な息子のシリウスが、十歳の時の婚約者選びで選んだのは、伯爵家の次女だった。

 可愛らしい娘だと思うし、リビエラ伯爵家は伯爵家のわりに力のある家だけど、出来ることなら公爵家か侯爵家の令嬢を婚約者にしたかった。

 現在は陛下も私もいるから良いけど、シリウスが国王に就く時に、後ろ盾として伯爵家では弱い。

 だけどシリウスがどうしても言うから、仕方なく認めた。

 その分、五年間みっちりとジュエルには王太子妃教育を叩き込んだ。

 そのおかげで、学園に入学する頃には王太子妃教育のほとんどを終えることが出来た。

 これで安心だと思っていたのに、シリウスが元平民の公爵令嬢と浮気?

 あの子が望んだから、ジュエルに教育を施したのよ?

 それにコンフォート公爵家の後ろ盾は出来るけど、エミリ自体は元平民じゃないの!

 どう頑張っても学園を卒業するまでに、王太子妃教育は終わらないわよ!

 陛下が婚約の解消を認めてしまい、シリウスの婚約者はエミリになった。

 仕方ないわ。
エミリでは正妃は無理だから、ジュエルを正妃にして、エミリは愛妾にしようと考えた、

 だけど、そんな私の考えは陛下によって全て無に帰された。

 シリウスは男としての機能を切り離され、コンフォート公爵家へ婿入りすることになった。

 あの子は私のただ一人の息子、王家の血を継ぐ子なのよ!

 陛下に訴えても認めてもらえず、シリウスは王宮内で軟禁され、私は離宮へと向かわされた。

 私は軟禁されているわけじゃないから、時々シリウスの様子を見に行った。

 昏い瞳をしたシリウスは、ジュエルへの執着を失っていなかった。

 いいえ。以前よりも強くなっていたかもしれない。

 そんな折、ジュエルが帰国する情報を得た。

 新たに王太子になった、コンフォート公爵家の元嫡男が王太子になった祝いのパーティー。

 そのパーティーに出席するらしい。

 そうよ。
ジュエルを疵モノにすれば、シリウスの嫁に出来る。

 シリウスが王太子に戻ることは出来ない。

 あの子の血を引く子供はもう、産まれることはない。

 それならばせめて、あの子にジュエルを与えてやりたい。

 そうよ。
ジュエルが浮気くらい目を瞑っていたら、シリウスは今も王太子で、ジュエルと結婚できたのよ。

 だから、シリウスを軟禁されている部屋から出した。

 息子の些細な幸せを叶えてやりたい。
それのどこがいけないの?

 ジュエルだって、シリウスのことを好きだったのでしょう?

 なのに、全てが失敗に終わってしまった。
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