嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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兄と弟①〜ハデス視点〜

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「兄上・・・お久しぶりです」

 記憶の中の姿より、随分と大きくなった気がする。

 でも、そうか。ゼウスももう十四歳だ。学園にも通っているんだよな。

 ウェルズ公爵家の次男、ゼウス。
嫡男である俺の五歳年下で、父親譲りの金髪に母親譲りの銀の瞳をしている。

 俺が留学と称して国を出たのは、十三歳の頃だから、もう六年も前か。

「ゼウス、元気そうだ。悪かったな、呼びつけて」

「いえ。兄上と一度ちゃんとお話するべきだと、国王陛下にも言われましたし、僕も兄上のお気持ちが知りたかったので」

 次男ばかりを優遇して甘やかす両親だが、ゼウスはとても真っ直ぐに素直に育ったみたいだ。

 確かに可愛げのない長男よりも、可愛がる気持ちはわからないでもないな。

「ゼウス。俺に遠慮せずに正直なことを言って欲しい。俺も、正直に話すから」

「はい」

「俺は、エレメンタル帝国で暮らしたいと思っている。ゼウスお前のことは可愛い弟だと思うが、両親のことははっきり言って他人だと思っている。あの人たちの後を継ぐどうこうより、そばにいたくない。俺の勝手な行動の尻拭いをお前にさせるようで悪いが」

 エレメンタル帝国の皇帝陛下にお願いすれば、男爵位くらいなら貰えるだろう。

 爵位にこだわらない、むしろ高位貴族に嫁ぐことを避けている彼女は、男爵なら受け入れてくれるだろうか。

 彼女のご両親と、何よりあの妹ラブの姉は認めてくれるだろうか。

 ゼウスは俺の告白に、少し考えこむような様子だった。

 俺としても五歳年下の弟に全て押し付けるような真似をしたいわけじゃないが、両親にも俺にも似ず、なゼウスなら立派な公爵になれると思う。

「兄上・・・ひとつお聞きしても?」

「ああ、なんだ?」

「兄上はウェルズ公爵家をどう思っていらっしゃいますか?僕の記憶では、物心ついた頃にはすでに両親は兄上をまるでいないもののように扱っていました。そんな両親を他人だという気持ちはわかります。いっそ潰れてしまえとは思わないのですか?」

 ゼウスの問いかけに苦笑してしまう。

「俺は確かに両親がどうなろうと何の興味もないが、ウェルズ公爵家に仕えてくれている使用人たちには感謝している。留学するまで、彼らは両親に隠れて俺の誕生日を祝ってくれた。彼らにとっては大切な給金なのに、みんなで持ち寄ってプレゼントを買ってくれた。彼らは俺にとって親以上に家族だった。彼らがいたから腐らずにいられた。それに、領民たちのこともある。潰れろとは思わないよ」

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