嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜

みおな

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手のひらの上②〜エレメンタル帝国皇帝陛下視点〜

 離縁戻って来たのだから、大人しくしていればいいものを。

 そもそも、罪人なんだぞ?

 罪人として他国に送られた孫娘が、罰を全うせずに戻って来たのだから、普通なら屋敷に軟禁するだろう?

 少なくとも社交には出せないし、皇城に近づけさせるなんて論外だ。

 侯爵も、前侯爵夫妻も、嫁が皇帝妃の妹だからとでも考えているのか?

 立ち入り禁止の居住区に立ち入り、他国の令嬢に絡み、挙句に手を上げようとした?

 どこまで愚かで自分勝手なんだ。

 このことで、侯爵や前侯爵夫妻がキチンと状況を把握し謝罪したなら、ロロナが修道院に行くだけでこの件を片付けても良い。

 だが、もしそうでないのなら・・・

 絶対に言い逃れ出来ない罪を犯させ、ラディシュ侯爵家そのものを潰す。

 国に害しかなさない侯爵家など、不要だ。

 リディアは離縁をさせ、実家の公爵家に戻す。

 実家で暮らすのが気後れなら、城に滞在させてもいい。

 結局、謝罪どころかコチラを責めて帰る奴らを見送った後、ラティエラ、ハデスとハンナを呼びを話した。

「あんな阿呆な侯爵家はこの帝国には必要ない。本人の資質もあるが、あれは親が甘やかした結果だ。放っておけば何かやらかし、今度は我が国に巨大な不利益をもたらすだろう。確実にする」

「・・・今までリディアのために我慢してくださっていたのに、申し訳ございません」

「どんなに愚か者でも、母が子を大切だと思うのは当然のことだ。だからできる限りリディアが悲しまないようにしてやりたかったが・・・俺の力不足だ。すまないな、ラティエラ」

 俺の謝罪に、ラティエラはゆっくりと首を横に振る。

「リディアも理解っていると思います。もし・・・あの子が離縁を拒み、夫や娘と共にいたいと望んだなら、叶えてやってくださいませ」

「今生の別れとなるぞ?」

「離縁の話はしてみます。ですが、本当に夫と娘を愛していて、離れることがあの子にとって死ぬより辛いことならば。せめて姉としてひとつくらい望みを叶えてやりたいのです」

「そうか」

 生きていれば、また幸せを感じる日が来るかもしれない。

 そんなことを言えるのは、他人だからだ。

 世の中には死ぬより辛いことだって、間違いなくある。

 俺がリディアに生きていて欲しいと思うのは、悲しむからだ。

 つまりは、。俺のエゴだ。

 だからリディアのことは、リディアが本当に望む決断を受け入れてやることにした。

 ラディシュ侯爵家には、未来はない。
それは、決定事項なのだから。
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