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最終話:家族なのだから
「ハデス様、そこにお座りください」
お仕事から戻り、着替える前にやって来たハデス様に、ベッド横の椅子に座るように促す。
ハデス様は、一瞬戸惑った顔をして・・・
自分が何かしたか考えるようなお顔をされた。
「ジュエル?」
「以前にも申し上げましたが、妊娠は病気ではありません。ですから、ハデス様に四六時中付いていただく必要はありません。むしろ、子供が生まれた時『お父様はお仕事を放り出してお前が生まれて来るまでそばにいたんだよ』とでもおっしゃるつもりですか?」
「・・・」
「私は、ハデス様のお優しいところが大好きです。私にとってもハデス様にとっても、妊娠は初めてのこと。不安になる私を気遣い、そばにいてくれようとすることは、とても・・・とても嬉しいです。ですが、お仕事はちゃんとなさって下さい。皇帝陛下にも皇妃様にも、とてもお力を貸していただいたのでしょう?私が妊娠したせいで、陛下たちの不興を買うようなことになったら・・・いえ、陛下はお許しくださるでしょう。でも、他の貴族たちは?他国出身のハデス様のことをよく思わない貴族も皆無ではないはずです。それらの声を無視することは、皇帝陛下の治世に影を落とします。もしそんなことになったら、私は自分を許せません」
ハデス様は、ジッと私の話を聞いてくださった。
私だって、ハデス様がそばにいてくれたら、安心する。
だけど、ハデス様が伯爵位をいただいたことをよく思わない貴族がいることも事実。
今は問題がないけど、彼らが追求してくる隙を与えたら、陛下だって庇いきれなくなる。
「すまない、ジュエル。俺は・・・ただ嬉しくて」
「ハデス様が喜んでくれて、私も嬉しかったです」
「そうだよな。生まれて来る子供に胸を張って背中を見せれる父親にならないとな」
「ふふっ。ハデス様は素敵な旦那様で、そして素敵なお父様ですわ。ごめんなさい、ハデス様のお気持ちを無碍にするようなことを言って」
私が謝罪すると、ハデス様は私の両手をご自分の両手で包んでくれた。
「ジュエルは間違っていない。馬鹿な真似をしていたら、義姉上に叱られるところだった」
「お姉様とハデス様は似てらっしゃるから、怒ったとしたらきっと似たようなことをしてお母様にでも叱られたのだと思いますわ」
「似てるかな?」
「ええ。私に過保護なところが」
顔を合わせて、微笑み合う。
きっとこの先も、こんな風に問題が起きることもあると思う。
だけど私とハデス様なら、話し合ってちゃんと解決していける。
だって私たちは、家族なのだから。
***end***
これにて完結です。
ジュエルとハデスは、たくさんの子供達に囲まれ、夫婦仲良く、家族仲良く暮らしていきます。
長い間、ジュエルの人生にお付き合いいただき、ありがとうございました。
お仕事から戻り、着替える前にやって来たハデス様に、ベッド横の椅子に座るように促す。
ハデス様は、一瞬戸惑った顔をして・・・
自分が何かしたか考えるようなお顔をされた。
「ジュエル?」
「以前にも申し上げましたが、妊娠は病気ではありません。ですから、ハデス様に四六時中付いていただく必要はありません。むしろ、子供が生まれた時『お父様はお仕事を放り出してお前が生まれて来るまでそばにいたんだよ』とでもおっしゃるつもりですか?」
「・・・」
「私は、ハデス様のお優しいところが大好きです。私にとってもハデス様にとっても、妊娠は初めてのこと。不安になる私を気遣い、そばにいてくれようとすることは、とても・・・とても嬉しいです。ですが、お仕事はちゃんとなさって下さい。皇帝陛下にも皇妃様にも、とてもお力を貸していただいたのでしょう?私が妊娠したせいで、陛下たちの不興を買うようなことになったら・・・いえ、陛下はお許しくださるでしょう。でも、他の貴族たちは?他国出身のハデス様のことをよく思わない貴族も皆無ではないはずです。それらの声を無視することは、皇帝陛下の治世に影を落とします。もしそんなことになったら、私は自分を許せません」
ハデス様は、ジッと私の話を聞いてくださった。
私だって、ハデス様がそばにいてくれたら、安心する。
だけど、ハデス様が伯爵位をいただいたことをよく思わない貴族がいることも事実。
今は問題がないけど、彼らが追求してくる隙を与えたら、陛下だって庇いきれなくなる。
「すまない、ジュエル。俺は・・・ただ嬉しくて」
「ハデス様が喜んでくれて、私も嬉しかったです」
「そうだよな。生まれて来る子供に胸を張って背中を見せれる父親にならないとな」
「ふふっ。ハデス様は素敵な旦那様で、そして素敵なお父様ですわ。ごめんなさい、ハデス様のお気持ちを無碍にするようなことを言って」
私が謝罪すると、ハデス様は私の両手をご自分の両手で包んでくれた。
「ジュエルは間違っていない。馬鹿な真似をしていたら、義姉上に叱られるところだった」
「お姉様とハデス様は似てらっしゃるから、怒ったとしたらきっと似たようなことをしてお母様にでも叱られたのだと思いますわ」
「似てるかな?」
「ええ。私に過保護なところが」
顔を合わせて、微笑み合う。
きっとこの先も、こんな風に問題が起きることもあると思う。
だけど私とハデス様なら、話し合ってちゃんと解決していける。
だって私たちは、家族なのだから。
***end***
これにて完結です。
ジュエルとハデスは、たくさんの子供達に囲まれ、夫婦仲良く、家族仲良く暮らしていきます。
長い間、ジュエルの人生にお付き合いいただき、ありがとうございました。
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