悪役令嬢発溺愛幼女着

みおな

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お勉強の時間発その頃のモンクスフード王国行き

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「くそっ!」

 机の上に積み上がった書類をはたき落とそうとして、隣の机で書類を仕分けしていた側近の血走った目を見て、ウッドは手を止めた。

 これをはたき落としたら、間違いなく側近はキレて出て行くだろう。

 側近の手助けがなくなれば、食事をする時間どころか睡眠時間も取れなくなるかもしれない。

 ウッドはもう一度悪態をつくと、再び書類に目を落とした。

 こんなはずではなかった。

 五歳の時に婚約者になったヴァイオレット・ナーシサス公爵令嬢は、紫色の髪と瞳をした可愛らしい令嬢だった。

 だが子供らしさがなく、いつも貼り付けたような笑顔のヴァイオレットのことが、ウッドはどこか苦手だった。

 だから学園に入学する時に、学園の中では距離を置くと宣言した。

 婚約者ヅラをするなと。
昼食も学園への送迎もしないと。

 そう言っても、ヴァイオレットはいつもと同じ表情で「かしこまりました」と言っただけだった。

 そんな中、フローラと親しくなった。

 フローラ・ヘザー。
ヘザー男爵家の令嬢で、可愛らしい容姿をしていた。

 いや。容姿だけならヴァイオレットも綺麗で、学園イチだと思う。

 だが、フローラのような明るく屈託ない笑顔がヴァイオレットにはない。

 フローラは貴族令嬢らしくなく、逆にそんなところがウッドの心を惹きつけた。

 男爵令嬢を王太子妃にすることは難しい。

 だから、学園に通う間だけの遊びのつもりだった。

 でも、ヴァイオレットからフローラとの距離を適切にと言われて・・・

 腹が立った。 

 その上、フローラがヴァイオレットにいじめられているのだと涙ながらに言うのを聞いて、許せないと思った。

 あんな人形のような女より、フローラの方が自分の隣には相応しい。

 そう思って、婚約破棄を宣言した後、ヴァイオレットを地下牢に放り込んだ。

 泣き喚いて許しを乞えばいい。

 自分が間違っていて、フローラをいじめたと認めればいい。

 そうすれば、この苛立ちも治まる。

 そう思っていたのに、ヴァイオレットは汚れ弱々しくなっているものの、謝罪もしない。

 苛立たしい日が過ぎていく中、フローラがヴァイオレットを牢から出して、国外追放にしようと言った。

 ああ。フローラは優しいな。
やっぱり、自分は間違っていない。

 ウッドは安堵した。

 フローラが、移送する騎士がかわいそうだから、汚れを取って上げた方がいいと言うので、水魔法を使ってヴァイオレットを洗い流した。

 ああ。
これでもヴァイオレットは、謝罪も礼も言わないのか。

 そう思いながら、フローラとその場から離れた。

 そのまま、ヴァイオレットが死ぬとは考えもせずに。
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