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ただひとりの家族
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「さてと、こんなものかな」
下位貴族や平民の聖女宛に、金貨とメモをそれぞれの部屋に置いた。
簡易な隠蔽魔法をかけて、三日連続で神に祈りを捧げたら見えるようにしておく。
私、こういう小細工好きなのよね。
教皇の部屋の金貨は、一週間はあるように見えるはずだから、メモを見れば隠蔽が解けるまでには聖女たちは教会を去るだろう。
私が張った結界も一週間なら問題ないし、ポーションも結界のおかげで必要性が少ない。
これで彼女らが、結界の維持やポーション作りに駆り出されることもないだろう。
え?メモに気づかなかったら?
それは自業自得だから、私の責任ではないよ。
聖女としての努力をしない者のことまでは、気遣えない。
そろそろ教会を出て、他国に向かおう。
この教会から一番近い国境まで、馬車で西に三日ほどだ。
東に向かえば、一週間ほどで。北は海路になるので、半月ほどかかる。
南だと山を越えることになるので、もっとかかるのだが。
「どこを目指すかな」
西の、一番近いグレイ王国はシンクレア王国と友好国だから、却下。
東のアーバンラマ帝国は、軍事国家だと聞く。
北のラプラス王国はシンクレア王国と友好国というわけではないけど、輸出入の国交はある。
やっぱりここは、全くシンクレア王国と国交がない南のカルディア帝国を目指すべきかな。
カルディア帝国とシンクレア王国を隔てる山脈は、馬車で通ることが出来ず、越えるとなると馬か徒歩になる。
そのせいで国交がなかった。
まぁ、馬車が使えないとなると、物資の移送すらできないから、無理はない。
カルディア帝国は自給自足で賄えるほど、農業も産業も発展している、らしい。
食べ物も美味しいと聞く。行ってみる価値有りまくりである。
というわけで、カルディア帝国を目指すことに決めた。
え?どうやって行くのかって?
そりゃ、徒歩でしょ。
私は転移魔法が使えるけど、あれは行ったことのある場所でないと転移出来ないからね。
目撃情報があると追跡されそうだから、隠蔽魔法を発動したまま王都を出た。
幸いにも、私は聖女としての魔法だけでなく、色々な魔法が使える。
あの王太子はもちろんだけど、国王陛下も教皇も知らないことだ。
だから、私が簡単に逃げ出せることに気付かなかった。
それでも私が逃げ出さなかったのは、私の大切なものがあったから。
「まだ目覚めない、か。治癒は終わってるから体力を戻してるとこなのかな」
懐に抱いた子猫はずっと眠ったままだ。
私と同じ、漆黒の毛並みの子猫。
私の大切な家族だ。
下位貴族や平民の聖女宛に、金貨とメモをそれぞれの部屋に置いた。
簡易な隠蔽魔法をかけて、三日連続で神に祈りを捧げたら見えるようにしておく。
私、こういう小細工好きなのよね。
教皇の部屋の金貨は、一週間はあるように見えるはずだから、メモを見れば隠蔽が解けるまでには聖女たちは教会を去るだろう。
私が張った結界も一週間なら問題ないし、ポーションも結界のおかげで必要性が少ない。
これで彼女らが、結界の維持やポーション作りに駆り出されることもないだろう。
え?メモに気づかなかったら?
それは自業自得だから、私の責任ではないよ。
聖女としての努力をしない者のことまでは、気遣えない。
そろそろ教会を出て、他国に向かおう。
この教会から一番近い国境まで、馬車で西に三日ほどだ。
東に向かえば、一週間ほどで。北は海路になるので、半月ほどかかる。
南だと山を越えることになるので、もっとかかるのだが。
「どこを目指すかな」
西の、一番近いグレイ王国はシンクレア王国と友好国だから、却下。
東のアーバンラマ帝国は、軍事国家だと聞く。
北のラプラス王国はシンクレア王国と友好国というわけではないけど、輸出入の国交はある。
やっぱりここは、全くシンクレア王国と国交がない南のカルディア帝国を目指すべきかな。
カルディア帝国とシンクレア王国を隔てる山脈は、馬車で通ることが出来ず、越えるとなると馬か徒歩になる。
そのせいで国交がなかった。
まぁ、馬車が使えないとなると、物資の移送すらできないから、無理はない。
カルディア帝国は自給自足で賄えるほど、農業も産業も発展している、らしい。
食べ物も美味しいと聞く。行ってみる価値有りまくりである。
というわけで、カルディア帝国を目指すことに決めた。
え?どうやって行くのかって?
そりゃ、徒歩でしょ。
私は転移魔法が使えるけど、あれは行ったことのある場所でないと転移出来ないからね。
目撃情報があると追跡されそうだから、隠蔽魔法を発動したまま王都を出た。
幸いにも、私は聖女としての魔法だけでなく、色々な魔法が使える。
あの王太子はもちろんだけど、国王陛下も教皇も知らないことだ。
だから、私が簡単に逃げ出せることに気付かなかった。
それでも私が逃げ出さなかったのは、私の大切なものがあったから。
「まだ目覚めない、か。治癒は終わってるから体力を戻してるとこなのかな」
懐に抱いた子猫はずっと眠ったままだ。
私と同じ、漆黒の毛並みの子猫。
私の大切な家族だ。
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