聖女の地位も婚約者も全て差し上げます〜LV∞の聖女は冒険者になるらしい〜

みおな

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聖女の務め

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「皆さんにお願いしたいのは、聖女の務めを果たして欲しいということです」

 シンクレア王国から連れて来た聖女は、下位貴族の聖女が九名。平民の聖女が六名。

 私がいた頃は倍はいたから、おそらく逃げ出したんだと思う。

 残った聖女は、少し年齢がいっていたり、逆に歳若かったり。

「あなた・・・ティアラさん、よね?やっぱり、生きていたの」

「ええ。おかげさまで」

「じゃあ、ももしかして貴女が?」

 四十歳代くらいの、聖女の問いに頷く。
 聖女は、結婚しても年を取っても、聖女なことに変わりない。

 ただ、聖女としての務めを果たさないと、聖力が減っていくだけだ。

 その聖女は、ずっと務めを果たし、その上結界石に聖力を込めていたからだろう。

 連れて来た聖女の中でも、トップクラスの聖力を持っていた。

「ああ。教皇がピンハネしてたお金を還元したやつですね。受け取ってくれました?あ。でもお金、シンクレアに置きっぱなしじゃ?」

「ピン、ハネ?え、ええ。受け取ったわ。残った私たちは、帰るところがないの。家族がいなかったり、いても戻りたくなかったり。だから、帰るところのある子たちに分けたのよ。だから、あそこには取りに戻りたいものは何もないわ」

 ああ。
それで、逃げずにそのままシンクレア王国に残ったの。

 それに下位とはいえ貴族のご令嬢は、勝手に国を出ることができない。

 家に戻れないなら、あんな王族相手だけど、それでも聖女としての務めを最後まで全うすることを選んだのね。

「それで、聖女の務めを果たせとは?私たちを連れ出して、何をさせようと言うの?そもそも、ティアラさん、貴女一体・・・」

「順に説明しますね。まず、公爵令嬢のマリアベルさんに筆頭聖女の座をお譲りしました」

「は?あの方、ろくに結界石に聖力も込められなかったと聞いたわ」

「そうそう。それに、なんだかわけのわからないことを言い出して。猫が来るとかなんとか。挙げ句に、自傷行為なのか怪我を負って。しかも瀕死の怪我で、今はポーションも足りないから治療もままなっていないと聞いたわ」

 聖女たちの会話に、ふとひっかかる。

 猫?自傷行為らしき怪我?

 それって、もしかして。

「それは、いつ頃の話ですか?」

「え?ええと、ティアラさんがいなくなって、教皇様が結界石に聖力を込めるようにってあの人を連れて行って・・・その数日後くらいだったかしら」

 なるほどね。
私の穴埋めに聖力を搾り取られて、イラついていた時に、クロのを見たのね。

 そしてに危害を加えた。

 そうなの。そっだったの。

 ポーションが足りない今は、いくら公爵令嬢といえど手に入れられないでしょうね。
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