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悪役令嬢回避編
攻略対象とは
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攻略対象。
つまり、ヒロインに陥落される屑たちである。
いや。乙女ゲームの中では別段、屑ではなかった。
普通に、ヒロインと出会い、恋をして、それでも身分差とかを乗り越えて結ばれる。
いわゆる、純愛?だった。
それが、ライトノベル版になった途端、婚約者がいるのにヒロインに堕ち、挙句に婚約者を蔑ろにして断罪するクズに成り下がる。
誰も彼も、自分の身分も立場も考えず、聖女とはいえ平民の少女に目をハートマークにして、べったりで、普通に考えたら100年の恋も冷めるやつである。
ただ、どの婚約者も、自分の婚約者の目が覚めるのをただ待っているという、辛抱強さがあった。
あの乙女ゲームの世界の中で、女性、しかも下の身分の者から、婚約解消を申し出ることは難しい。
婚約者は、あからさまに浮気をしているのに、その証拠を突き付けたとしても令嬢自体にもキズが付く。
とことん攻略対象に甘い世界である。
まぁ、だからこそ、アニエスたちは耐えたのだろうし、アニエスの死後、リリウム公爵家は王家と対立したのだろう。
アニエスが耐えたのは、あの王太子のことを本当に好きだったから。
ハイドランジア王国王太子、マリウス・ハイドランジア。
金髪碧眼の、キラッキラの王子様だ。
THE王子!って見た目で、生まれた時からのアニエスの婚約者。
初顔合わせの4歳の時、アニエスはキラキラ輝く王子様に、一目惚れした。
彼が自分の婚約者であることを心から喜び、彼に好かれるように、従順に振る舞った。
厳しい王太子妃教育も、文句も言わずに必死に頑張り、自身の容姿や振る舞いも、マリウスに相応しくあるように努力していた。
それほどまでに・・・
アニエスは、マリウスのことが好きだったのだ。
学園に入学するまでは、マリウスも淡々とではあるが、アニエスを婚約者として大切にしていた・・・んだと思う。
ライトノベルの中では、回想としてアニエスの心情は書かれていたが、マリウスの気持ちは書かれていなかったから、予想でしかないが。
マリウスの態度が変わってくるのは、学園に入学して、ヒロインと出会ってからだ。
アニエスを登校時にエスコートすることはなくなり、昼食も別、帰りのエスコートももちろんなく、それまで休みの日に公爵家を訪れていたのもなくなる。
公爵家を訪れないことを不審に思った両親にアニエスは「学園に通っている間はお互い忙しいので、わたくしがお断りしたのです」などと言って、マリウスが責められないようにしていたのだ。
そして、心の中でずっとずっと思っていた。
学園を卒業すれば、マリウス様と自分は婚姻を結ぶのだから、今はマリウス様の望むように過ごして頂こう、と。
自分はマリウス様のことを出会った時からお慕いしているけれど、マリウス様にとって自分は政略結婚の相手。
学生時代くらい、お好きな方と過ごさせて差し上げよう、と。
まさか、婚約破棄を突きつけられるとは思いもせずに。
つまり、ヒロインに陥落される屑たちである。
いや。乙女ゲームの中では別段、屑ではなかった。
普通に、ヒロインと出会い、恋をして、それでも身分差とかを乗り越えて結ばれる。
いわゆる、純愛?だった。
それが、ライトノベル版になった途端、婚約者がいるのにヒロインに堕ち、挙句に婚約者を蔑ろにして断罪するクズに成り下がる。
誰も彼も、自分の身分も立場も考えず、聖女とはいえ平民の少女に目をハートマークにして、べったりで、普通に考えたら100年の恋も冷めるやつである。
ただ、どの婚約者も、自分の婚約者の目が覚めるのをただ待っているという、辛抱強さがあった。
あの乙女ゲームの世界の中で、女性、しかも下の身分の者から、婚約解消を申し出ることは難しい。
婚約者は、あからさまに浮気をしているのに、その証拠を突き付けたとしても令嬢自体にもキズが付く。
とことん攻略対象に甘い世界である。
まぁ、だからこそ、アニエスたちは耐えたのだろうし、アニエスの死後、リリウム公爵家は王家と対立したのだろう。
アニエスが耐えたのは、あの王太子のことを本当に好きだったから。
ハイドランジア王国王太子、マリウス・ハイドランジア。
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THE王子!って見た目で、生まれた時からのアニエスの婚約者。
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彼が自分の婚約者であることを心から喜び、彼に好かれるように、従順に振る舞った。
厳しい王太子妃教育も、文句も言わずに必死に頑張り、自身の容姿や振る舞いも、マリウスに相応しくあるように努力していた。
それほどまでに・・・
アニエスは、マリウスのことが好きだったのだ。
学園に入学するまでは、マリウスも淡々とではあるが、アニエスを婚約者として大切にしていた・・・んだと思う。
ライトノベルの中では、回想としてアニエスの心情は書かれていたが、マリウスの気持ちは書かれていなかったから、予想でしかないが。
マリウスの態度が変わってくるのは、学園に入学して、ヒロインと出会ってからだ。
アニエスを登校時にエスコートすることはなくなり、昼食も別、帰りのエスコートももちろんなく、それまで休みの日に公爵家を訪れていたのもなくなる。
公爵家を訪れないことを不審に思った両親にアニエスは「学園に通っている間はお互い忙しいので、わたくしがお断りしたのです」などと言って、マリウスが責められないようにしていたのだ。
そして、心の中でずっとずっと思っていた。
学園を卒業すれば、マリウス様と自分は婚姻を結ぶのだから、今はマリウス様の望むように過ごして頂こう、と。
自分はマリウス様のことを出会った時からお慕いしているけれど、マリウス様にとって自分は政略結婚の相手。
学生時代くらい、お好きな方と過ごさせて差し上げよう、と。
まさか、婚約破棄を突きつけられるとは思いもせずに。
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