「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

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悪役令嬢回避編

ヒロインとは

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 乙女ゲーム『青の箱庭』のヒロイン。
彼女は聖女として、攻略対象たちが通う魔法学園に入学してくる。

 平民のヒロインは、天真爛漫で、喜怒哀楽を表情に出さない淑女として育ったご令嬢を見てきた攻略対象たちは、彼女のその屈託のない笑顔や、涙に惹かれていく。

 婚約者のいる相手に、ペタペタと!とは思うけど、平民の彼女からしたら、それは意図してのことではないのかもしれない。

 乙女ゲームの中でのヒロインには、好感が持てた。
 明るくて、優しくて、元気で、頑張り屋で。しかも容姿も可愛い。

 アニエスのように、超絶美少女ではないけれど、現世でいうところのアイドル並みの可愛さであった。

 アニエスは、ライトノベルの中で「表情の変わらないただの綺麗な人形」と婚約者に罵られていたけど、それはアニエスの受けた淑女教育と王太子妃教育の賜物なだけだ。

 淑女たる者、人前で感情を見せるものではない。

 だから、アニエスは婚約者がヒロインと仲良くしているのを見ても、涙を流したりしない。

 心の中で「やめて、お願い」と涙を流しながら、平気な顔をする。

 王太子である婚約者や、高位貴族である弟クランが、淑女教育のことを知らないわけがない。

 知っていて、ヒロインに陥落したことでそれを忘れているのだ。
 婚約者が、姉が、自室の誰もいないベッドの中で、涙を流していることに気付こうともしない。

 ライトノベルの中で、ヒロインは決してアニエスたち婚約者を貶めようとしたりしない。

 貶めるのは、ヒロインの魅力に腑抜けになった攻略対象たちであり、それゆえにアニエスの死後にハイドランジア王国は滅びるのだ。

 それは当たり前だろう。
攻略対象たちの婚約者は、高位貴族のご令嬢ばかり。

 その家と家の繋がりで結ばれた婚約者を、罪もないのに勝手に婚約破棄した挙句に断罪して、しかも王太子が筆頭公爵家のご令嬢を死なせたのだ。

 どんどん断罪されていく攻略対象たちの中、ヒロインは最後まで王太子に寄り添い、そして宮に押し行って来た者たちの手にかかって命を落とす。

 ある意味、純愛に見えるが、ヒロインは途中で気付こうともしなかったのだろうか?
 自分が親しくしている相手には、婚約者がいることを。

「家のために、自分の気持ちを偽るなんて、かわいそう」

 それが、貴族として当然のことだと、誰も教えなかったのだろうか?

 そして、自分との恋が真実のものだと言うのなら、何故、婚約者との円満な婚約解消を提案しなかったのか。

 やっていたことは、ただの浮気だと思うのは、私がアニエスに転生したからだろうか?



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