「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい

みおな

文字の大きさ
84 / 128
聖女覚醒編

マリアの婚約者の座は誰の手に?

しおりを挟む
「というわけなのだけど」

 マリアを我がリリウム公爵家に招いて、マリウスとの話を伝えた。

 未だに、マリアの家を知らないせいだ。今回のこともあって教えて欲しいとは思っているが、さすがに今はマリアに負担をかけたくない。

 なので、カイに頼んで迎えに行ってもらった。

 ああ。何故、異性に怯えるマリアを迎えに行くのが、男性のカイなのかと言うと、助けられたのがカイだったからなのか、理由は不明だけど、カイにだけは怯えないのだ。

 カイは大人だからなぁ。
転生してからずっと一緒にいるけど、本当にカイって『できる男』だと思う。

 有言実行でマリアを救って来てくれたこともそうだし、マリウスと向き合う前の私のことも、いつもフォローしてくれていた。

 今も、諸事情を他の侍女とかに聞かれたくないため、カイがお茶の準備をしてくれたし。

 これで腕も立つんだものなぁ。
乙女ゲームの隠しキャラじゃないかってくらいのスペックだと思う。

 5歳年上で、濡羽色の髪に、黒曜石の瞳。肉食獣のようなしなやかな体躯に、大人の色気を感じさせるイケメン。

 うん。これで、隣国の王子だったりしたら間違いなくシークレットキャラよね。

 まぁ、そうじゃないことはわかってるけど。
 隣国というか周辺国の王族の顔は、勉強済みだ。腹違いで隠されてたとかなら、わからないけど。

「婚約者ですか?平民の私に?」

 マリアが戸惑っている。
あー。確かに、平民の人たちは、婚約というより、恋人になったりお見合いとかで結婚するから、婚約者って縁がないかも。

「別に恋人でも構わないの。でも、名前を借りるとしたら高位貴族の方になると思うから、婚約者にした方が受け入れられやすいと思うの」

「でも、そんなご迷惑をおかけするわけには・・・」

「迷惑なんかじゃないわ。むしろ、マリアにしたら余計なお世話かもしれないけど。マリア、わたくしね、マリアと会えないと寂しいの。だからこれは、わたくしの我儘なの」

「そんなっ。アニエス様にそう言っていただけて、私嬉しいです。今日だって、私が家をお教えしないせいで、わざわざカイさんに迎えに来ていただいたりして」

 少し離れた位置に控えるカイに視線を向けるマリアに、おや?と思う。

 少し頬が赤くない?
え?もしかしてマリア、カイのこと「ちょっといいな~」とか思ってる?

 いや。私の気のせいかな?
私はちょっと、だいぶ、ある意味、そういう方面ニブイらしいからなぁ。

 マリウスが言うんだよね。
「アニエスは人の好意に鈍いからね」って。
 そんなことないと思うんだけどなぁ。
まぁ、マリウスの溺愛から目を逸らしてた私だから、マリウスにそう言われるのも仕方ないんだけど。
しおりを挟む
感想 324

あなたにおすすめの小説

転生したら悪役令嬢だった婚約者様の溺愛に気づいたようですが、実は私も無関心でした

ハリネズミの肉球
恋愛
気づけば私は、“悪役令嬢”として断罪寸前――しかも、乙女ゲームのクライマックス目前!? 容赦ないヒロインと取り巻きたちに追いつめられ、開き直った私はこう言い放った。 「……まぁ、別に婚約者様にも未練ないし?」 ところが。 ずっと私に冷たかった“婚約者様”こと第一王子アレクシスが、まさかの豹変。 無関心だったはずの彼が、なぜか私にだけやたらと優しい。甘い。距離が近い……って、え、なにこれ、溺愛モード突入!?今さらどういうつもり!? でも、よく考えたら―― 私だって最初からアレクシスに興味なんてなかったんですけど?(ほんとに) お互いに「どうでもいい」と思っていたはずの関係が、“転生”という非常識な出来事をきっかけに、静かに、でも確実に動き始める。 これは、すれ違いと誤解の果てに生まれる、ちょっとズレたふたりの再恋(?)物語。 じれじれで不器用な“無自覚すれ違いラブ”、ここに開幕――! 本作は、アルファポリス様、小説家になろう様、カクヨム様にて掲載させていただいております。 アイデア提供者:ゆう(YuFidi) URL:https://note.com/yufidi88/n/n8caa44812464

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

悪役令嬢の末路

ラプラス
恋愛
政略結婚ではあったけれど、夫を愛していたのは本当。でも、もう疲れてしまった。 だから…いいわよね、あなた?

どうしてあなたが後悔するのですか?~私はあなたを覚えていませんから~

クロユキ
恋愛
公爵家の家系に生まれたジェシカは一人娘でもあり我が儘に育ちなんでも思い通りに成らないと気がすまない性格だがそんな彼女をイヤだと言う者は居なかった。彼氏を作るにも慎重に選び一人の男性に目を向けた。 同じ公爵家の男性グレスには婚約を約束をした伯爵家の娘シャーロットがいた。 ジェシカはグレスに強制にシャーロットと婚約破棄を言うがしっこいと追い返されてしまう毎日、それでも諦めないジェシカは貴族で集まった披露宴でもグレスに迫りベランダに出ていたグレスとシャーロットを見つけ寄り添う二人を引き離そうとグレスの手を握った時グレスは手を払い退けジェシカは体ごと手摺をすり抜け落下した… 誤字脱字がありますが気にしないと言っていただけたら幸いです…更新は不定期ですがよろしくお願いします。

悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。

ねーさん
恋愛
 あ、私、悪役令嬢だ。  クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。  気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

お言葉を返すようですが、私それ程暇人ではありませんので

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<あなた方を相手にするだけ、時間の無駄です> 【私に濡れ衣を着せるなんて、皆さん本当に暇人ですね】 今日も私は許婚に身に覚えの無い嫌がらせを彼の幼馴染に働いたと言われて叱責される。そして彼の腕の中には怯えたふりをする彼女の姿。しかも2人を取り巻く人々までもがこぞって私を悪者よばわりしてくる有様。私がいつどこで嫌がらせを?あなた方が思う程、私暇人ではありませんけど?

処理中です...