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会話が通じないし成立しない

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「私がジークハルトもらうから」

 ユリア様の言葉にムッとしたのは、コストナー様だけではありません。

 わたくしも胸がムカムカします。
これが嫉妬というやつでしょうか?

「うん。多分違う。あまりのアホさにムカムカしただけだよ。ヤキモチは嬉しいけどね」

 あら?
ジーク様、どうしてわたくしの思っていることが分かりましたの?

 それに、セオドア王国王太子殿下は平然とされていますのね。
 ご自分の婚約者が、他の男性に媚びようとしていますのに。

「ちょっと!セオドアの王太子妃の勉強すら出来なかったのに、ジークハルト様の妃になれるわけないでしょ!」

「元々、ジークハルトが推しなの!それに、ジークハルトならエリックみたいに私を放置したりせずに、頑張る私を癒してくれると思う!」

 どうしましょう。
コストナー様が、真っ当な意見をおっしゃっていますわ。

 それに対するユリア様の考え方は・・・

 これはきっと、王妃様がユリア様では駄目だとおっしゃったのではないかしら。

 あの方は、王太子妃の役目を、王太子として未熟なエリック殿下を支えるためだと常に言われていましたもの。

 王太子殿下も、お母様である王妃様の言うことには従っていましたから、ユリア様を切り捨てましたのね。

 わたくし、決してユリア様のことを好きだとは思えませんけど、わたくしとの婚約継続時に好きになった相手を簡単に切り捨てる王太子殿下には、嫌悪感すら抱きますわ。

 ああ。
お父様お母様に感謝いたします。

 わたくしの夢の話を信じて、婚約の解消に動いてくださり、本当にありがとうございます。

 こんな方と添い遂げていたかと思うと、ゾッとしますわ。

 ユリア様とコストナー様は、ギャーギャーと言い争いを続けています。

 これ、誰かが止めないと終わらないのでは?

「いい加減に・・・」

「とにかく、ユリアはアリスティアの断罪をやっちゃってよ!」

「してください・・・」

「そういうエリサは、シャルロットの断罪終わったの?」

 駄目です。
全く話を聞こうとしてくださいませんわ。

 しかも断罪とは何のことですか?
わたくしと・・・シャルロット様を断罪?

 わたくしたちはユリア様やコストナー様と違って、罪を問われるようなことなど致しておりませんわ。

 ほら。
シャルロット様のことを悪くおっしゃるから、ブラシール様の気配が・・・

「アリス、そろそろ始めよう。聞くに耐えない」

 ジーク様の言葉に頷きます。
視線を向けると、お母様やお兄様も頷かれました。

 それでは、ユリア様たちのおっしゃるところの断罪というものを始めましょう。
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