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10.我慢しろとおっしゃるの?
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「最近、ウィリアムとはどう?あの子もね、最近は公務も増えたし、王太子としての重圧があるのよね。アイシュが支えてくれているから助かるわ」
王妃様はそう言うと、にっこりと微笑まれた。
その笑顔を見て、私は王妃様がウィリアム殿下に他に想い人がいることをご存知なのだと気付いた。
気付いていて・・・
私にそのことをとやかく言うなと言うの?
ウィリアム殿下に他に寵愛する方がいても、何も言わずにウィリアム殿下を支えて、お飾りの王太子妃になれと言うの?
王妃様にとって、ウィリアム殿下は可愛くて大切な息子。
他人の私より、息子を優先する気持ちはわからないでもない。
だけど、結婚した後に好きな人ができたとかならまだ理解出来るわ。
王族がそう簡単に、離縁なんてするべきじゃないもの。
私を正妃、好きになった方を側妃にするということもあるかもしれない。
でも、まだ婚約者の段階なのよ?
生まれた時からの婚約者である、私とウィリアム殿下。
どちらかに本当に好きな人が出来たなら、解消すれば良いじゃない。
貴族の政略結婚が、そんな甘いものじゃないことくらい理解ってるわ。
だけど、その選択は誰も幸せになれないじゃない。
好きな人がいるのに、その人を正妃にすることができないウィリアム殿下。
愛する人に、妻がいる状態になるそのご令嬢。
夫の愛をもらえずに、形だけの妻になるしかない私。
ウィリアム殿下や殿下の恋人は、まだマシ。
すぐには無理でも、側妃に迎えれば良いんだもの。
だけど私は?
夫は他に好きな人がいて、そしたらきっと白い結婚よね。
ただ公務をするだけのお飾りでしかなくて、心は疲弊していくはずよ。
ウィリアム殿下への気持ちがゼロになっていたとしても、傷つかないわけがない。
私に犠牲になれと言うの?
「王妃殿下・・・」
「あのね、アイシュ。あの子はちょっと迷子になってるだけなの。あなたほどあの子に相応しい子はいないわ。私も陛下も貴女のことが大好きよ。だからね?焦って判断を早まらないでちょうだい。賢い貴女なら分かるわよね?」
「・・・はい」
「ありがとう、アイシュ。あの子には私からよく言っておくから」
その後は王妃様は、結婚式のドレスの話や新婚旅行など、本来なら楽しいはずの話をしてくださったけど、私の心には響かなかった。
ただ虚しさというか、もしかしたらという期待が裏切られたような、そんな虚無感があった。
王妃様が、ウィリアム殿下を思っていないわけではないだろう。
でも、息子の恋心よりも王妃として正しい判断をした、そういうことなのかもしれない。
王妃様はそう言うと、にっこりと微笑まれた。
その笑顔を見て、私は王妃様がウィリアム殿下に他に想い人がいることをご存知なのだと気付いた。
気付いていて・・・
私にそのことをとやかく言うなと言うの?
ウィリアム殿下に他に寵愛する方がいても、何も言わずにウィリアム殿下を支えて、お飾りの王太子妃になれと言うの?
王妃様にとって、ウィリアム殿下は可愛くて大切な息子。
他人の私より、息子を優先する気持ちはわからないでもない。
だけど、結婚した後に好きな人ができたとかならまだ理解出来るわ。
王族がそう簡単に、離縁なんてするべきじゃないもの。
私を正妃、好きになった方を側妃にするということもあるかもしれない。
でも、まだ婚約者の段階なのよ?
生まれた時からの婚約者である、私とウィリアム殿下。
どちらかに本当に好きな人が出来たなら、解消すれば良いじゃない。
貴族の政略結婚が、そんな甘いものじゃないことくらい理解ってるわ。
だけど、その選択は誰も幸せになれないじゃない。
好きな人がいるのに、その人を正妃にすることができないウィリアム殿下。
愛する人に、妻がいる状態になるそのご令嬢。
夫の愛をもらえずに、形だけの妻になるしかない私。
ウィリアム殿下や殿下の恋人は、まだマシ。
すぐには無理でも、側妃に迎えれば良いんだもの。
だけど私は?
夫は他に好きな人がいて、そしたらきっと白い結婚よね。
ただ公務をするだけのお飾りでしかなくて、心は疲弊していくはずよ。
ウィリアム殿下への気持ちがゼロになっていたとしても、傷つかないわけがない。
私に犠牲になれと言うの?
「王妃殿下・・・」
「あのね、アイシュ。あの子はちょっと迷子になってるだけなの。あなたほどあの子に相応しい子はいないわ。私も陛下も貴女のことが大好きよ。だからね?焦って判断を早まらないでちょうだい。賢い貴女なら分かるわよね?」
「・・・はい」
「ありがとう、アイシュ。あの子には私からよく言っておくから」
その後は王妃様は、結婚式のドレスの話や新婚旅行など、本来なら楽しいはずの話をしてくださったけど、私の心には響かなかった。
ただ虚しさというか、もしかしたらという期待が裏切られたような、そんな虚無感があった。
王妃様が、ウィリアム殿下を思っていないわけではないだろう。
でも、息子の恋心よりも王妃として正しい判断をした、そういうことなのかもしれない。
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