私の愛した婚約者は死にました〜過去は捨てましたので自由に生きます〜

みおな

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74.独白

 ペアの腕輪を付けてから・・・
ほんの少し、リュカの態度が変わった気がする。

 今までも、リュカは私のことを大切にしてくれていたけど、あの日からリュカの方から不意に手を繋いでくれるようになった。

 指先が、そっと触れて・・・
それから躊躇いながら、ゆっくりと私の指に絡められる。

 リュカの、剣だこのある固くなった手。

 今まで、ウィリアム殿下にエスコートされたことはあった。

 アスラン殿下との婚約時代、抱きしめられたこともあった。

 私は・・・
アスラン殿下のことが好きだったから、殿下との触れ合いはドキドキした。

 でも今思えば、ウィリアム殿下の心変わりの時も、アスラン殿下の裏切りの時も、ずっとリュカが私を守ってくれていた。

 この手だけは信じられる。

 リュカは男爵家の子息で、私の護衛騎士。

 本来なら、公爵令嬢の婚約者にはなれない。

 ただ、すでに二度の婚約解消をしていて、相手が王族である私は傷物令嬢でマトモな婚約はできないと思う。

 お父様たちがどう言うかは分からないけど・・・

 もしリュカが私を望んでくれるなら、私は男爵家に嫁いでも良いわ。

 フローレンス公爵家を継ぎたいけど。

 私をいつも守って下さった、お父様とお母様のお力になりたいけど。

 リュカが婿に来てくれたら私は嬉しいけど、ずっと護衛騎士だったリュカは公爵家に婿入りするのは嫌かもしれない。

 公爵としての仕事は私がするつもりだけど、それでも公の場には夫婦で出ることになるし、リュカに嫌な思いをさせることになるかもしれないわ。

 リュカに・・・
私のそばにいるのが嫌だと思われたくない。

 そんなことになるくらいなら、今まで通りに公爵令嬢と護衛騎士としていた方がいいのかしら。

 この旅の幸せな思い出があれば、政略結婚を受け入れることができるんじゃないかしら。

 ・・・馬鹿ね。
リュカだっていつか誰かと結婚して、私から離れてしまうかもしれないのに。

 私はぼんやりと窓の外を眺めた。

 今私たちは、エヴァリーナ第五王女殿下とクライゼン王国レオナルド王太子殿下と共に、アンブレラ王国に向かっている。

 アンブレラ王国までは、馬車で三週間ほどかかる。

 正式な婚約者になったから、王太子殿下と王女殿下は同じ馬車だったのだけど、やはり会ったばかりだし、異性とだとくつろげないということもあって、現在王女殿下は私と同じ馬車に乗られている。

 ちなみにリュカは騎馬だ。

 幸せそうなエヴァリーナ殿下を見ると、嬉しい気持ちになる。

 十三歳の王女殿下が、あんな屑と結婚しなくて本当に良かったとは思うわ。

 想い思われる相手と結ばれることは、私や王女殿下の立場では難しいもの。

 
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