え?後悔している?それで?

みおな

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後悔している?それで?

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 ダグラスの冷たい視線と言葉に、三人はこれはマズいと顔を引き攣らせた。

 納得できないが、罪状とやらを告げられたジェニッタとアネッタ。

 平民であるアネッタと結婚、王籍を剥奪されたダミアン。

 ジェニッタとアネッタは、このままでは罪人になると慌てた。

 平民が貴族に対して行った罪は、とても厳しく罰せられる。

 平民であることは納得してはいないが、今はとにかく罪をなかったことにしてもらうことが第一である。

 ダミアンは、平民になってもいいと思えるほどアネッタを好きなわけではない。

 いやはっきり言って、ルーナに悲しい顔をさせるためだけの手段である。

 それなのに罪人で平民のアネッタの夫?冗談ではない。

 三人とも見事なくらい自分勝手な考えで、ここは厳しそうなダグラスではなく甘ちゃんの公爵令嬢ルーナに縋り付くことにした。

 彼女が許してあげてと言えば、ダグラスも折れるだろうと判断して。

「「「ルーナ(お姉様)」」」

「何かしら?」

 うん。これならどうにかなる!
三人の顔に笑みが浮かぶ。

「ごめんなさい。悪気はなかったの。貴女がお母様と呼んでくれて嬉しくって。ちょっと素直になれなかっただけなの!」

「お姉様、ごめんなさいっ!お姉様はいつもお願いを聞いてくれたから、甘えてしまったというか。お姉様の物をいただけたら、お姉様みたいになれると思っちゃったの!」

「ルーナ、悪かった。ルーナの泣きそうな顔があまりに可愛くて、僕に縋って欲しくて、思ってもいない婚約破棄を宣言したんだ。僕は初めて会った時からルーナを愛している!君しか王太子妃に相応しい女性はいない!どうか僕と婚約し直して欲しい」

 三人三様の言い訳に、ダグラスの額に青筋が浮かぶ。

 言われたルーナといえば、表情ひとつ変えずに扇で口元を隠したままジッと三人を見ている。

「「「ルーナ(お姉様)」」」

「それで?」

「それで・・・って、だからルーナ、許して欲しいの」

「お優しいお姉様なら、許してくださるわよね?」

「後悔しているんだ」

 平民三人が公爵令嬢であるルーナに、謝罪とも言えない言い訳を並べて、どうして許してもらえると思っているのか。

 ヴァレリア公爵家の護衛たちも首を傾げるのだが、当の三人はこれで許してくれるはずだと思い込んでいる。

 ルーナは三人の言葉に、それはそれは綺麗な笑みを浮かべた。

 その笑みを見て、三人は許してもらえたと喜色を浮かべる。

「後悔されていますのね。よく分かりましたわ。で、それで?」



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