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後悔させません〜最終話〜
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「おかちゃ!」
とてとてとかけて来る幼子を抱き上げようと、手を伸ばしたルーナのすぐ手前で夫であるラインハルトが抱き上げた。
「ルーナ。屈んだりしたら駄目だろう」
「もう!まだお腹も膨らんでませんのよ。大丈夫ですわ」
「いや、駄目だ。ルフト。父様が抱っこしてやろう。ほら、母様の抱っこより高いぞ」
ラインハルトが二歳になった息子のルフトを肩車すると、ルフトはキャッキャッと嬉しそうに手を振り回した。
その手が時々ラインハルトの頭に当たっているが、全く気に留めない。
ルフトの後ろから付いてきていたセレナが、ルーナに膝掛けを渡し、椅子に座るように促している。
結婚して三年。
すぐに妊娠したルーナは、金髪にアイスブルーの瞳のラインハルト似の男の子を産んだ。
そして、先日二人目の妊娠が分かったばかりだ。
元々、年下の可愛い妻に甘かったラインハルトは、妊娠から溺愛が加速し超過保護になった。
それはもう、従姉の王妃が苦笑いするほどに。
ちなみに、ルーナの父ダグラスもラインハルトの両親も孫のルフトに甘く、周囲が甘やかすたびにルーナは苦言を呈す。
「将来、我儘に育ったらどうするんですか。駄目なことは駄目とちゃんと叱って下さいませ」
祖父祖母としては、たまにしか会わない孫は可愛くて仕方ないのだが、将来婚約者に蛙を投げつけるように育ったら・・・そう思うと、ルーナに分かったと謝罪する。
とはいえ、やはり孫を甘やかしてしまい、ルーナにその度に叱られるというのを繰り返していた。
「ルフト。早く大きくなって、お母様と弟や妹を守ってくれよ」
「まもりゅ?」
「優しく強い男の子に育ってくれ」
ラインハルトはルフトが生まれてから、何度も息子にそう語りかけていた。
それは、どう頑張っても十一歳も年上の自分は愛しい妻を残して先に逝くことが理解っているからだ。
そして、それを言っているのを聞くたびにルーナは不満そうに頬を膨らませる。
「もう!わたくしのことはラインハルト様が守って下さいませ」
「それはもちろんだが・・・」
「わたくしと結婚したこと、後悔されていますの?」
「まさかっ!だが、どうしても俺はルーナを残して先に逝くことになるだろう。心配なんだよ」
そう言うラインハルトの手を取ると、ルーナはその手に頬を当てた。
「ラインハルト様。未来のことはその時に考えましょう?もしかしたら病でわたくしが先に逝くことになるかもしれませんでしょう?」
「ルーナを先に逝かせたりしない。もし病になっても、必ず治してみせる」
「ふふっ。ありがとうございます。わたくしも同じ気持ちですわ。ラインハルト様、絶対後悔させませんから今を楽しみましょう?たとえ死が二人を分つ日が来ようとも、わたくしラインハルトと離れませんわ」
ルーナの言葉にラインハルトは目を見張り・・・そしてルフトを肩から下ろすと、抱いてルーナの隣に座る。
「俺が後悔することがあるとすれば、君を悲しませた時だ。だから、俺が生きている限り後悔することはないよ。ずっと一緒だ」
そう言うラインハルトに、ルーナも嬉しそうに微笑んだ。
時が流れ、結婚から五十年後。
ラインハルトは息を引き取り、ルーナもその後を追いかけるように亡くなった。
この日の約束を守るように、二人が離れることはなかった。
*****end*****
とてとてとかけて来る幼子を抱き上げようと、手を伸ばしたルーナのすぐ手前で夫であるラインハルトが抱き上げた。
「ルーナ。屈んだりしたら駄目だろう」
「もう!まだお腹も膨らんでませんのよ。大丈夫ですわ」
「いや、駄目だ。ルフト。父様が抱っこしてやろう。ほら、母様の抱っこより高いぞ」
ラインハルトが二歳になった息子のルフトを肩車すると、ルフトはキャッキャッと嬉しそうに手を振り回した。
その手が時々ラインハルトの頭に当たっているが、全く気に留めない。
ルフトの後ろから付いてきていたセレナが、ルーナに膝掛けを渡し、椅子に座るように促している。
結婚して三年。
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そして、先日二人目の妊娠が分かったばかりだ。
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それはもう、従姉の王妃が苦笑いするほどに。
ちなみに、ルーナの父ダグラスもラインハルトの両親も孫のルフトに甘く、周囲が甘やかすたびにルーナは苦言を呈す。
「将来、我儘に育ったらどうするんですか。駄目なことは駄目とちゃんと叱って下さいませ」
祖父祖母としては、たまにしか会わない孫は可愛くて仕方ないのだが、将来婚約者に蛙を投げつけるように育ったら・・・そう思うと、ルーナに分かったと謝罪する。
とはいえ、やはり孫を甘やかしてしまい、ルーナにその度に叱られるというのを繰り返していた。
「ルフト。早く大きくなって、お母様と弟や妹を守ってくれよ」
「まもりゅ?」
「優しく強い男の子に育ってくれ」
ラインハルトはルフトが生まれてから、何度も息子にそう語りかけていた。
それは、どう頑張っても十一歳も年上の自分は愛しい妻を残して先に逝くことが理解っているからだ。
そして、それを言っているのを聞くたびにルーナは不満そうに頬を膨らませる。
「もう!わたくしのことはラインハルト様が守って下さいませ」
「それはもちろんだが・・・」
「わたくしと結婚したこと、後悔されていますの?」
「まさかっ!だが、どうしても俺はルーナを残して先に逝くことになるだろう。心配なんだよ」
そう言うラインハルトの手を取ると、ルーナはその手に頬を当てた。
「ラインハルト様。未来のことはその時に考えましょう?もしかしたら病でわたくしが先に逝くことになるかもしれませんでしょう?」
「ルーナを先に逝かせたりしない。もし病になっても、必ず治してみせる」
「ふふっ。ありがとうございます。わたくしも同じ気持ちですわ。ラインハルト様、絶対後悔させませんから今を楽しみましょう?たとえ死が二人を分つ日が来ようとも、わたくしラインハルトと離れませんわ」
ルーナの言葉にラインハルトは目を見張り・・・そしてルフトを肩から下ろすと、抱いてルーナの隣に座る。
「俺が後悔することがあるとすれば、君を悲しませた時だ。だから、俺が生きている限り後悔することはないよ。ずっと一緒だ」
そう言うラインハルトに、ルーナも嬉しそうに微笑んだ。
時が流れ、結婚から五十年後。
ラインハルトは息を引き取り、ルーナもその後を追いかけるように亡くなった。
この日の約束を守るように、二人が離れることはなかった。
*****end*****
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最後までお付き合いくださりありがとうございました😊