乙女ゲームが始まってるらしいです〜私はあなたと恋をする〜

みおな

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リリー、ヒロインになる

 リリー誘拐の犯人は、ダントン伯爵子息、そしてビラック伯爵令嬢だった。

 彼らの目的は、リリーを穢すこと。
そして、そのことによって学園を退学させ、殿下たちから距離を取らせること、だった。

 リリーを穢せば、ダントン伯爵令息はリリーを無理矢理にでも手に入れることが出来る。

 リリーが自主退学せざるを得なくなれば、私も辞めるだろうというのがビラック伯爵令嬢の予想だった。

 確かに、本当にリリーが被害にあったなら、私も学園を辞めただろう。

 だけど、彼らは考えなかったのだろうか?
 リリーを害した人間を殿下たちが放置するとは私には思えない。

 それに、リリーが泣き寝入りすると?
少なくとも私は、絶対に犯人に報復する。

 そんなことすら思い浮かばなかったのだろうか?

 そんな浅はかな考えで、彼らは行動を起こした。

 王家の影が付いていたこともあり、すぐに殿下たちは追いつき、リリーを保護、犯人を確保した。

 今回の件は、クモリス公爵令嬢は関わってはいなかった。

 もしかしたら知っていたのかもしれない。
だけど、関わりはもっていなかった。

 クモリス公爵令嬢からすれば、成功したら儲けもの、失敗しても役に立たない手下を切り捨てるような感覚だったのかもしれない。

 だけど、クモリス公爵令嬢に誤算があったとすれば・・・

「リラ!行ってくるね」

「うん。気をつけて。エミリオ殿下、リリーのことお願いします」

「ああ。任せてくれ」

 リリーがエミリオ殿下と仲良く話しながら、馬車に乗り込むのを、窓から眺める。

 あの事件の後、リリーはまるで憑き物が落ちたように、なった。

 エミリオ殿下をはじめ、攻略対象たちと親しく過ごすようになり、シスコンは鳴りを潜めた。

 リリーが積極的に攻略対象、特にエミリオ殿下と仲良く過ごすようになったことで、周囲からは殿下とリリーは恋人同士であり、卒業後に婚約するのでは、という噂が広がっていた。

 ビラック伯爵令嬢がいなくなったことにより、クモリス公爵令嬢は学園で孤立している。

 もちろん事件の詳細は伏せられているが、親しくしていたビラック伯爵令嬢が退学したことで、クモリス公爵令嬢が『何か』したのではないかという目で、周囲に見られているのだ。

 今の彼女にとって、学園は針のむしろだろう。
 実際に関与があったかどうかはともかく、彼女にも責はある。

 私は窓際から離れると、机へと戻った。
広げた教科書に視線を落とす。

 今日は、この先まで終えておかないといけない。

 自分で決めたノルマをこなすために、私は黙々と教科書をめくり、ノートにペンを走らせた。




 
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