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第2章
ブランの決意
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ブランはヒロインの足元にしゃがみ込むと、その魔力の残滓を観察しているようだった。
リティカがスタスタとそこに近づくと、スパン!とブランの頭を張り飛ばす。
「なっ?」
「女性の足元をじっくり見るものではありませんわ。私が代わります」
「女性・・・え、あ、そうか」
ブランがヒロインとリティカ、私の顔を見渡したあと、やっと気づいたように立ち上がる。
あー。ごめん。私がブランに振ったのが悪かったわ。
そうよね。女性の足元にしゃがみ込んで、マジマジと見るものじゃないわよね。
というか、リティカ強い。
確かにブランは魔法の研究にのめり込んだら周囲が見えなくなるタイプだけど。
「ブラン様。私の魔力を注ぎます。探索魔法の発動をお願いできますか?」
「わかった」
多分、リティカだけでも探索魔法を使えるんだろうけど、ちゃんとブランに指揮権を譲るんだ。
やっぱり、いい婚約者じゃない。
ブランの魔法オタクなところも理解してくれて、しかも本人も魔法に関する知識が豊富で、そのうえ男を立ててくれるなんて。
この2人がうまくやっていけるようになったみたいで、本当に良かった。
ヒロインの足元から淡い光が発生して、そのまま線を引くようにその光は校舎へと走って行く。
「あれ?ヴァレリア嬢?何してるんだ?」
ちょうどいいタイミングで、ラグヌスとラーナが姿を現した。
「ちょうど良かったですわ、フリーレ様。あの光の先にいた生徒を連れて来て下さいません?」
「は?光って・・・これか」
「お願いできまして?ああ、女生徒の可能性が高いのです。ラーナ様もご一緒していただけますでしょうか?」
「もちろんです」
ラーナは胸に手を当てて、恭しく頭を下げると、ラグヌスと共にひかりの先へと駆けて行った。
わー。めっちゃ騎士っぽい。ラーナ、かっこいい。
これで、ヒロインを転ばせた犯人はわかるだろう。
だけど、サイードが罪もないリティカを責め、事もあろうに手を上げたことを有耶無耶にするつもりはない。
「これで、殿下の大切なキャンディさんを転ばせた犯人は判明しますわ。それで、殿下?リティカ様に何かおっしゃることがあるのではありませんか?」
「・・・」
「だんまりですか。いい加減になさいませ。殿下がどなたを大切になさろうとかまいませんが、私の大切な友人を傷つけるのなら、私は許しませんわよ?」
「ヴィヴィ様。もういいのです。私は、ヴィヴィ様とブラン様が理解ってくださっているならそれで」
リティカがそう言って、にっこりと微笑む。その頬はまだ少し赤みが残っていた。
「僕はもう、殿下の側近候補ではない。だから、殿下たちに関わることはこれが最後だ。殿下の大切な人とやらを転ばせた犯人をラグヌスたちが連れてきたら、殿下の好きにすれば良い。もう2度と僕にもリティカにも関わらないでくれ」
ブランは微笑むリティカの頬に手を添えながら、サイードにキツい視線を向けた。
それは完全なる拒絶の言葉だった。
リティカがスタスタとそこに近づくと、スパン!とブランの頭を張り飛ばす。
「なっ?」
「女性の足元をじっくり見るものではありませんわ。私が代わります」
「女性・・・え、あ、そうか」
ブランがヒロインとリティカ、私の顔を見渡したあと、やっと気づいたように立ち上がる。
あー。ごめん。私がブランに振ったのが悪かったわ。
そうよね。女性の足元にしゃがみ込んで、マジマジと見るものじゃないわよね。
というか、リティカ強い。
確かにブランは魔法の研究にのめり込んだら周囲が見えなくなるタイプだけど。
「ブラン様。私の魔力を注ぎます。探索魔法の発動をお願いできますか?」
「わかった」
多分、リティカだけでも探索魔法を使えるんだろうけど、ちゃんとブランに指揮権を譲るんだ。
やっぱり、いい婚約者じゃない。
ブランの魔法オタクなところも理解してくれて、しかも本人も魔法に関する知識が豊富で、そのうえ男を立ててくれるなんて。
この2人がうまくやっていけるようになったみたいで、本当に良かった。
ヒロインの足元から淡い光が発生して、そのまま線を引くようにその光は校舎へと走って行く。
「あれ?ヴァレリア嬢?何してるんだ?」
ちょうどいいタイミングで、ラグヌスとラーナが姿を現した。
「ちょうど良かったですわ、フリーレ様。あの光の先にいた生徒を連れて来て下さいません?」
「は?光って・・・これか」
「お願いできまして?ああ、女生徒の可能性が高いのです。ラーナ様もご一緒していただけますでしょうか?」
「もちろんです」
ラーナは胸に手を当てて、恭しく頭を下げると、ラグヌスと共にひかりの先へと駆けて行った。
わー。めっちゃ騎士っぽい。ラーナ、かっこいい。
これで、ヒロインを転ばせた犯人はわかるだろう。
だけど、サイードが罪もないリティカを責め、事もあろうに手を上げたことを有耶無耶にするつもりはない。
「これで、殿下の大切なキャンディさんを転ばせた犯人は判明しますわ。それで、殿下?リティカ様に何かおっしゃることがあるのではありませんか?」
「・・・」
「だんまりですか。いい加減になさいませ。殿下がどなたを大切になさろうとかまいませんが、私の大切な友人を傷つけるのなら、私は許しませんわよ?」
「ヴィヴィ様。もういいのです。私は、ヴィヴィ様とブラン様が理解ってくださっているならそれで」
リティカがそう言って、にっこりと微笑む。その頬はまだ少し赤みが残っていた。
「僕はもう、殿下の側近候補ではない。だから、殿下たちに関わることはこれが最後だ。殿下の大切な人とやらを転ばせた犯人をラグヌスたちが連れてきたら、殿下の好きにすれば良い。もう2度と僕にもリティカにも関わらないでくれ」
ブランは微笑むリティカの頬に手を添えながら、サイードにキツい視線を向けた。
それは完全なる拒絶の言葉だった。
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