悪役令嬢はヒロイン(♂)に攻略されてます

みおな

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私の気持ち

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「ちょっと待って、イザベリーナ。私が第一王子殿下を・・・好き?」

 確かにクリス様のことは好きだ。
親友になれたら、とか思っていた。

 クリストファー殿下のことは、嫌いではない。
 呪いのことでご苦労されているだろうに、真っ直ぐな方だった。

 でも、好き?
アーロン殿下。どこがどうなってそんな話になったの?

 婚約者になって欲しいと言ったのは、私じゃなくてあなたのお兄様のほうよ。

「え?だってアーロン様おっしゃってたわ。お姉様、いつもオネ兄様のこと見てるって」

「ちょっと待って。そのオネ兄様ってなに?」

「いつもお姉様と一緒にいる人、ご令嬢の格好してるけど、アーロン様のお兄様なんでしょ?誰にも言っちゃダメだよって言われたけど、お姉様なら良いのよね?お兄様だけどご令嬢の格好してるからお姉様って呼ぶべきかなって思って。でも、男の人だし、だからお姉様とお兄様を合わせてオネ兄様!」

 どうしよう。
笑ってしまいそう。

 イザベリーナのネーミングセンスが抜群なんだけど。

 いや。そうじゃないわ。
私が、いつもクリス様を見てるって?

「そ、それはね、ほら男の人だってバレたら困るから」

「でも、私が見た時もお姉様、すっごい優しい目をしてあの人のこと見てたわ」

「え、え、ええ?」

 イザベリーナに、嘘をついているような様子はない。

 私、本当にクリス様のことをそんな目で見てたの?

 月イチのお茶会の時は、ご自身のお部屋ということと、一時間限定ということでクリストファー殿下の姿でお話させてもらっている。

 そのせいか、最近はクリス様の時ももうご令嬢とは見えなくなって来ていた。

 いや。
美人なんだけどね。

 どこをどう見ても、ご令嬢としか見えないんだけどね。

 でも、そうか。
自分ではわからないけど、他人から見たら私はクリストファー殿下に惹かれているのね。

 そう思ったら、何故かストンと心に落ちた。

 クリス様としての交流。
クリストファー殿下としての交流。

 うん。どちらも楽しいわ。

 騙したとあんなに思ったのが嘘みたいに、どちらの彼も受け入れられる。

「お姉様?」

「イザベリーナの言う通りね。私、殿下のことが好きみたいだわ。イザベリーナは私のことよく見てくれてるのね。ありがとう」

 言葉にしたら、うん。すごく納得出来た。

 イザベリーナはニコニコと嬉しそうに笑った。

 あんなに我儘放題だった妹を、こんなに可愛いと思えるようになったのも、アーロン殿下がお馬鹿だったおかげね。

 あの婚約解消があったから、今の私があるんだわ。



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