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迷走中
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「お茶会にはわたくしだけが参りますわ」
お母様の提案に、お父様はそれでも渋った表情をしていた。
「お父様は反対ですの?」
「いや、そうではないよ。アレーシアが嫌だというのに、婚約者にさせたくはない。だが、王家は間違いなくアレーシアを婚約者にしようとするだろう。今回、不参加にしても候補のまま残し次に顔合わせをさせ、婚約者に据えられるだろう」
「ああ。確かにあり得そうですね。まぁ、アレーシア以上のご令嬢がいないことは事実ですからね」
お父様の意見を、お兄様が肯定する。
えー。何それ、逃げ道なしってこと?
「お父様、お母様、お兄様・・・私、婚約者にされるくらいなら、廃籍して欲しいです。身分が平民になれば、政略結婚は無理ですよね?」
「「なっ!何を言うんだ!アレーシアっ!」」
だって、公爵家の娘だから王太子妃に相応しいってことでしょ?
もちろんアレーシアが優秀ってこともあるんだろうけど、そもそも伯爵家以上でないと王家には嫁げない。
身分不相応とかより、伯爵家以上とそれ以下では、教育の内容が違う・・・らしい。
ラノベ知識だけど、ここセブンスターク王国では、高位貴族と下位貴族では淑女教育にも差があるらしい。
だから、平民のヒロインを公爵家の養女にしようとした。
生まれながらの公爵令嬢のアレーシアが、廃籍されて生きていけるわけがない。
だから普通なら修道院に行くって選択なんだろうけど、中身が私の時点で無問題よね。
社会人として生きて来たし、まぁこの世界に洗濯機とか電子レンジとかはないけど、働いてお金稼げば外食で賄えるだろうし。
むしろドレス着て暮らすより、簡易なワンピースとかの方が気楽で良いわ。
「駄目よ!可愛いアレーシアが市井に一人でいたら、絶対人攫いに合うわ!そんなに婚約したくないのなら、お母様と一緒に修道院に行きましょう?」
「ちょっ、ちょっと待て、ジュリエッタ!何故、君まで修道院に!」
「あら、旦那様。可愛いアレーシアをひとりで修道院に行かせるおつもり?」
「いや、そうではない。そもそも、アレーシアを廃籍するつもりも修道院に行かせるつもりもないっ!」
お父様がガバッと、お母様と私を抱きしめる。
うん、まぁ、それはそうだとは思ってたけど。
お父様はお母様のこともお兄様のこともアレーシアのことも、すっごく大切に思って愛してくれている。
ラノベの中で、王太子がヒロインの養女の件を言い出した時も、即拒否してたし。
でも、だとしたらやっぱり、お茶会行かなきゃってこと?
お母様の提案に、お父様はそれでも渋った表情をしていた。
「お父様は反対ですの?」
「いや、そうではないよ。アレーシアが嫌だというのに、婚約者にさせたくはない。だが、王家は間違いなくアレーシアを婚約者にしようとするだろう。今回、不参加にしても候補のまま残し次に顔合わせをさせ、婚約者に据えられるだろう」
「ああ。確かにあり得そうですね。まぁ、アレーシア以上のご令嬢がいないことは事実ですからね」
お父様の意見を、お兄様が肯定する。
えー。何それ、逃げ道なしってこと?
「お父様、お母様、お兄様・・・私、婚約者にされるくらいなら、廃籍して欲しいです。身分が平民になれば、政略結婚は無理ですよね?」
「「なっ!何を言うんだ!アレーシアっ!」」
だって、公爵家の娘だから王太子妃に相応しいってことでしょ?
もちろんアレーシアが優秀ってこともあるんだろうけど、そもそも伯爵家以上でないと王家には嫁げない。
身分不相応とかより、伯爵家以上とそれ以下では、教育の内容が違う・・・らしい。
ラノベ知識だけど、ここセブンスターク王国では、高位貴族と下位貴族では淑女教育にも差があるらしい。
だから、平民のヒロインを公爵家の養女にしようとした。
生まれながらの公爵令嬢のアレーシアが、廃籍されて生きていけるわけがない。
だから普通なら修道院に行くって選択なんだろうけど、中身が私の時点で無問題よね。
社会人として生きて来たし、まぁこの世界に洗濯機とか電子レンジとかはないけど、働いてお金稼げば外食で賄えるだろうし。
むしろドレス着て暮らすより、簡易なワンピースとかの方が気楽で良いわ。
「駄目よ!可愛いアレーシアが市井に一人でいたら、絶対人攫いに合うわ!そんなに婚約したくないのなら、お母様と一緒に修道院に行きましょう?」
「ちょっ、ちょっと待て、ジュリエッタ!何故、君まで修道院に!」
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「いや、そうではない。そもそも、アレーシアを廃籍するつもりも修道院に行かせるつもりもないっ!」
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