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15歳

95ページ:今、大事な話をしてるんです

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「ノワール」

 私を抱きしめるノワールの手に、そっと触れた。

 私を妻だと言ってくれた。
愛らしく美しいと言ってくれた。

 それが、社交辞令だとしても、嬉しかった。私はノワールのことを・・・好きだから。

『マスター・・・いえ、シエル様』

「はじめて、名前で呼んでくれた」

 何度言っても、みんな私のことをマスターとしか呼んでくれなかった。
 さすがに、我が君はやめてくれたけど。
あれはむず痒かった。

 最初から、ノワールは私をずっとマスターと呼んでいて、何度かシエルと呼ぶように言ったのに呼んでくれることはなかった。

 そのノワールが、初めて私のことをシエルと、名で呼んだ。

「様もいらないんだけど」

『すぐには・・・努力します』

 努力、してくれるんだ。
私、本当にノワールのお嫁さんになっても良いのかな?

「ノワール。あの、勝手に指輪、しちゃったんだけど、その、ノワールが他の人に渡すつもりだったのなら、正直にそう言って?叶うかどうかはわからないけど、神様にお願いしてみるから」

『シエル様。私がお慕いしているのは、シエル様だけです。それでも、精霊の私が、シエル様を妻にするということは、シエル様を人間の理から外してしまうということ。私の勝手な気持ちで、シエル様が誰よりも大切になさっているご家族と離れ離れにしてしまってはいけない。そう思って、指輪は作ったものの、手渡すことが出来なかったのです』

 私は、お父様とお母様が大切だ。
この世界に転生して、右も左もわからなかった私を、大きな愛情で包み込んで、私のやりたいようにいつもやらせてくれた。

 だから、転生チートな力は、お父様とお母様を守ることに使ったし、これからだってお父様やお母様を守りたいと思っている。

 ただー
私もお年頃というやつで、5年のうちに、事もあろうに精霊王に恋をしてしまった。

 その人の(人じゃないけど)ために、私にできることがあるなら、やりたいと思った。

 元々、転生チートな時点で、人間の理からは外れていると思う。
 精霊王がみんな私に力を貸してくれて、全知とか呼ばれる存在で、魔力値も桁外れに高くて、魔王までアッサリと倒してしまった。

 だから。

 ノワールが望んでくれるなら、人でなくなっても構わない。

『ちょっと!!何そこでイチャイチャしてんのよ!何よ、私が飼ってあげるって言ってるのに無視したくせに、そんなつるぺたなガキを妻ですって?ふざけんじゃないわよ!!』

 ハーピー魔族がギャンギャンと喚いてくる。
 は?買う?いや。飼う?
何をふざけたことを言ってるの。
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