はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな

文字の大きさ
59 / 126

第47.5話〜カリスタ伯爵視点〜

しおりを挟む
 愚か者というのは、どうしてこうも浅はかな考えをしているのかと、ある意味感心する。

 目の前で、顔を涙でぐしゃぐしゃにしている国王夫妻にため息しか出ない。

 クレメンタイン王国国王夫妻。

 愚かにもマトモな王子二人ではなく、常識のカケラもない王女を溺愛した。

 娘が可愛い気持ちは分かる。

 我がカリスタ伯爵家に息子はいないが、たったひとりの娘であるエリザベスは天使だ。

 だが、いくら一目惚れしたからといって、他の令嬢と婚約目前の相手を、嘘を吐いてまで奪うのは駄目だろう。

 しかし、そのことは我々もクシュリナの王太子も「仕方のないこと」と流した。

 王太子として、国益のために王女を娶ることに納得した。

 ブレンディ侯爵家を使って、イーサンをエリザベスの婚約者にしたことも、ギリギリだが許容した。

 エリザベス自身が納得していたからだ。

 エリザベスから奪っておいて、エリザベスの婚約者であるイーサンを常にそばに置いていたことも、阿呆がとしか思わなかった。

 エリザベスも婚約解消するためにも、婚約者としての交流などして欲しくないと言っていた。

 しかし、エリザベスを貶めようとしたことは許せない。

 こちらに関わらなければ、イーサンとの婚約解消を認めさえすれば、放置しておいてやったものを。

 クシュリナの王太子を、王女の婿にしようとしたことも愚行中の愚行だ。

 あの王太子は、ずっとエリザベスを想っていた。

 それでも、自分の立場を理解していたから、王女との婚約を受け入れたのだ。

 なのに、クレメンタイン王国の王家は、騙し討ちのような真似をしようとした。

 たかが王太子と馬鹿にしていたのか、それともブレンディ侯爵家での騙し討ちが成功したことで、気が大きくなっていたのか。

 まぁ、どちらにしろ・・・
クレメンタイン王国国王夫妻は終わりだ。

 彼らを断罪しなければ、クレメンタイン王国王家は消え去るしかなくなる。

 それを理解している二人の王子は、我々と手を組むことを望んだ。

 別にクレメンタイン王国がどうなろうと私と妻はかまわないのだが、エリザベスがそれを拒んだ。

 スキップ制度を使って通う学園で、知り合った友人たちが暮らす国を滅ぼしたくないそうだ。

 仕方ない。
可愛いエリザベスが望むなら、それを全力で叶えるだけだ。

 それにまぁ、国王夫妻と王女、ブレンディ侯爵家さえ排除すれば、あとは王弟殿下にお任せすることで王子が立太子し、やがて国王になるまでどうにかなるだろう。

 まぁ、可愛いエリザベスはあの王太子にさらわれてしまうが、あの子が幸せになるのなら仕方ないな。
しおりを挟む
感想 383

あなたにおすすめの小説

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】伯爵令嬢の責務

ごろごろみかん。
恋愛
見てしまった。聞いてしまった。 婚約者が、王女に愛を囁くところを。 だけど、彼は私との婚約を解消するつもりは無いみたい。 貴族の責務だから政略結婚に甘んじるのですって。 それなら、私は私で貴族令嬢としての責務を果たすまで。

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ】悪妃は余暇を楽しむ

ごろごろみかん。
恋愛
「こちら、離縁届です。私と、離縁してくださいませ、陛下」 ある日、悪妃と名高いクレメンティーナが夫に渡したのは、離縁届だった。彼女はにっこりと笑って言う。 「先日、あなた方の真実の愛を拝見させていただきまして……有難いことに目が覚めましたわ。ですので、王妃、やめさせていただこうかと」 何せ、あれだけ見せつけてくれたのである。ショックついでに前世の記憶を取り戻して、千年の恋も瞬間冷凍された。 都合のいい女は本日で卒業。 今後は、余暇を楽しむとしましょう。 吹っ切れた悪妃は身辺整理を終えると早々に城を出て行ってしまった。

貴方にはもう何も期待しません〜夫は唯の同居人〜

きんのたまご
恋愛
夫に何かを期待するから裏切られた気持ちになるの。 もう期待しなければ裏切られる事も無い。

婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい

神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。  嘘でしょう。  その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。  そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。 「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」  もう誰かが護ってくれるなんて思わない。  ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。  だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。 「ぜひ辺境へ来て欲しい」  ※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m  総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ  ありがとうございます<(_ _)>

処理中です...