転生モブは分岐点に立つ〜悪役令嬢かヒロインか、それが問題だ!〜

みおな

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モブ、攻略対象と会う2。

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「イレーヌ、何をしている」

 その声に、ビクッと身体が震えた。
乙女ゲームの中で嫌と言うほど聞いた声。

 おそるおそる振り返ると、イレーヌと同じ金髪碧眼の、ヴェルハルトが立っていた。

 出た!
だから嫌だったんだ、婚約者のご令嬢たちと関わるの。

 攻略対象には、絶対に関わりたくないのに。
出来ることなら名前も顔も知らずにいて欲しいくらいなのに。

「あら?殿下。わたくしに何か御用ですか?」

「いや、そう言うわけではないが。それよりもそちらのご令嬢は?」

 見るな。聞くな。
聞かれたら名乗らないわけにいかないんだから。

「婚約者に他のご令嬢の名前を聞くなんて、無粋な方ですこと。まぁ、よろしいですわ。この方はローラン伯爵家のご令嬢でしてよ」

「ローラン嬢。名前を伺ってもいいだろうか」

「・・・・・・アイルと申します」

 言いたくないと言えたなら、どれだけ良かったか。
 しかし、王太子殿下に尋ねられて、名乗らなかったとなると、お父様たちに迷惑がかかる。

 私はこの世界に転生したわけだけど、その転生先がローラン伯爵家で良かったと心から思っている。

 優しいお父様とお母様。可愛い妹のエリル。よく気がついてしっかり者のシキ。

 彼らに迷惑かけるようなことだけはしたくない。

 イレーヌが話しかけてくれたことを、逆恨みするわけじゃないけど!
 出来れば、王太子がいないとこで話しかけて欲しかった!

「アイル嬢・・・アイル嬢と呼んでも、構わ・・・」

「殿下。いくら相手が伯爵家のご令嬢とはいえ、勝手にお名前で呼ぶものではありませんわ。殿下にいいかと問われたら、断れないのですから」

 ヴェルハルトが不穏なことを言いかけたのを、イレーヌがピシャリと遮った。

 うゔっ。カッコいいな、公爵令嬢イレーヌ。
王太子の婚約者ってこんな風にしっかりした人がぴったりよね。

 そして、ヴェルハルト。
ぜーったい嫌だから!私はヒロインじゃないの。
 貴方が名前呼びしたくなるご令嬢は、来年転入してくるから!

 おっかしいなぁ。
なんでモブなのに、攻略対象やそのご令嬢と縁が出来てるんだろう。

 いや、乙女ゲーム通りに現実世界がいくわけないことは理解ってる。
 この世界は乙女ゲームの世界のようでそうではない。

 みんなこの世界で生きていて、それぞれに考えて、それぞれに行動する。

 だから、モブの私がモブのままでいられないこともあるかもしれない。

 でも、そうならないように、距離を置こうって決めてたのに!
 入学初っ端から、その決意をなかったことにしなくてもいいじゃん。

 

 

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