上 下
8 / 56

お祖父様とお祖母様?

しおりを挟む
「伯爵家に婿入り?誰が?」

 ローズリッテに兄弟はいなかった。

 一人娘のローズリッテが王家に嫁いだら、叔父の末息子である従弟がフェルゼン公爵家に養子として入ることになっていたのだから。

「ローズリッテ嬢の父親、です」

 ローズリッテの母親、私のお母様は、私が幼い頃に病気で亡くなられている。

 元々体が弱く、出産に耐えられなかったのだと聞いた。

 お父様が私を嫌っているのは、そのせいなのかもしれない。

 私は、ローズリッテとしてもロゼとしても、お母様と縁遠い。

 もしかしたらパパも、私を嫌いかも・・・

 不安で胸が痛い。

「パパ・・・」

「ロゼ、どうした?」

「パパ・・・ママが亡くなったの、ロゼのせい?」

 パパの胸元に顔を埋める形で、小声で何とか絞り出した。

 どうしよう。お前のせいだと言われたら。

 顔が上げられない私を、パパがギュッと抱きしめて、背中を撫でてくれる。

「ロゼ。ママが亡くなったのは、パパのせいだ。ママが実家に、人間の元に帰ると言うのを止められなかった。孫のことは可愛いだろうと。俺のことや魔族のことは認められなくても、娘と孫は可愛いと思うはずだと、甘く見ていた。だから、ロゼのせいじゃない」

「ロゼのママのお父様もお母様も・・・ローズリッテのお父様みたいに、ロゼのこと嫌いなの?そういえば、パパのお父様とお母様は?」

「ああ。父上と母上とは、以前喧嘩をしてから会っていないな。ノイン。今、父上たちは?」

「魔王城の深層で暮らされております。そういえば、ロゼ様はお会いしたことがありませんでしたね」

 魔王城の深層?
ここって魔王城だよね?同じ城にいるのに、会ってないの?

 それって、魔族だと普通なの?

「会いたいか?」

「・・・お祖父様とお祖母様、ロゼのこと・・・嫌い?」

 嫌われてるなら、会いたくない。
会わなくても問題なさそうだし。

 だけどパパは、キョトンとした顔をして、ノインと顔を見合わせた。

「嫌ってるか?」

「まさか。陛下との喧嘩の際も、先代様たちはロゼ様を一緒に連れて行こうとなさってたじゃないですか」

「ああ、そういえばそうだった。それで腹が立って深層に転移魔法で叩き込んだんだった」

 え?パパが深層に転移させたの?

「パパ?」

「とにかく、父上たちがロゼを嫌っているなんて有り得ない」

「なら、会いたい」

「分かった。ノイン、父上たちに連絡を入れておいてくれ。話が逸れたな。それで、ローズリッテの父親が伯爵家の入婿になったのか?」

 そうだった。
お祖父様たちの話じゃなくて、ローズリッテの死後の話を聞いていたんだったわ。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

突然の契約結婚は……楽、でした。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:138,204pt お気に入り:4,961

普通の男子高校生が悪役令嬢に転生した話

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:326pt お気に入り:52

だって私は、真の悪役なのだから。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:376pt お気に入り:49

転生できませんでした。

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:1,384pt お気に入り:0

お前のこと、猫ちゃんて呼んだろか!!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,150pt お気に入り:48

後宮に咲く薔薇

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:17,289pt お気に入り:207

裏切り者、そう呼ばれた令嬢は

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:142pt お気に入り:6,384

【本編完結】旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:8,079pt お気に入り:6,930

処理中です...