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毎日が楽しい

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「ロゼ様。お茶が入りました」

 結局、レイニー様・・・レイは私の侍女になった。

 彼女はレイニーではなくレイコとして生きたいと言い、レイコというのはこの世界では目立つのでレイと呼ぶことになった。

 彼女のいうところの、転生も乙女ゲームも前世にいた世界も、全てを信じたわけではない。

 でも、彼女がローズリッテを助けようと思ったこと。
 そして、そのことで私がロゼとして生まれ変われたこと。

 その二つだけは信じられた。

 それに、レイの前世の世界の話とかが珍しくて面白くて、私だけでなくパパやノインまで気に入ってしまったの。

 だって、だって、たくさんの人が乗れる鉄の馬車?とか、空飛ぶ鉄の鳥とか、薄っぺらい手のひらサイズの箱の中に色んな情報が詰まってたり、それで遠くの人とお話ができたりするなんて言うのよ?

 しかもそれが魔法じゃないっていうの。

 魔力なんか皆持ってなくて、それなのにそんな物が誰にでも使えるなんて。

 そんな不思議な、物語の中のような話がたくさんレイからは聞けるの。

 そんなの、みんな夢中になっても仕方ないと思うわ。

「レイ。これ、何てお菓子?」

「これは、フォンダンショコラって言って、チョコレートケーキの一種です。中にとろっとろのチョコレートが入ってるんですよ」

「温かいのね」

「あ、ローズリッテ様は高位貴族でしたから、毒味されてからの食事で温かい物を召し上げられなかったんですよね。でも、温かいものは温かいうち、冷たいものは冷たいうちが絶対美味しいんですよ」

 ローズリッテは公爵令嬢だっただけでなく、王太子の婚約者だったから、必ず口にするものは毒味をされたものだった。

 ロゼとして生まれ変わってからは、毒耐性があって毒味は必要なくなったけど、それでも料理が温かいまま出されることはなかったわ。

 それがレイが来てからは、毒耐性があるなら温かいものは温かいまま出すべきって言って。

 料理が不味いと思ったことはなかったけど、あんなに美味しいと思ったこともなかったの。

 不思議。
レイが来てからは、毎日がとても楽しくなった。

 パパやノイン、みんなに大切にしてもらえて、ロゼとして生まれてから幸せだと思ってたけど、もっともっと毎日に幸せなことが増えた。

 レイってローズリッテと同い年だったはずなのに、料理もできるの。

 こないだもおむらいすっていうの、作ってくれて。
 すっごく美味しかった。

 聖女の力はなくしてしまったみたいだけど、レイもパパの魔法のお勉強に一緒に参加してくれてる。

 ノインが言うには、ほんの少しだけど魔力は残ってるんですって。
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