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再会
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「本当に大丈夫か?パパが一緒にいようか?」
過保護なパパに、何度目か数えるのをやめた返事をする。
「大丈夫。だって宣戦布告するだけだもの」
すでに三日前からレイの目撃情報は、王宮に届けられている。
アークラインの王都の食事処や宿屋などに、聖女らしき女性がいたという報告がセドリック様に上がっているはずだ。
呆れたことに、セドリック様は結婚後一年経ってもレイニー様を探していた。
王太子妃はそれで良いわけ?
確かトゥーン伯爵令嬢だったのよね?
それで、母親がローズリッテの父親と再婚して伯爵家は陞爵して公爵家になった。
ローズリッテの父親は、娘を王太子妃にしたかったから、その令嬢がセドリック様の婚約者になり結婚した。
うーん。
政略結婚だから、浮気も許してるということ?
セドリック様のことは何とも思ってなくて、単に王太子妃になりたかったというやつかしら?
王太子妃の考えはわからないけど、セドリック様がレイニー様を好きなのは間違いないわね。
結婚しても探しているくらいだもの。
そんなに好きだったのなら・・・
婚約解消を申し出て欲しかったわ。
ローズリッテの父親は許さなかったでしょうけど。
レイは黒のウィッグをかぶる予定だったのだけど、パパが変化の魔法をかけてくれた。
髪色も瞳も、あの頃のレイニー様になったレイは、サウロン様から受け取った薬を自分のテーブルにある紅茶のポットに投入していた。
さっき、聖女発見の報告を受けたセドリック様が、レイが待つこのカフェに向かったそうよ。
今、私は平凡な茶髪の、レイと同い年くらいの少女の姿で、レイから少し離れた席に座っている。
名乗りを上げる時に、パパがローズリッテの姿に変化させてくれることになっているの。
まずは薬入りのお茶を飲まさなきゃだから、ローズリッテの姿ではいられないのよ。
そういえば、入れた薬が随分多かった気がするけど、何の薬なのかしら。
パパもノインも、私が気にする必要のないものだって教えてくれないのよ。
入口がザワザワとした様子に、私に振り返ったレイに頷き返す。
来たみたいね。
「レイニー!ああっ、本当にレイニーだ!どこにいたんだ?ずっと探していたんだぞ!」
ズカズカとレイの前までやって来たセドリック様は、抱きしめんばかりの勢いだ。
レイは冷静に、目の前の席に座るように促す。
「どうした?レイニー。何で何も言わない?あの可愛らしい声でセドリックと呼んでくれ」
「・・・」
レイは何も言わずに、ポットから紅茶を注ぐと、セドリック様の前に置いた。
「殿下」
カップを持ち上げたセドリック様に、護衛が制止の声をかけるけど、セドリック様は護衛を睨みつけてそのままカップの紅茶を飲み干した。
過保護なパパに、何度目か数えるのをやめた返事をする。
「大丈夫。だって宣戦布告するだけだもの」
すでに三日前からレイの目撃情報は、王宮に届けられている。
アークラインの王都の食事処や宿屋などに、聖女らしき女性がいたという報告がセドリック様に上がっているはずだ。
呆れたことに、セドリック様は結婚後一年経ってもレイニー様を探していた。
王太子妃はそれで良いわけ?
確かトゥーン伯爵令嬢だったのよね?
それで、母親がローズリッテの父親と再婚して伯爵家は陞爵して公爵家になった。
ローズリッテの父親は、娘を王太子妃にしたかったから、その令嬢がセドリック様の婚約者になり結婚した。
うーん。
政略結婚だから、浮気も許してるということ?
セドリック様のことは何とも思ってなくて、単に王太子妃になりたかったというやつかしら?
王太子妃の考えはわからないけど、セドリック様がレイニー様を好きなのは間違いないわね。
結婚しても探しているくらいだもの。
そんなに好きだったのなら・・・
婚約解消を申し出て欲しかったわ。
ローズリッテの父親は許さなかったでしょうけど。
レイは黒のウィッグをかぶる予定だったのだけど、パパが変化の魔法をかけてくれた。
髪色も瞳も、あの頃のレイニー様になったレイは、サウロン様から受け取った薬を自分のテーブルにある紅茶のポットに投入していた。
さっき、聖女発見の報告を受けたセドリック様が、レイが待つこのカフェに向かったそうよ。
今、私は平凡な茶髪の、レイと同い年くらいの少女の姿で、レイから少し離れた席に座っている。
名乗りを上げる時に、パパがローズリッテの姿に変化させてくれることになっているの。
まずは薬入りのお茶を飲まさなきゃだから、ローズリッテの姿ではいられないのよ。
そういえば、入れた薬が随分多かった気がするけど、何の薬なのかしら。
パパもノインも、私が気にする必要のないものだって教えてくれないのよ。
入口がザワザワとした様子に、私に振り返ったレイに頷き返す。
来たみたいね。
「レイニー!ああっ、本当にレイニーだ!どこにいたんだ?ずっと探していたんだぞ!」
ズカズカとレイの前までやって来たセドリック様は、抱きしめんばかりの勢いだ。
レイは冷静に、目の前の席に座るように促す。
「どうした?レイニー。何で何も言わない?あの可愛らしい声でセドリックと呼んでくれ」
「・・・」
レイは何も言わずに、ポットから紅茶を注ぐと、セドリック様の前に置いた。
「殿下」
カップを持ち上げたセドリック様に、護衛が制止の声をかけるけど、セドリック様は護衛を睨みつけてそのままカップの紅茶を飲み干した。
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