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王太子の心《アルフレッド視点》
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ローズが眠りについて1ヶ月たった。
創生神様からは期間はわからないと言われていた。言われていたが、このまま目覚めないのではないかという不安に押しつぶされそうになる。
アルクも不安そうだ。ジェラルド公爵たちも不安だろう。僕の手前、何も言わないが。
やっと引き取った娘が、1ヶ月も眠りから覚めないのだから。公爵夫人は寝込んでいるらしい。無理もない。
ずっと待ち続ける自信はある。
僕にはローズしかいない。ローズしか要らない。
だけど、1年経ち2年経ち、もし目覚めなかったら?僕は王太子だ。妻を娶り、子を成すのも義務だ。
僕がローズを愛していることを父上も母上もわかってくれている。
だけど、いつまでも目覚めない婚約者に、別の正妃や側妃を勧めてくる者も出てくるだろう。
ローズがいつまでも目覚めないなら、僕は王太子を降りるべきかもしれない。
幸いにも、僕には弟のレオンハルトがいる。アンダーソン公爵令嬢なら、レオンハルトの手綱を握って、王太子妃としても立派にやっていけるだろう。
すぐにどうこういう話ではないが、父上たちと話しておくべきかもしれない。
王太子になるなら、レオンハルトにもそれなりの教育を受けさせなければならないしな。
アンダーソン公爵令嬢は優秀だそうだから、王太子妃教育は大丈夫だろうが、レオンハルトは甘いところがあるから。
僕には、ローズを切り捨てるという選択肢はない。僕が必要としているのは、王太子の座ではなく、ローズの隣だ。
「少し父上たちのところへ行ってくるよ」
眠るローズに声をかけて、王太子妃の部屋を出た。護衛とメイドに少し席を外す旨を伝えて、ローズをみていてもらうことにする。
父上の執務室に行くと、疲れた表情の父上がいた。
それもそうだろう。ローズが眠りについてから、僕はほとんど王太子の仕事をしていない。その分、父上に負担をかけているのだ。申し訳なく思うが、ローズを置いて仕事をすることがどうしてもできなかった。
「父上・・・」
「アルフレッドか。何かあったか?疲れているのではないか?顔色が悪い」
「僕は大丈夫です。父上こそ、お疲れでしょう。申し訳ありません。僕のせいで」
父上は立ち上がると、僕の両肩をその大きな手で握った。
「アルフレッド。お前のせいではない。息子と娘の為に頑張ることは父親として当然だ。そんな顔をするな」
「父上・・・でも、ローズはいつ目覚めるかわからない。僕を・・・王太子から外し、レオンハルトを王太子に据えて下さい」
「アルフレッド・・・」
「レオンハルトは幼い頃と違い、立派になりました。アンダーソン公爵令嬢がいれば、きっと立派な王太子になると思います」
だから、と言いかけたところで、執務室の扉が勢いよく開いた。
「お断りします!!」
「レオンハルト」
「兄上!!しっかりして下さい。ローズ嬢は必ず目覚めます!!」
僕はレオンハルトの頭を優しく撫でた。大きくなったなぁ。小さい頃は兄様兄様とついて来ていたのに。
「わかっているよ。ローズはきっと目覚める。だけど、それがいつかは分からない。王太子がいつまでも妻を娶らずいるわけにはいかない。騒いでくる者たちも出てくるだろう。それに、王太子としての仕事もある。いつまでも父上に負担をかけるわけにもいかない」
「兄上!僕もお力になりますッ!僕にできることは何でもやります!周りの騒ぐ奴らだって、僕が、シルヴィアが、アルクが、カーチスが、ロビンが必ず抑えてみせます」
「レオンハルト・・・」
「それに、ローズ嬢が目覚めた時、自分のせいで兄上が王太子でなくなったと知ったら、きっと傷つく」
「!!」
レオンハルトの言葉に、僕はハッとした。そうだ。きっとローズなら、そう思って気に病むだろう。
「アルフレッド。信じて待とう」
僕は父上の言葉に、うなづくしかなかった。
創生神様からは期間はわからないと言われていた。言われていたが、このまま目覚めないのではないかという不安に押しつぶされそうになる。
アルクも不安そうだ。ジェラルド公爵たちも不安だろう。僕の手前、何も言わないが。
やっと引き取った娘が、1ヶ月も眠りから覚めないのだから。公爵夫人は寝込んでいるらしい。無理もない。
ずっと待ち続ける自信はある。
僕にはローズしかいない。ローズしか要らない。
だけど、1年経ち2年経ち、もし目覚めなかったら?僕は王太子だ。妻を娶り、子を成すのも義務だ。
僕がローズを愛していることを父上も母上もわかってくれている。
だけど、いつまでも目覚めない婚約者に、別の正妃や側妃を勧めてくる者も出てくるだろう。
ローズがいつまでも目覚めないなら、僕は王太子を降りるべきかもしれない。
幸いにも、僕には弟のレオンハルトがいる。アンダーソン公爵令嬢なら、レオンハルトの手綱を握って、王太子妃としても立派にやっていけるだろう。
すぐにどうこういう話ではないが、父上たちと話しておくべきかもしれない。
王太子になるなら、レオンハルトにもそれなりの教育を受けさせなければならないしな。
アンダーソン公爵令嬢は優秀だそうだから、王太子妃教育は大丈夫だろうが、レオンハルトは甘いところがあるから。
僕には、ローズを切り捨てるという選択肢はない。僕が必要としているのは、王太子の座ではなく、ローズの隣だ。
「少し父上たちのところへ行ってくるよ」
眠るローズに声をかけて、王太子妃の部屋を出た。護衛とメイドに少し席を外す旨を伝えて、ローズをみていてもらうことにする。
父上の執務室に行くと、疲れた表情の父上がいた。
それもそうだろう。ローズが眠りについてから、僕はほとんど王太子の仕事をしていない。その分、父上に負担をかけているのだ。申し訳なく思うが、ローズを置いて仕事をすることがどうしてもできなかった。
「父上・・・」
「アルフレッドか。何かあったか?疲れているのではないか?顔色が悪い」
「僕は大丈夫です。父上こそ、お疲れでしょう。申し訳ありません。僕のせいで」
父上は立ち上がると、僕の両肩をその大きな手で握った。
「アルフレッド。お前のせいではない。息子と娘の為に頑張ることは父親として当然だ。そんな顔をするな」
「父上・・・でも、ローズはいつ目覚めるかわからない。僕を・・・王太子から外し、レオンハルトを王太子に据えて下さい」
「アルフレッド・・・」
「レオンハルトは幼い頃と違い、立派になりました。アンダーソン公爵令嬢がいれば、きっと立派な王太子になると思います」
だから、と言いかけたところで、執務室の扉が勢いよく開いた。
「お断りします!!」
「レオンハルト」
「兄上!!しっかりして下さい。ローズ嬢は必ず目覚めます!!」
僕はレオンハルトの頭を優しく撫でた。大きくなったなぁ。小さい頃は兄様兄様とついて来ていたのに。
「わかっているよ。ローズはきっと目覚める。だけど、それがいつかは分からない。王太子がいつまでも妻を娶らずいるわけにはいかない。騒いでくる者たちも出てくるだろう。それに、王太子としての仕事もある。いつまでも父上に負担をかけるわけにもいかない」
「兄上!僕もお力になりますッ!僕にできることは何でもやります!周りの騒ぐ奴らだって、僕が、シルヴィアが、アルクが、カーチスが、ロビンが必ず抑えてみせます」
「レオンハルト・・・」
「それに、ローズ嬢が目覚めた時、自分のせいで兄上が王太子でなくなったと知ったら、きっと傷つく」
「!!」
レオンハルトの言葉に、僕はハッとした。そうだ。きっとローズなら、そう思って気に病むだろう。
「アルフレッド。信じて待とう」
僕は父上の言葉に、うなづくしかなかった。
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