10 / 57
イレギュラーな転校生
しおりを挟む
その、ピンク色の髪を見た時、私は首を傾げた。
花乙のゲームで転校生なんていなかった。もしかして、私が死んだ後に続編が出たり、本になったりしたの?
攻略キャラが記憶と全く同じだから、続編ではないか。なら、アニメとか本とかかな。
転校生なんて、いかにも主人公っぽいんだけど。しかも、あのピンク!あれ、実際に見ると、目が痛いわ。
「リリー・ナーシサスです」
にっこりと微笑みかけるリリー嬢に、教室の男子は色めき立つ。
ふわふわのピンクの髪に、ピンクの瞳。小柄な体に、ピンク色の唇。
庇護欲をかきたてる・・・のかもしれないが、いやいや、フローラの可憐さに比べたら月とスッポンだろう。
大体、フローラは来年には聖女として認定されるのだ。稀有な存在、それがヒロインであるフローラなのだから。
そんなことを考えながら、リリー嬢を見ていると、彼女はピタリとその視線を止めた。見ているのは・・・ソル?
リリー嬢はうっとりとした顔で、ジッとソルを見ている。まぁ、ソルは超美形だからね。
授業そっちのけで、ずっとソルを見ているリリー嬢の様子に、気にはなるものの関わりたくないので、私は授業に集中することにした。
そして、昼休みー
「リアナ!」
女子生徒の黄色い悲鳴が聞こえ、私を呼ぶ声に顔をあげる。
攻略対象全員と顔合わせが終わった翌日から、お昼にはシオンが教室まで迎えに来るようになっていた。そして、毎回この現象が起こっていたのだが・・・
今日はひと味違った。
こともあろうに、攻略対象者全員がそこにいたのだ。
いや、何で?
もうシスコンのシオンは仕方ないとして、ハロルドもジェイムスもイリアスもフローラと先に行けばいいじゃない。
いや、フローラが来るから彼らも来るの?だけど、フローラは天使だからなぁ。きっと、聖女の優しさで私を迎えに来てくれてるんだよね。なら、仕方ないのかなぁ・・・
「あのっ!私、今日転校してきたリリーと言います!」
突然、後ろから突き飛ばすようにぶつかられ、体がよろめいた。すぐさま、ソルが抱き止めてくれる。
「大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう」
「あの、お名前伺ってもいいですか?」
私のことなどそっちのけでシオンに話しかけているリリー嬢に、ハロルドが苦々しく口を開いた。
「そんなことより、ぶつかったことを謝ったらどうだ?」
「え?ええと・・・」
「礼儀知らずにも程があるね。姫君を突き飛ばすなんて」
「転入を取り消したほうがいいんじゃないか?」
ジェイムスとイリアスまで、苦々しくリリー嬢を見ている。シオンに至っては、全くリリー嬢と視線を合わせようとしない。いつも笑顔のシオンが、無表情になっている。
「大丈夫ですか?リアナ様。お昼に行きましょう?」
「ありがとうございます、フローラ様。お兄様、参りましょう?」
何か空気が凍りそうだし、ここはさっさと退散するに限るわよね。シオンの腕に触れて顔を見上げると、ようやく私を見て微笑んだ。
「僕の可愛いリアナ。怪我はなかったかい?」
「大丈夫ですわ。ソルがいてくれますもの」
そう。ソルは私を暗殺するけど、今は護衛としてちゃんと守ってくれている。
「そうだな。ソル、リアナから離れるなよ」
「わかっております」
「ちょっ・・・ちょっと」
私に伸ばされる手から守るように、ソルが私の背に手を当てて、教室から出るように促した。
「あのっ!待って下さいっ!」
リリー嬢の声に、全員が振り返り、シオンが初めて口を開いた。
「2度と話しかけないでもらおうか。次に愛しいリアナに危害を加えたらタダではおかない」
「っ・・!」
突き刺すようなシオンの視線に、リリー嬢が言葉を詰まらせる。
私たちはその場に立ち尽くす彼女を置いて、カフェテラスへと向かった。
だけど私は、背中にリリー嬢のあからさまな敵意の眼差しを感じていたー
花乙のゲームで転校生なんていなかった。もしかして、私が死んだ後に続編が出たり、本になったりしたの?
攻略キャラが記憶と全く同じだから、続編ではないか。なら、アニメとか本とかかな。
転校生なんて、いかにも主人公っぽいんだけど。しかも、あのピンク!あれ、実際に見ると、目が痛いわ。
「リリー・ナーシサスです」
にっこりと微笑みかけるリリー嬢に、教室の男子は色めき立つ。
ふわふわのピンクの髪に、ピンクの瞳。小柄な体に、ピンク色の唇。
庇護欲をかきたてる・・・のかもしれないが、いやいや、フローラの可憐さに比べたら月とスッポンだろう。
大体、フローラは来年には聖女として認定されるのだ。稀有な存在、それがヒロインであるフローラなのだから。
そんなことを考えながら、リリー嬢を見ていると、彼女はピタリとその視線を止めた。見ているのは・・・ソル?
リリー嬢はうっとりとした顔で、ジッとソルを見ている。まぁ、ソルは超美形だからね。
授業そっちのけで、ずっとソルを見ているリリー嬢の様子に、気にはなるものの関わりたくないので、私は授業に集中することにした。
そして、昼休みー
「リアナ!」
女子生徒の黄色い悲鳴が聞こえ、私を呼ぶ声に顔をあげる。
攻略対象全員と顔合わせが終わった翌日から、お昼にはシオンが教室まで迎えに来るようになっていた。そして、毎回この現象が起こっていたのだが・・・
今日はひと味違った。
こともあろうに、攻略対象者全員がそこにいたのだ。
いや、何で?
もうシスコンのシオンは仕方ないとして、ハロルドもジェイムスもイリアスもフローラと先に行けばいいじゃない。
いや、フローラが来るから彼らも来るの?だけど、フローラは天使だからなぁ。きっと、聖女の優しさで私を迎えに来てくれてるんだよね。なら、仕方ないのかなぁ・・・
「あのっ!私、今日転校してきたリリーと言います!」
突然、後ろから突き飛ばすようにぶつかられ、体がよろめいた。すぐさま、ソルが抱き止めてくれる。
「大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう」
「あの、お名前伺ってもいいですか?」
私のことなどそっちのけでシオンに話しかけているリリー嬢に、ハロルドが苦々しく口を開いた。
「そんなことより、ぶつかったことを謝ったらどうだ?」
「え?ええと・・・」
「礼儀知らずにも程があるね。姫君を突き飛ばすなんて」
「転入を取り消したほうがいいんじゃないか?」
ジェイムスとイリアスまで、苦々しくリリー嬢を見ている。シオンに至っては、全くリリー嬢と視線を合わせようとしない。いつも笑顔のシオンが、無表情になっている。
「大丈夫ですか?リアナ様。お昼に行きましょう?」
「ありがとうございます、フローラ様。お兄様、参りましょう?」
何か空気が凍りそうだし、ここはさっさと退散するに限るわよね。シオンの腕に触れて顔を見上げると、ようやく私を見て微笑んだ。
「僕の可愛いリアナ。怪我はなかったかい?」
「大丈夫ですわ。ソルがいてくれますもの」
そう。ソルは私を暗殺するけど、今は護衛としてちゃんと守ってくれている。
「そうだな。ソル、リアナから離れるなよ」
「わかっております」
「ちょっ・・・ちょっと」
私に伸ばされる手から守るように、ソルが私の背に手を当てて、教室から出るように促した。
「あのっ!待って下さいっ!」
リリー嬢の声に、全員が振り返り、シオンが初めて口を開いた。
「2度と話しかけないでもらおうか。次に愛しいリアナに危害を加えたらタダではおかない」
「っ・・!」
突き刺すようなシオンの視線に、リリー嬢が言葉を詰まらせる。
私たちはその場に立ち尽くす彼女を置いて、カフェテラスへと向かった。
だけど私は、背中にリリー嬢のあからさまな敵意の眼差しを感じていたー
137
あなたにおすすめの小説
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
悪役令嬢に転生したと気付いたら、咄嗟に婚約者の記憶を失くしたフリをしてしまった。
ねーさん
恋愛
あ、私、悪役令嬢だ。
クリスティナは婚約者であるアレクシス王子に近付くフローラを階段から落とそうとして、誤って自分が落ちてしまう。
気を失ったクリスティナの頭に前世で読んだ小説のストーリーが甦る。自分がその小説の悪役令嬢に転生したと気付いたクリスティナは、目が覚めた時「貴方は誰?」と咄嗟に記憶を失くしたフリをしてしまって──…
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
【完結】転生地味悪役令嬢は婚約者と男好きヒロイン諸共無視しまくる。
なーさ
恋愛
アイドルオタクの地味女子 水上羽月はある日推しが轢かれそうになるのを助けて死んでしまう。そのことを不憫に思った女神が「あなた、可哀想だから転生!」「え?」なんの因果か異世界に転生してしまう!転生したのは地味な公爵令嬢レフカ・エミリーだった。目が覚めると私の周りを大人が囲っていた。婚約者の第一王子も男好きヒロインも無視します!今世はうーん小説にでも生きようかな〜と思ったらあれ?あの人は前世の推しでは!?地味令嬢のエミリーが知らず知らずのうちに戦ったり溺愛されたりするお話。
本当に駄文です。そんなものでも読んでお気に入り登録していただけたら嬉しいです!
まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?
せいめ
恋愛
政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。
喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。
そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。
その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。
閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。
でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。
家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。
その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。
まずは亡くなったはずの旦那様との話から。
ご都合主義です。
設定は緩いです。
誤字脱字申し訳ありません。
主人公の名前を途中から間違えていました。
アメリアです。すみません。
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
婚約破棄してたった今処刑した悪役令嬢が前世の幼馴染兼恋人だと気づいてしまった。
風和ふわ
恋愛
タイトル通り。連載の気分転換に執筆しました。
※なろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、pixivに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる