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聖女とヒロイン《フローラ視点》
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リリー嬢は、私の言葉に口をあんぐりと開けたまま固まった。
それもそうだろう。自分をヒロインだと豪語し、魅了の術まで使っていたのに、それが思うようにいかず、挙句にヒロインはあなたではないと言われたのだから。
「聖女が・・・いえ、あなたが・・・ヒロインですって?そんなのっ、そんなの嘘よっ!!」
「あら?まさしく今、その結果が出ているでしょう?『魔術王国の花の乙女』のヒロインは私、フローラ・ダイアンサスなのですわ」
「そんなっ!そんなの嘘よっ!!ヒロインは・・・ヒロインは・・・」
道理が通じないお馬鹿さんだから、禁呪である魅了なんか使うのね。
色んな物語で語られているのに、気づかないの?魅了なんか使うヒロインもどきは必ず、ざまあされる運命なのよ?
私が、この『魔術王国の花の乙女』通称『花乙』の世界に転生したのは、17年前ーつまり、この世界にフローラ・ダイアンサスが生まれ落ちた時である。
私は、フローラとして生まれ変わったのだ。
前世で、心臓の病気を患い、ずっと病院暮らしだった私は、10歳の年に命を落とした。
ずっと両親に負担をかけていた私は、死んだことに関しては少しも悔いていない。やっと解放してあげられる。そう思ったくらいだ。
生まれ変わって、自我が目覚め始めた時、自分に前世の記憶があることに気づいた。
そして自分が、前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインとして生まれていることを。
前世の私は、『花乙』を全コンプリートしていた。ベッドで寝ているしか能のない病人である。時間だけはあったのだ。
そして、その『花乙』の中で、リアナのことが大好きだった。
王女であり、異母兄であるシオン王子に恋している悪役令嬢。
どのルートでも、処刑されたりして悲惨な運命を辿るリアナだが、私は何故かリアナ推しであった。
だから、自分がヒロインだと理解した上で、リアナの破滅ルートのフラグを叩き折る決意をした。
そしてー
出会ったリアナは、異母兄であるシオンにも、隠しキャラであるソルにも愛される、とても愛らしい王女だった。
ゲーム内の、あの嫌がらせをしてくる熾烈さも、シオンに恋焦がれている様子も、全くない。
もしかしたら、リアナも転生者かもしれない。
自分が破滅するフラグを回避しているのかもしれないと気づいた。
なら、私のすることは、リアナの破滅フラグ折の後押しだ。
私の最推しは、リアナ×ソルである。
シオンも悪くはないけど、半分は血が繋がってるわけだし、さすがに近親相姦は推せない。
もちろん、リアナがシオンを望むなら、それに協力するつもりだが。
ちなみに、私は、攻略対象に関しては、全く興味がなかった。
別に前世でも、今世でも、百合なつもりはないし、シオンやソルをかっこいいなぁとは思うのだが、あのリアナの可愛さに勝るものはない。
ゲーム内のリアナも推しであったけど、現実に会って、今のリアナを知って、リアナ至上主義になるシオンたちの気持ちが分かった。
あれは、可愛すぎる。私が男なら他の攻略対象なんかに渡さないところだ。
だから、そのリアナを害しようとする粗悪なヒロインもどきは、排除しなくてはならない。
私が聖女の力を得るのは、本来なら来年だ。聖女となり、この国の王太子であるシオンとの婚約者となる。
だけど、リアナがシオンを望む可能性もあるから、私はリアナの気持ちが決まるまで聖女の力を隠し通すつもりだった。
だけど、禁呪の魅了を使うもどきが現れて、攻略対象の周りをウロウロし始めたから、攻略対象達にはこっそり防御魔法を使った。
まさか、リアナ本人を狙うとは思わなかった。ソルが間に合って良かった。
やっぱり、この世界のソルはリアナのことを大事に思ってるようだ。
そう。
このヒロインもどきは、この世界がゲームだと思っている。
確かに、私は『花乙』のヒロインだし、リアナやシオンも『花乙』のキャラだ。
だけど、今この世界にいるリアナも、シオンも、そして私も、今ここに生きているのだ。
この世界は、ゲームの世界ではない。ゲームのように、ハッピーエンドでお終いではなく、永遠に続く世界なのだ。
それをわかってないから、魅了の術なんか使うのだ。
その結果、牢に入り処罰されることになることに、まだ気づいていない。愚かにもほどがある。
まぁ、大切なリアナ王女を傷つけた人間を、シオンが許すわけはない。
目の前の、もどきの行く末は、もう決まっているのだー
それもそうだろう。自分をヒロインだと豪語し、魅了の術まで使っていたのに、それが思うようにいかず、挙句にヒロインはあなたではないと言われたのだから。
「聖女が・・・いえ、あなたが・・・ヒロインですって?そんなのっ、そんなの嘘よっ!!」
「あら?まさしく今、その結果が出ているでしょう?『魔術王国の花の乙女』のヒロインは私、フローラ・ダイアンサスなのですわ」
「そんなっ!そんなの嘘よっ!!ヒロインは・・・ヒロインは・・・」
道理が通じないお馬鹿さんだから、禁呪である魅了なんか使うのね。
色んな物語で語られているのに、気づかないの?魅了なんか使うヒロインもどきは必ず、ざまあされる運命なのよ?
私が、この『魔術王国の花の乙女』通称『花乙』の世界に転生したのは、17年前ーつまり、この世界にフローラ・ダイアンサスが生まれ落ちた時である。
私は、フローラとして生まれ変わったのだ。
前世で、心臓の病気を患い、ずっと病院暮らしだった私は、10歳の年に命を落とした。
ずっと両親に負担をかけていた私は、死んだことに関しては少しも悔いていない。やっと解放してあげられる。そう思ったくらいだ。
生まれ変わって、自我が目覚め始めた時、自分に前世の記憶があることに気づいた。
そして自分が、前世でプレイしていた乙女ゲームのヒロインとして生まれていることを。
前世の私は、『花乙』を全コンプリートしていた。ベッドで寝ているしか能のない病人である。時間だけはあったのだ。
そして、その『花乙』の中で、リアナのことが大好きだった。
王女であり、異母兄であるシオン王子に恋している悪役令嬢。
どのルートでも、処刑されたりして悲惨な運命を辿るリアナだが、私は何故かリアナ推しであった。
だから、自分がヒロインだと理解した上で、リアナの破滅ルートのフラグを叩き折る決意をした。
そしてー
出会ったリアナは、異母兄であるシオンにも、隠しキャラであるソルにも愛される、とても愛らしい王女だった。
ゲーム内の、あの嫌がらせをしてくる熾烈さも、シオンに恋焦がれている様子も、全くない。
もしかしたら、リアナも転生者かもしれない。
自分が破滅するフラグを回避しているのかもしれないと気づいた。
なら、私のすることは、リアナの破滅フラグ折の後押しだ。
私の最推しは、リアナ×ソルである。
シオンも悪くはないけど、半分は血が繋がってるわけだし、さすがに近親相姦は推せない。
もちろん、リアナがシオンを望むなら、それに協力するつもりだが。
ちなみに、私は、攻略対象に関しては、全く興味がなかった。
別に前世でも、今世でも、百合なつもりはないし、シオンやソルをかっこいいなぁとは思うのだが、あのリアナの可愛さに勝るものはない。
ゲーム内のリアナも推しであったけど、現実に会って、今のリアナを知って、リアナ至上主義になるシオンたちの気持ちが分かった。
あれは、可愛すぎる。私が男なら他の攻略対象なんかに渡さないところだ。
だから、そのリアナを害しようとする粗悪なヒロインもどきは、排除しなくてはならない。
私が聖女の力を得るのは、本来なら来年だ。聖女となり、この国の王太子であるシオンとの婚約者となる。
だけど、リアナがシオンを望む可能性もあるから、私はリアナの気持ちが決まるまで聖女の力を隠し通すつもりだった。
だけど、禁呪の魅了を使うもどきが現れて、攻略対象の周りをウロウロし始めたから、攻略対象達にはこっそり防御魔法を使った。
まさか、リアナ本人を狙うとは思わなかった。ソルが間に合って良かった。
やっぱり、この世界のソルはリアナのことを大事に思ってるようだ。
そう。
このヒロインもどきは、この世界がゲームだと思っている。
確かに、私は『花乙』のヒロインだし、リアナやシオンも『花乙』のキャラだ。
だけど、今この世界にいるリアナも、シオンも、そして私も、今ここに生きているのだ。
この世界は、ゲームの世界ではない。ゲームのように、ハッピーエンドでお終いではなく、永遠に続く世界なのだ。
それをわかってないから、魅了の術なんか使うのだ。
その結果、牢に入り処罰されることになることに、まだ気づいていない。愚かにもほどがある。
まぁ、大切なリアナ王女を傷つけた人間を、シオンが許すわけはない。
目の前の、もどきの行く末は、もう決まっているのだー
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