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13.失ってから気付いても遅いのよ
「要らないもの、ティファはそう判断したのね?」
母であるヴィオラの問いに、ティファはきょとんとした表情で問い返した。
「あら?間違っておりましたか?」
「いいえ。でも、ティファは十年以上も殿下の婚約者だったでしょう?好きだったのではないの?」
ヴィオラもティファが貴族令嬢として、愛だの恋だのという感情ではなく、政略結婚相手として婚約を結んだことを理解している。
自分の娘は、自分の立場をよく理解していることも。
恋した相手がいたとしても、公爵令嬢として求められれば恋を捨ててでも政略結婚を受けただろう。
幼いうちに婚約を結ぶのは、そういう弊害を防ぐ意味もあった。
十年そばにいれば、それが恋でなかったとしても情は湧く。
しかも学園に入学するまでは、ユリシスは王太子に相応しいとされていたのだ。
ティファは少し考えた後に、そっと目を伏せた。
「好き・・・だったかもしれません。殿下が努力していることも全部見て来ました。この人を支えて、ずっと隣にいるのだと思っていました。でも、あの日殿下から浅い考えのお言葉をいただいて・・・情は綺麗に消え失せてしまいましたの」
「・・・後悔はしない?」
「はい。私の好きだったユリシス殿下は死にましたから」
静かにそう言うティファに、ヴィオラは分からないようにそっと息を吐いた。
政略結婚の意味も高位貴族の責務も理解しているヴィオラであっても、大切な娘の幸せを望まないわけではない。
幼い頃から淑女教育に王太子妃教育と苦労を重ねた娘が、想い合える・・・ことは難しくても敬愛できる相手と結ばれて欲しい、そう願うのは親としての当たり前の情だ。
その点で、第一王子のユリシスは相応しいと思っていた。
努力家で、少々八方美人だが優しいところも好感が持てた。
だがまさか、あんな阿呆な発言が出るとは。
常に共にあり、将来も共にあろうと考えていたティファが「要らない」と他家のご令嬢たちに漏らしたのなら、それが娘の決断なのだろう。
アメトリン公爵家は、ティファ・アメトリンの考えを支持する。
これからヴィオラも、お茶会などで第一王子と距離を置くと周囲に漏らしていくつもりだ。
正妃であるシスティーナが息子であるユリシスに見切りをつけたのなら、彼に残された可能性は限りなく低い。
第二王子殿下や第一王女殿下がいなければ、まだあった可能性も、あの二人が優秀なことで限りなく低くなった。
そして、ティファが婚約者としての立場を捨てたとすれば、その可能性もゼロとなる。
「失ってから気付いても遅いのよ」
母であるヴィオラの問いに、ティファはきょとんとした表情で問い返した。
「あら?間違っておりましたか?」
「いいえ。でも、ティファは十年以上も殿下の婚約者だったでしょう?好きだったのではないの?」
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自分の娘は、自分の立場をよく理解していることも。
恋した相手がいたとしても、公爵令嬢として求められれば恋を捨ててでも政略結婚を受けただろう。
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「・・・後悔はしない?」
「はい。私の好きだったユリシス殿下は死にましたから」
静かにそう言うティファに、ヴィオラは分からないようにそっと息を吐いた。
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だがまさか、あんな阿呆な発言が出るとは。
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そして、ティファが婚約者としての立場を捨てたとすれば、その可能性もゼロとなる。
「失ってから気付いても遅いのよ」
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