月白ゆいか

月白ゆいか

異世界恋愛の短編・中編を中心に投稿します。 理不尽に奪われたヒロインが、正しく評価され、幸せを取り戻す物語が好きです。 基本は完結保証・ハッピーエンドです。
16 件
恋愛 完結 短編
伯爵令嬢エレナは、幼い頃から妹ロザリーの身支度も予定も手紙も整えてきた。 婚約者ヴィクトルと妹が親しくなってからも、二人の予定を合わせ、足りない言葉を補うのはいつもエレナだった。 そんなある日、ヴィクトルから告げられる。 「ロザリーと結婚する。君は妹のことを一番よく分かっているのだから、侍女として一緒に嫁いでくれ」 侯爵邸にはすでに、妹の寝室の隣にエレナ用の侍女部屋まで用意されていた。 妻としてはいらない。 けれど、妹の世話役としては今までどおり働いてほしいらしい。 ならば婚約だけでなく、その役目も終わりにしよう。 「では、妹の世話役も辞めます」 エレナは妹の鍵と予定帳を返し、本当に何もしなくなる。 すると、今まで当然のように分かり合っていたはずのロザリーとヴィクトルの会話が、少しずつ噛み合わなくなっていく。 一方エレナは、隣国使節団で、これまで「妹の世話」だと思っていた能力を初めて仕事として評価される。 そしてそこで出会ったのは、「君なら分かるだろう」と求めるのではなく、エレナ自身に「あなたはどうしたいのですか」と尋ねる男性だった。
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小説 4 位 / 233,961件 恋愛 3 位 / 67,511件
文字数 11,448 最終更新日 2026.10.09 登録日 2026.10.09
恋愛 完結 短編
伯爵夫人クラリスは、病弱な姑アデライドの療養を何年も支えてきた。 夫オズワルドとの仲は冷え切っていても、妻として家を守り、家族を支えることが自分の役目だと考えていた。 そんなある日、オズワルドから愛人フローラと再婚するために離縁したいと告げられる。 しかも夫は、離縁後もクラリスを屋敷へ残し、母親の世話だけは今までどおり続けさせるつもりだった。 「母は君に慣れている。君が残ってくれれば、皆が困らない」 姑を置いていくことへの迷いを抱えながらも、クラリスは結婚指輪を外す。 「離縁はお受けします。しかし、この家に残るつもりはありません」 その直後、玄関から杖の音が聞こえてきた。 外出用のドレスと旅用の外套をまとい、旅行鞄を持って立っていたのはアデライドだった。後ろには、すでにまとめられた荷物まで並んでいる。 「では私も参ります」 実の息子ではなく嫁を選んだ姑とともに、クラリスは伯爵家を出る。 新居で姑の世話を一人で抱え込まない暮らしを始め、自分の時間を少しずつ取り戻していくクラリス。姑の主治医レナードもまた、患者の家族としてではなく、クラリス本人へ目を向け始める。 一方、妻の座だけを愛人へ与え、元妻の献身は利用し続けようとしたオズワルドの計画は、母、愛人、そしてクラリス自身の選択によって崩れていく。 妻でも世話役でもなく、自分自身として暮らし始めたクラリスは、やがて新しい家族の形と、新しい恋を選んでいく。
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小説 200 位 / 233,961件 恋愛 109 位 / 67,511件
文字数 13,025 最終更新日 2026.09.25 登録日 2026.09.25
恋愛 完結 短編
子爵令嬢アメリアは、婚約者ローレンスの手紙を代筆してきた。 礼状も、招待状も――そして、彼が公爵令嬢セレスティアへ送る恋文も。 家のために必要な婚約だった。愛される妻にはなれなくても、役に立つ妻にならなれる。そう自分に言い聞かせ、気づけば恋文は百通になっていた。 けれど百通目を書き終えた夜、ローレンスは新しい白紙を差し出す。 「君との婚約を解消したら、セレスティアに正式に求婚する。その手紙を書いてくれ。彼女が喜ぶ言葉は、俺より君のほうが分かるだろう?」 婚約を解消したあとも仕事なら用意してやる。公爵家と縁ができれば、アメリアの家の面倒も見てやれる。 そう語る彼を前に、アメリアは初めて代筆を拒んだ。 そして、その白紙に別の手紙を書く。 これまで届いた百通の恋文を、すべて持ってきてほしい――と。 百一通目だけは、ローレンスではなく「アメリア・ノーウッド」の名前で。 一方、初めて自分の名で書いた原稿を出版商へ持ち込んだアメリアは、その文章を「あなたのもの」として読んでくれる編集者ユージンと出会う。 そして百通の恋文を大切に保管していたセレスティアもまた、そこに綴られた言葉を覚えていた。 「これは、あなたの文章ではありません」 十通ずつ束ねられた十束の恋文を前に、百通の言葉が本当は誰のものだったのかが明らかになっていく。 他人の名前のために言葉を使い続けてきた令嬢が、百一通目から、自分の名前で仕事も未来も恋も選び直す物語。
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小説 679 位 / 233,961件 恋愛 357 位 / 67,511件
文字数 12,807 最終更新日 2026.09.18 登録日 2026.09.18
恋愛 完結 短編
旅先の事故で夫セドリックが死亡扱いとなって半年。 ハルフォード伯爵夫人エレノアは、夫が残した借金、未処理の仕事、使用人や親族への対応を「必要なら私がやる」と一つずつ片づけ、ついに葬儀の日を迎えた。 ところが、司祭が空の棺の前で夫の名を読み上げている最中、礼拝堂の扉が開く。 そこに立っていたのは、死んだはずのセドリック本人と、彼に手を取られた愛人だった。 事故の三日後には意識を取り戻していた夫は、家や借金の処理をしたくないため生存を知らせず、関係者が全員揃う葬式なら話が早いと帰ってきたのだ。しかもエレノアへ、「しばらく記憶喪失だったことにしてほしい」と頼む。 夫が忘れれば妻が補い、夫が困れば妻が処理する。長年続けてきたその役割を、エレノアは初めて拒んだ。 鍵も、帳簿も、結婚指輪も、夫の人生に付随する責任も、すべて本人へ返していく。 そんな彼女を旧知のアッシュフォード侯爵ジュリアンは、仕事の相談ではなく昼食へ誘う。 誰かの役に立つためではない時間の中で、エレノアは初めて「私は何をしたいのか」を選び始める。
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文字数 14,379 最終更新日 2026.09.11 登録日 2026.09.11
恋愛 完結 短編
裕福な商家の娘クララは、財政難の侯爵家嫡男アルバートと婚約している。 侯爵家の王都屋敷は借金のため売却されることになっていた。クララは結婚後も一家がそこで暮らせるよう、翌朝、自分の資金で屋敷を買う予定だった。 ところが購入前日、屋敷を訪れたクララは、未来の義母から正門で止められる。 「平民の娘は、裏口から入りなさい」 アルバートも母を止めない。 「今日だけは母の顔を立ててくれ。君なら分かるだろう」 そう言ってクララへ我慢を求めたうえ、翌日の屋敷代だけは予定どおり支払うよう念を押した。 クララは、ようやく理解する。 彼らが家族として迎えたいのは、自分ではない。自分の資金だけなのだと。 翌朝、クララは予定どおり屋敷を購入する。 ただし、侯爵家のためではない。 新しい所有者として昨日と同じ正門へ戻り、再び裏口へ回るよう命じる侯爵夫人へ告げる。 「いいえ。本日から、この屋敷は私のものです」 正門が開き、クララは自分の足で屋敷へ入る。 それでもアルバートは、結婚すればクララの屋敷も侯爵家のものと同じだと考えていた。 しかしクララが見直したのは、屋敷の使い道だけではなかった。
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文字数 14,954 最終更新日 2026.09.04 登録日 2026.09.04
恋愛 完結 短編
左のこめかみから頬へ傷のある伯爵令嬢セシリアには、二年間婚約しているローレンスがいる。 傷へ視線が集まればさりげなく助け、毎週白薔薇を欠かさない。セシリアは、彼を気遣いのできる婚約者だと思っていた。 そんな二人が参加した仮面舞踏会で、セシリアの白い羽扇が壊れ、代わりに黒檀の扇を借りることになる。 銀青のドレス、真珠の仮面、栗色の髪、そして白い羽扇。 予定どおりの装いをした別の令嬢を見つけたローレンスは、相手の顔を確かめるより先に手を差し出した。 「セシリア、探したよ」 けれど、その女性はセシリアではなかった。 一方、以前から交流のあるエリアスは、声と、考えるときに扇の骨を揃える小さな癖からセシリアに気づく。 それでもセシリアは、一度の人違いを責めるつもりはなかった。 ローレンスが自分は踊りを嫌い、白薔薇が一番好きだと思っていたことも、これまで自分が話さなかったせいかもしれない。 ならば、今から話せばいい。 「私は最後まで残りたい。最後の曲を踊りたい。仮面を外すかどうかも、自分で決めたい」 初めてはっきりと望みを伝えたセシリアに、ローレンスは言う。 「今夜の君より、私が二年間見てきた君を信じる」 そのときセシリアは、ようやく気づく。 彼が見ていたのは、今ここにいる自分ではなかったのだと。 零時の鐘が鳴る。 セシリアは、自分の手で仮面を外す。 そして、婚約を終えると決める。 ――別の令嬢と間違えられたからではない。 自分の言葉より、彼の望む「自分」を信じられてしまったから。
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文字数 11,785 最終更新日 2026.08.28 登録日 2026.08.28
恋愛 完結 長編
「声がなければ、告発も否定もできない。喋れない女の走り書きを、誰が立ち止まって読む?」 伯爵令嬢アメリアは、婚約後の領地運営を手伝うなかで、不自然な支払いを見つける。 南堤防の石材代として処理された二百四十金貨。 同じ支払番号、同じ金額、同じ婚約者の署名が記されたもう一枚の明細には、こう書かれていた。 ――愛人ダフネへ贈る、婚礼用サファイア首飾り一式。 公的救済金の横領を地区救済局へ告発すると宣言した直後、アメリアは婚約者ヴィクトルから「封言の呪い」をかけられる。 横領という秘密を隠すため、声そのものを奪う呪い。 ヴィクトルはアメリアとの婚約を解消し、十日後にはダフネとの結婚式を開くと告げた。 声を奪えば、何も訴えられない。 声を失った女の話など、誰も聞かない。 ヴィクトルはそう信じていた。 けれど、アメリアが失ったのは声だけだった。 文字を書く手も、証拠を求める知識も、どこで誰へ伝えるかを選ぶ意思も、奪われてはいない。 以前から面識のあるジュリアン子爵は、アメリアの代わりに告発しようとしない。彼女が一文字ずつ書き終えるまで待ち、本人が決めるまで答えを先回りしない。 アメリアは自分で二つの支払控えを確保し、安全と複数の証人がそろう場所を選ぶ。 それは、ダフネが横領金で買われたサファイアを身につける、ヴィクトル本人の結婚式だった。 誓いの前に婚姻への異議を問われた瞬間、声のないアメリアは自ら立ち上がり、一枚目の告発書を大勢へ掲げる。 > 私はアメリア・レイン。ヴィクトル・ハロウに声を奪われました。 これは、声を奪われても意思を他人へ渡さなかった令嬢が、自分の文字で秘密を公にし、自分の言葉と名誉を取り戻す物語。 全7話・完結。婚約破棄、愛人との結婚式での直接告発、ざまぁ、意思を尊重して待つ相手との異世界恋愛です。
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小説 2,550 位 / 233,961件 恋愛 1,369 位 / 67,511件
文字数 12,127 最終更新日 2026.08.14 登録日 2026.08.14
恋愛 完結 短編
「明日、この船でカミラと新婚旅行へ出る。もう婚約者でもない君には関係ない」 海運伯爵家の令嬢オリヴィアは、没落しかけた侯爵家嫡男ルーカスとの結婚後に領地を再建するため、三年かけて持参船〈暁の鴎〉号を準備してきた。 船員をそろえ、航路を整え、翌朝には嵐で被害を受けた島々へ出航する予定だった。船倉には、備蓄があと二日で尽きる島民へ届ける食糧、薬、毛布が積まれている。 ところが出航前日、港へ着いたオリヴィアが見たのは、船から降ろされる救援物資と、代わりに積み込まれる衣装箱、酒樽、鏡台、長椅子だった。 船上にはルーカスと、その愛人カミラがいる。 ルーカスはオリヴィアとの婚約を一方的に解消し、カミラとの婚礼と新婚旅行、さらに自分の私的事業へ〈暁の鴎〉号を使うと告げた。 「この毛布、少し獣臭いのですもの」 カミラも救援物資を邪魔扱いし、自分の衣装と家具を優先する。 けれどルーカスは、大切な二つの事実を軽んじていた。 〈暁の鴎〉号は、結婚が成立するまではオリヴィアの所有物。そして船員たちを雇っているのは、オリヴィアの実家である。 救援先を治めるフレデリック辺境伯は、島の備蓄があと二日だと伝えても、オリヴィアへ命令しない。 「この船をどうするかは、あなたが決めてください」 裏切られた痛みを抱えながら、オリヴィアは自分で救援続行を決める。船員たちと物資を積み戻し、翌朝、予定どおり出航すると宣言した。 それでもルーカスは、招待客の前ならオリヴィアは逆らえないと考え、新婚旅行の出航式を強行する。 「錨を上げろ。出航だ!」 しかし、船員は誰一人動かなかった。 これは、自分を財産として扱った元婚約者と愛人を直接船から降ろし、救援を成功させた海運令嬢が、船と信用、新しい定期航路、そして判断を尊重してくれる相手との未来を自分の手で選び直す物語。 全6話・完結。直接ざまぁ、お仕事上の正当評価、対等な関係から始まる異世界恋愛です。 婚約を解消するという申し出は、受け入れます。 ですが、この船をどう使うかまで、あなたに決めさせるつもりはありません。
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小説 2,758 位 / 233,961件 恋愛 1,471 位 / 67,511件
文字数 13,854 最終更新日 2026.08.07 登録日 2026.08.07
恋愛 完結 短編
「お姉様も、もう泥遊びは終わりにできるわね」 妹の婚約披露のため、明朝から薬草園を掘り返す。父はそう正式に命じた。 そこは、王太子殿下の解毒薬を作れる、たった一つの薬草園だ。 伯爵令嬢リディアは、亡き母から受け継いだ銀星草を育てる薬用区画主任。完成薬は十二本。今ある危険には備えられても、園を失えば、次の一本は作れない。 「必要になれば、お前が別の場所でまた育てればよい」 「だって、それがお姉様の仕事ですもの」 壊すのは自分たち。直すのは姉。父と妹は、当然のようにそう考えていた。 けれど、もう埋め合わせるつもりはない。 リディアは完成薬十二本を施療院へ移し、種と挿し穂を避難させ、夜明け前に始まった掘り返しを、薬用区画主任の権限で正面から止める。 「ここは母が作った園です。そして今は、未来の患者の園です。どちらも、あなたの披露の飾りにはしない」 黒く変色した根を前に、王太子殿下が現場へ立った。妹の言葉は、書記官の手でそのまま記録される。 父は総監の職を失い、妹は望んだ舞台のすべてを失った。 そして殿下が問う。「園を残せば、それでよいか」 「いいえ」 リディアが求めたのは、園の存続だけではない。母と自分の名を功績として記録に刻むこと。そして、誰か一人の一存では二度と潰せない仕組みを、自分の手で作ること。 危機対応を一人で抱えてきた王太子付き侍医テオドールと、働き方も、その先の関係も、自分たちで選び直していく。 全7話・完結。ざまぁと職業的名誉回復、そして相互尊重のハッピーエンドです。
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小説 2,352 位 / 233,961件 恋愛 1,277 位 / 67,511件
文字数 14,708 最終更新日 2026.07.31 登録日 2026.07.31
恋愛 完結 短編
聖女選定の日、子爵令嬢リディアの水晶は光らなかった。 まばゆい光を放った公爵令嬢クラリッサが「本物の聖女」に選ばれ、リディアは偽聖女として王都から追放されてしまう。 誰もがリディアを偽物と決めつける中、北の国境を治めるアルノー辺境伯だけは、彼女が断罪の最中にも枯れかけた祭壇花へ水を与え、その葉をわずかに蘇らせたことを見ていた。 「私の領地に必要なのは、立派な光ではない。枯れたものへ手を伸ばせる者だ」 アルノーから国境へ来ないかと誘われたリディアは、自分の力を確かめるため、その手を取る。 国境に広がっていたのは、長年の瘴気で灰色に枯れた土地だった。 リディアは大きな奇跡に頼らず、住民たちと石を拾い、水路を直し、一畝の土から再生を始める。やがてその畝に一輪の白い花が咲き、花は丘を満たし、濁った水と土にも少しずつ命が戻っていく。 だが神殿は、白い花を冒涜の証拠として処分するよう命じてくる。 一方、王都では神殿が選んだ「本物の聖女」が、予定されていた豊穣祈願に臨んでいた。 強い光を放つクラリッサ。しかし、目の前の種は一つも芽吹かない。 国境を白い花で満たした偽聖女と、一輪も咲かせられない「本物」。誰にでも分かる結果によって、神殿の誤った認定は覆っていく。 これは、偽物と呼ばれた令嬢が、自分を結果が出る前から信じてくれた辺境伯と土地を蘇らせ、名前と自分で選ぶ未来を取り戻す物語。
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小説 2,732 位 / 233,961件 恋愛 1,457 位 / 67,511件
文字数 17,338 最終更新日 2026.07.23 登録日 2026.07.23
恋愛 完結 短編
王都を守る新型結界魔道具を設計した伯爵令嬢イリスは、防衛会議の場で王太子レオンスから告げられる。 「この魔道具は、寵姫リリアナの発明として発表する」 功績を奪われるだけではない。王太子は、王都防衛計画書に刻まれたイリスの設計者署名まで消そうとしていた。 だが、その署名はただの名前ではない。結界魔道具の安全認証、起動許可、保守責任、緊急停止権限を兼ねる魔法署名だった。 イリスは静かに問い返す。 「では、設計者署名を消した王都防衛計画書を提出してください」 王太子は署名の意味も知らず、寵姫は設計の中身を説明できない。王都防衛司令官ノアの正式監査のもと、寵姫の発明書類に欠けた安全手順と、王太子の私情による功績横取りが公的に明らかになっていく。 婚約者として黙ることも、責任だけを押しつけられることも、もうしない。 これは、奪われかけた署名と功績を取り戻し、王都を守る結界技師として自分の名で未来を選ぶ令嬢の物語。
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小説 2,576 位 / 233,961件 恋愛 1,382 位 / 67,511件
文字数 17,846 最終更新日 2026.07.10 登録日 2026.07.10
恋愛 完結 短編
妹ミリアが嫌がったため、伯爵令嬢エレナは呪われた辺境伯ルーファスのもとへ身代わりで嫁がされる。 婚礼初夜、夫はエレナに「夜は必ず寝室の扉に鍵をかけろ」と告げ、彼女を一人残して去ってしまった。 けれど夜半、鍵をかけたはずの寝室で、エレナの寝台の足元に大きな黒狼が眠っていた。 黒狼はエレナを襲わない。むしろ毛布を戻し、彼女を守るようにそばにいる。 金色の目。胸の傷。昼間の夫と同じ反応。 「もしかして、旦那様ですか?」 怖い噂だけで夫を判断したくないエレナは、黒狼の正体と呪いの秘密に自分から向き合っていく。 これは、身代わりで嫁がされた令嬢が、呪われた辺境伯を怪物ではなく夫として呼び、自分の居場所を選び直す物語。
24h.ポイント 631pt
小説 2,461 位 / 233,961件 恋愛 1,324 位 / 67,511件
文字数 14,668 最終更新日 2026.06.26 登録日 2026.06.26
恋愛 完結 短編
リネット・ベルフォードは、加護刺繍を扱う令嬢である。 王妃様の巡幸礼装に縫い込む守護紋。騎士団の護符。誰かを守るための刺繍を、彼女は長く縫ってきた。 しかしリネットは、妹コレットに婚約者セドリックを奪われる。さらに家族から沈黙を強いられたまま、王妃様の御前へ連れて行かれた。 そこでコレットが差し出したのは、リネットが半年かけて縫った加護刺繍だった。 「王妃様のお身を守るものですから、一針ごとに祈りを込めました」 妹はそう微笑み、セドリックも彼女を王妃付き刺繍師に推薦する。 けれど、加護刺繍は模様を真似るだけでは発動しない。糸の染め、下絵、針順、縫い手の魔力の癖。その全てが合って、初めて守護紋になる。 リネットは王妃様の御前で、妹に告げる。 「あなたの作品だと言うのなら、どうぞ、御前で続きを縫っていただきましょう」 妹の手元で加護糸が死んだ時、王妃様も、近衛騎士団長ノアも、真の縫い手に気づき始める。 婚約者を取り戻すためではない。 自分の技術と名誉、そして王妃様の安全を守るために、リネットは針を取る。
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小説 1,232 位 / 233,961件 恋愛 674 位 / 67,511件
文字数 13,692 最終更新日 2026.06.18 登録日 2026.06.18
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伯爵夫人セレスティアは、結婚初夜から三年間、夫アーヴィンに「飾りの妻」として放置されてきた。 父を亡くし、母から継いだルクレール商会を守るために結んだ婚姻。大恋愛ではなかった。それでもセレスティアは、いつか穏やかな夫婦になれるかもしれないと、ほんの少しだけ期待していた。 しかし半年ぶりに屋敷へ戻ったアーヴィンは、婚姻前から隠していた愛人リディアと五歳の息子ノエルを連れていた。 「この子を、オルブライト伯爵家の跡継ぎにする。君は今まで通り、飾りの妻でいればいい」 そう告げられたセレスティアは、静かに婚姻契約書を取り出す。 第七条。 夫が妻の書面同意なく婚外の子を跡継ぎとし、妻の持参財や商会権利をその子の相続財産に含めようとした場合、妻は即時離縁、持参財返還、違約金、資産回収を請求できる。 一か月前、王立契約院の立会人ユリウスに問われて、セレスティアはようやく自分の望みを言葉にした。 愛ではなく、自分の名を取り戻したい。 夫の契約違反が公の場で明らかになる時、飾りと呼ばれた妻は、自分の人生を取り戻す。
24h.ポイント 1,925pt
小説 774 位 / 233,961件 恋愛 417 位 / 67,511件
文字数 14,065 最終更新日 2026.06.12 登録日 2026.06.12
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「クラリス・ヴァレンティア。今宵、この場をもって、私は君との婚約を破棄する」 王宮夜会の場で、公爵令嬢クラリスは王太子ジルベルトから婚約破棄を宣言される。 挙げられた罪は五つ。 隣国特使との密会。 王太子公務の妨害。 男爵令嬢リゼットへの嫉妬。 王家印章の窃盗。 そして、公爵家の軍事力を使った反逆。 誰もがクラリスを罪人として見つめる中、彼女だけは反論せず、最後まで王太子に罪状を読み上げさせた。 なぜなら、その発言を公の記録に残す必要があったから。 「では六つ目だけは、私から告発いたします」 クラリスが告発したのは、王太子による国家反逆。 婚約破棄は、彼女と公爵家を排除し、隣国との密約を完成させるための断罪劇だった。 五つの罪状は、本当にクラリスの罪なのか。 王太子が隠した六つ目の罪とは何か。 断罪されるはずの公爵令嬢が、証拠と記録で王太子の罪を暴く逆転断罪。
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文字数 23,951 最終更新日 2026.06.05 登録日 2026.06.05
恋愛 完結 短編
「お姉様。王太子妃教育を、わたくしに譲ってくださらない?」 妹ミレーヌにそう言われ、王太子ユリウスにも「民に愛される妃はミレーヌだ」と告げられた公爵令嬢アレシア。 三年間、王太子妃候補として王宮の予定表、謁見、茶会、外交使節、予算調整まで支えてきた彼女は、怒ることなく静かに答えた。 「承知いたしました。すべてお譲りいたします」 華やかな地位だけを望んだ妹は、赤字と青字で埋まった予定表を「見苦しい」と言い、白紙の予定表から始めようとする。 そして三日後。 王宮の予定表は、本当に真っ白になった。 外交使節の歓迎式、王妃の慈善茶会、地方貴族の謁見、王太子の視察。何も決まらず、誰も動けない。 ようやく王宮は気づく。 紙と数字ばかり見ていると笑われたアレシアこそが、王宮を回していたのだと。 けれどアレシアは、もう王太子妃候補として戻るつもりはない。 彼女の能力を正しく評価した若き宰相兼王弟殿下レオンハルトは、アレシアを「便利な裏方」ではなく、正式な補佐として迎えようとする。 一方、妹と王太子は、読まなかった引き継ぎ箱と、捨てた予定表と、軽んじた責任の重さを思い知ることになる。 譲っただけです。 ですが、その後どうなったかまでは、私の責任ではありません。
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