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82.間違えたのですわ
ティファは本当に呆れてものも言えなかった。
ルウにアレだけ言われてもまだ通じている気がしない。
仕方ない。もう選択はひとつしかなさそうだと、ティファは判断した。
オブディシアンの国王陛下やシスティーナにはお世話になっていたから、ティファとしては出来れば二人が悲しむ選択はしたくなかった。
しかし、今の第一王子殿下では存在している方が二人の負担になる。
いや、二人だけではない。
この先、王太子になる第一王女にも、彼女を支える予定の第二王子にもマイナスになることはあってもプラスにはならない。
「ルウ様。もういいですわ。この方には私の気持ちも、国王陛下のお気持ちも、正妃様のお気持ちも、何も伝わらないのです。無駄だということがよく分かりましたの」
「ティファ・・・分かった。もうこれ以上、君が傷つく必要はない」
ルウが優しくティファを抱きしめる。
目の前では、ユリシスが見苦しくも抵抗しているが、ティファはもうそちらを見ようとはしなかった。
「明日、私も一緒に参ります。陛下たちには、私からお話したいと思いますから」
「分かった。オブディシアン王国第一王子を貴族牢へ。明日、あの二人の令嬢と共にオブディシアン王国に移送する」
幽閉処分なら、手紙でもいいかと思っていたが、毒杯となるとキチンと理由を口頭で話しておきたい。
陛下たちが文句を言うことがないことは分かっているが、ケジメとして自分の口から伝えたかった。
「ティ・・・ファっ!」
「無駄だとは思うが、もう一度言う。俺はお前のことを心から軽蔑する。親の気持ちも弟妹の気持ちも、お前を慕う令嬢の気持ちも、それからティファの気持ちも、お前は自分勝手な行動でそれらに泥をかけたんだ。何度も立ち止まる機会はあったのに、お前自身が全部駄目にしたんだ。俺は、ユークレース王国王太子として今回のことをなかったことには出来ない。だが、出来る限りティファの気持ちに寄り添いたいと思っていた。それを駄目にしたのもお前だ」
「ッ!」
ルウの言葉に顔を顰めたユリシスだが、それが押さえつけられた痛みによるものなのか、言われた内容によるものなのか、ティファには分からなかった。
だけど、もういいと思う。
何故なら、ユリシスにはもう選択肢はない。
ユークレース王国に迷惑をかけ、人ひとりを死なせる結果を招いたことで、国王陛下もシスティーナも幽閉などという甘い選択はしない。
王族・・・いや、人としてユリシスは間違ったのだ。
「殿下は間違えたのですわ」
ルウにアレだけ言われてもまだ通じている気がしない。
仕方ない。もう選択はひとつしかなさそうだと、ティファは判断した。
オブディシアンの国王陛下やシスティーナにはお世話になっていたから、ティファとしては出来れば二人が悲しむ選択はしたくなかった。
しかし、今の第一王子殿下では存在している方が二人の負担になる。
いや、二人だけではない。
この先、王太子になる第一王女にも、彼女を支える予定の第二王子にもマイナスになることはあってもプラスにはならない。
「ルウ様。もういいですわ。この方には私の気持ちも、国王陛下のお気持ちも、正妃様のお気持ちも、何も伝わらないのです。無駄だということがよく分かりましたの」
「ティファ・・・分かった。もうこれ以上、君が傷つく必要はない」
ルウが優しくティファを抱きしめる。
目の前では、ユリシスが見苦しくも抵抗しているが、ティファはもうそちらを見ようとはしなかった。
「明日、私も一緒に参ります。陛下たちには、私からお話したいと思いますから」
「分かった。オブディシアン王国第一王子を貴族牢へ。明日、あの二人の令嬢と共にオブディシアン王国に移送する」
幽閉処分なら、手紙でもいいかと思っていたが、毒杯となるとキチンと理由を口頭で話しておきたい。
陛下たちが文句を言うことがないことは分かっているが、ケジメとして自分の口から伝えたかった。
「ティ・・・ファっ!」
「無駄だとは思うが、もう一度言う。俺はお前のことを心から軽蔑する。親の気持ちも弟妹の気持ちも、お前を慕う令嬢の気持ちも、それからティファの気持ちも、お前は自分勝手な行動でそれらに泥をかけたんだ。何度も立ち止まる機会はあったのに、お前自身が全部駄目にしたんだ。俺は、ユークレース王国王太子として今回のことをなかったことには出来ない。だが、出来る限りティファの気持ちに寄り添いたいと思っていた。それを駄目にしたのもお前だ」
「ッ!」
ルウの言葉に顔を顰めたユリシスだが、それが押さえつけられた痛みによるものなのか、言われた内容によるものなのか、ティファには分からなかった。
だけど、もういいと思う。
何故なら、ユリシスにはもう選択肢はない。
ユークレース王国に迷惑をかけ、人ひとりを死なせる結果を招いたことで、国王陛下もシスティーナも幽閉などという甘い選択はしない。
王族・・・いや、人としてユリシスは間違ったのだ。
「殿下は間違えたのですわ」
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