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悪役令嬢と聖女《グリード視点》
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ミチェランティス皇国の神殿は、王都中央に位置している。
真っ白なその建物は全ての民が訪れ、祈りを捧げる教会と、その奥、聖女と呼ばれる者や教主などの限られた人間のみが立ち入れる神殿で構成されていた。
今回の目的地は、神殿の最奥にある祭殿だ。そこに入れるのは、聖女と教主のみ。
教主にアイリス嬢の存在を知らせずに祭殿へ向かわせるには、聖女の協力なくしては無理だった。
現聖女は16歳の少女だ。3年前に聖女になった。
聖女は国の要。国に悪意の持つ魔物が攻め入らないよう結界を張り続ける。
人々の怪我を癒したりする光の魔法持ちは、多くはなくとも何人も存在するが、聖女は常に1人だ。新しい聖女が誕生するときは、前聖女が力を失う時である。
3年前、学園に入学する際の魔力検査で、水晶が虹色に輝き、聖女と認定された。
それ以来、元の名は封印され、聖女と呼ばれる存在になった。
再び、その名を名乗れるのは、新たな聖女が現れたときだ。
家も家族も友人も、自由さえも全て奪われて、ただ国のために祈る存在、それが聖女なのだ。
もちろん、聖女の役を終えた後は、多くの褒賞を与えられ、王族の降嫁と同じ扱いを受ける。
それが1年後なのか10年後なのかはわからないというだけだ。
アイリス嬢は聖女ではない。
ライナスに聞いたところによると、その光は全てが混じり合ったような複雑なものだったそうだ。
そんな色を見たことは1度たりともないし、ライナスもないと言っていた。
アイリス嬢に会い、精霊の森に赴いた時、初めてその理由が分かった気がした。
彼女は聖女などではない。それよりももっと複雑な、そんな大きな力を秘めている。
この存在を知られれば、国や教会に囚われ、一生飼い殺しにされる。
そして、それを防ぐために、目の前の青年はこの国を滅ぼそうとするだろう。
ライナスから、アイリス嬢が隣国の高位貴族であること、そして隣国国王もアイリス嬢をえらく気にかけていることを聞いた。アイリス嬢に何かあれば、間違いなく戦争になる。
そして何より、目の前の青年の手によってこの国は滅ぶだろう。
そう思わせる力を、彼が秘めていることに、俺もライナスも気づいていた。
もしも、アイリス嬢が力を貸してくれれば、聖女を解放できるかもしれない。
だが、他国の、まだ14歳の少女にそれを強いることはできない。
もう3年も聖女の任に就いている少女を救うために、他の人間に苦痛を強いてはいけない。
たとえそれが、最愛の妹だったとしてもー
真っ白なその建物は全ての民が訪れ、祈りを捧げる教会と、その奥、聖女と呼ばれる者や教主などの限られた人間のみが立ち入れる神殿で構成されていた。
今回の目的地は、神殿の最奥にある祭殿だ。そこに入れるのは、聖女と教主のみ。
教主にアイリス嬢の存在を知らせずに祭殿へ向かわせるには、聖女の協力なくしては無理だった。
現聖女は16歳の少女だ。3年前に聖女になった。
聖女は国の要。国に悪意の持つ魔物が攻め入らないよう結界を張り続ける。
人々の怪我を癒したりする光の魔法持ちは、多くはなくとも何人も存在するが、聖女は常に1人だ。新しい聖女が誕生するときは、前聖女が力を失う時である。
3年前、学園に入学する際の魔力検査で、水晶が虹色に輝き、聖女と認定された。
それ以来、元の名は封印され、聖女と呼ばれる存在になった。
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家も家族も友人も、自由さえも全て奪われて、ただ国のために祈る存在、それが聖女なのだ。
もちろん、聖女の役を終えた後は、多くの褒賞を与えられ、王族の降嫁と同じ扱いを受ける。
それが1年後なのか10年後なのかはわからないというだけだ。
アイリス嬢は聖女ではない。
ライナスに聞いたところによると、その光は全てが混じり合ったような複雑なものだったそうだ。
そんな色を見たことは1度たりともないし、ライナスもないと言っていた。
アイリス嬢に会い、精霊の森に赴いた時、初めてその理由が分かった気がした。
彼女は聖女などではない。それよりももっと複雑な、そんな大きな力を秘めている。
この存在を知られれば、国や教会に囚われ、一生飼い殺しにされる。
そして、それを防ぐために、目の前の青年はこの国を滅ぼそうとするだろう。
ライナスから、アイリス嬢が隣国の高位貴族であること、そして隣国国王もアイリス嬢をえらく気にかけていることを聞いた。アイリス嬢に何かあれば、間違いなく戦争になる。
そして何より、目の前の青年の手によってこの国は滅ぶだろう。
そう思わせる力を、彼が秘めていることに、俺もライナスも気づいていた。
もしも、アイリス嬢が力を貸してくれれば、聖女を解放できるかもしれない。
だが、他国の、まだ14歳の少女にそれを強いることはできない。
もう3年も聖女の任に就いている少女を救うために、他の人間に苦痛を強いてはいけない。
たとえそれが、最愛の妹だったとしてもー
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