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三度目の人生
私の幸せのために
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「ふぅ」
思わず漏れてしまったため息に、お父様が気遣わしげに私を見た。
「ずいぶんと、疲れているようだが大丈夫か?」
「大丈夫です。ため息など吐いて、申し訳ございません」
「そんなことはかまわない。それよりも、あの娘の教育に疲れているのではないか?何もレティーナがそんなことをせずとも、あの馬鹿との婚約などなかったことにしてやるぞ」
お父様の言葉に、私は首を横に振った。
確かに、お父様に任せれば、殿下との婚約を解消することはできるかもしれない。
だけど、ロッテンマイヤー公爵家も無傷ではいられないだろう。
仮にも彼は王太子。正妃様の子供だ。
そして、国王陛下は正妃様を寵愛されている。
私は、私を大切に思ってくれている家族を、使用人を傷つけたくない。
だからこそ、記憶喪失だと言って王家側から婚約を解消させようとしたのに、どうしても彼を王太子にしたい正妃様に認めてもらえなかった。
なら、他の女性に傾倒している殿下を使うしかないでしょう?
夜会で宣言すれば、いくら正妃様でもそれを撤回することは難しい。
だけど、隣に立つキャス様があまりにも酷い場合は、正妃にできないと言われてしまう。
だからこその教育。
前回は、社交界にも出れなかったし、貴族令嬢として生きれなかったけど、侯爵夫人として生きた記憶は、私を助けてくれる。
「大丈夫です。それに、キャス様は物覚えは悪いですが、ちゃんと頑張ろうとはしてくれています。素直な方なんですよ」
平民なんだから、淑女教育を受けている貴族令嬢と同じようにできなくて当たり前。
それでも、泣き言は言いながらも私に文句は言ってこないキャス様に対して、私はそれなりに好感を抱いていた。
少なくとも、初対面で私を怒鳴りつけてきたあの婚約者様よりは何倍もマシだ。
「これは私が幸せになるために、私が頑張る案件です。お父様もお母様も、どうか夜会の際でお力をお貸しください」
「もちろんだ」
「ええ。必ず、婚約を解消してみせるわ」
お父様とお母様が力強く頷いてくれる。
ふふっ。
やっぱり、家族に大切にされるって幸せなことだわ。
あんなに辛くて悲しかった気持ちが、癒されていくのが分かる。
だけど前回も前々回も、私は殺されてしまった。
侍女に刺されて。
義妹に刺されて。
もう、油断したりしない。
両親や使用人たちが私を刺すとは思わないけど、廃太子された後の殿下や正妃様は要注意だわ。
私は今回は必ず生き残ってみせる!
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