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四度目の人生
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「貴様ッ!俺の可愛いフィリアをいじめたなっ!」
礼拝堂の掃除をしていると、いきなりやって来た男の人が、怒鳴り散らしてきた。
その男の腕には、金髪碧眼の女性がピタリと体を寄せている。
彼女は、フィリア・ランスロット。
ランスロット侯爵家のご令嬢で、一応聖女様だ。
彼女の聖女の力は、軽度の切り傷くらいなら治せる程度。
ただそれでも、この世界では貴重な聖女のひとりだ。
ところで、この男は誰かしら?
俺の、とか言ってたからフィリアさんの恋人とか?
でもフィリアさんて、王太子のことを好きなんじゃないのかしら?日記にはそう書かれていたけど。
私はチラリと視線を向けたが、まぁいいか、と掃除を再開した。
「貴様っ!この国の王太子である俺を無視するとは、どういうことだ!」
あら?王太子って言った?
じゃあ、この人が私の婚約者ってこと?
あー。
確かに日記に書いてたとおりに、酷いわね。
「いくら平民だとはいえ、貴様呼ばわりされる覚えはありません」
「口ごたえするなっ!貴様、俺のフィリアに『フィリアさん、掃除をして下さい』などと命令しただろう!大体、平民の貴様が侯爵令嬢に対して敬称を付けないとはどういうことだ!」
私は窓を拭いていた手を止めると、王太子とやらに向き返った。
「敬称を付けないことに不満があるのなら、司教様におっしゃって下さい。司教様がお決めになったことです。フィリアさん以外の聖女の方々のことも全員、さんとお呼びしています。それから掃除ですが、これも聖女である全員が礼拝堂と聖堂の掃除をすることが決められています。事実かどうかは知りませんが、怠った者は聖なる力を失うと言われているそうですよ」
「べ、別に私は怠ったわけではなくて・・・」
「私に言い訳して下さらなくても、司祭様たちに報告したりしませんよ。報告などしなくても、司祭様たちも・・・それから神様も全てをご存知ですから」
少なくとも、私を転生させた神様とやらは、私を見ている。
それに誰も告げ口しなくても、司祭様も司教様も、聖女たちの言動に関してご存知なのだと日記にあった。
監視カメラ・・・はこの世界にはないけれど、聖女の力があるのなら、何かそれに似た魔法とかがあるのかもしれない。
もしくは、王家の影のような、特殊な部隊とか。
別にレティーナは気にしていなかったみたいだし、私も気にしない。
恥ずべき言動をしなければ良い話だから。
目の前のフィリアさんは、顔を青くして、王太子の腕から手を離した。
「ま、窓を拭けば良い?」
「・・・そうですね。では、私はこちらを拭きますので、そちら側をお願いします」
「お、おい?フィリア」
「・・・」
あら?王太子の呼びかけも無視してるわ。
何か心当たりがあるのかしら。
礼拝堂の掃除をしていると、いきなりやって来た男の人が、怒鳴り散らしてきた。
その男の腕には、金髪碧眼の女性がピタリと体を寄せている。
彼女は、フィリア・ランスロット。
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彼女の聖女の力は、軽度の切り傷くらいなら治せる程度。
ただそれでも、この世界では貴重な聖女のひとりだ。
ところで、この男は誰かしら?
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でもフィリアさんて、王太子のことを好きなんじゃないのかしら?日記にはそう書かれていたけど。
私はチラリと視線を向けたが、まぁいいか、と掃除を再開した。
「貴様っ!この国の王太子である俺を無視するとは、どういうことだ!」
あら?王太子って言った?
じゃあ、この人が私の婚約者ってこと?
あー。
確かに日記に書いてたとおりに、酷いわね。
「いくら平民だとはいえ、貴様呼ばわりされる覚えはありません」
「口ごたえするなっ!貴様、俺のフィリアに『フィリアさん、掃除をして下さい』などと命令しただろう!大体、平民の貴様が侯爵令嬢に対して敬称を付けないとはどういうことだ!」
私は窓を拭いていた手を止めると、王太子とやらに向き返った。
「敬称を付けないことに不満があるのなら、司教様におっしゃって下さい。司教様がお決めになったことです。フィリアさん以外の聖女の方々のことも全員、さんとお呼びしています。それから掃除ですが、これも聖女である全員が礼拝堂と聖堂の掃除をすることが決められています。事実かどうかは知りませんが、怠った者は聖なる力を失うと言われているそうですよ」
「べ、別に私は怠ったわけではなくて・・・」
「私に言い訳して下さらなくても、司祭様たちに報告したりしませんよ。報告などしなくても、司祭様たちも・・・それから神様も全てをご存知ですから」
少なくとも、私を転生させた神様とやらは、私を見ている。
それに誰も告げ口しなくても、司祭様も司教様も、聖女たちの言動に関してご存知なのだと日記にあった。
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「・・・そうですね。では、私はこちらを拭きますので、そちら側をお願いします」
「お、おい?フィリア」
「・・・」
あら?王太子の呼びかけも無視してるわ。
何か心当たりがあるのかしら。
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