虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

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最終章

イヴァン・アストニアの秘密

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 自分の気持ちを偽ったり誤魔化して、イヴァン様のお気持ちまで傷つけるのはやめよう。

 そう決意して顔を上げると、隣に座っているイヴァン様がソファーの背もたれに背をつけるのが見えた。

「イヴァン、様?」

「レティ。僕はねズルい人間なんだ」

「どういうことですか?」

 私がズルいと言われるのなら分かるけど。

「やっぱりちゃんと話さずに、レティの気持ちを手に入れようなんて君に相応しくないって見抜かれてるのかな、ってね。だから、今から正直に話す。その上で婚約を考えて欲しい」

「よく・・・分かりませんが、イヴァン様のお心に従いますわ」

「ありがとう。まず最初に言っておくけど、僕は本当に君が好きだよ。君が王女でも平民でも、その気持ちは変わらない」

 その言葉に胸が温かくなる。
嬉しい。私自身を見て、好きだと言ってくれている。

 それが何よりも嬉しい。

「でも、僕は王女の君に相応しくない」

「え?」

「サウスクラウド王国に、アストニアという貴族家は存在しない。僕は幼い頃に王宮に突然現れた異端者だ」

「異端・・・?」

 アストニアという貴族が存在しない?
どういうこと?
 それに、突然現れたって・・・

「サウスクラウド王国は魔法大国だ。当然、王宮は魔法師たちの魔法結界が張られている。そこに、突然現れたのが僕だ。どこから来たのかも、どうやって王宮に現れたのかも分からない。転移魔法なんて使われた形跡はなかったそうだ。本来なら拘束され、処分されてもおかしくない。なのに、魔法師長が僕を引き取ってくれた」

「記憶は・・・ないのですか?」

「うん。名前すら覚えていない。イヴァンという名は、僕の面倒を見てくれたその魔法師長が付けてくれたんだ。当時は、王弟殿下との争いがあったから、陛下としても魔法師長に強くは出られなかったんだ」

「王弟殿下との・・・では、イヴァン様が五歳頃のことなのですね」

 アルフレッド陛下が、うちに来られていた頃ね。

「年齢も、多分五歳くらいだろうって魔法師長が決めたんだ。たまたま僕は魔力量が多くて、魔法の才があった。そのことで魔法師長に気に入られたのかもしれない。理由を聞いたら、何となくだと言われたけどね」

「お優しい方だったのですね」

「うーん、魔法に関しては厳しかったよ。それに、何者かもわからない人間を引き取るような人だよ?なかなかの食えない爺さんさ」

 そう言いながらも、イヴァン様はその魔法師長様を尊敬しているのだろう。

「アストニアという名は、アルフレッドが戻ってきた時にくれたんだ。爵位もくれるって言ったけど、それは断った。だから、イヴァンという名もアストニアという名も、本当の僕のものではない。だけど、だからといって本当の僕が何なのかそれもわからない」

 だから、私には相応しくないんだとイヴァン様は続けた。
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