虐げられ令嬢の最後のチャンス〜今度こそ幸せになりたい

みおな

文字の大きさ
132 / 144
最終章

あなたが何者であっても

しおりを挟む
 私は、何をどう言えば良いのか分からず、ただイヴァン様を見つめることしか出来なかった。

 魔法結界の張られた王宮に、突然現れた子供。
 転移魔法の形跡は見られず、明らかに『普通』ではない少年。

 それを受け入れてくれたのは、魔法師長であり、国王になるべく国に戻ったアルフレッド陛下だった。

 自分は貴族ではないから、王女の私には相応しくない。

 イヴァン様は、そうおっしゃっているのね。

 ふふっ。
変なの。最初は、私がイヴァン様に相応しくないって話だったはずなのに。

 嫉妬することで、嫌われるんじゃないかって不安だったはずなのに。

 また殺されるのではと不安だったはずなのに。

 いつの間にか、不安なのはイヴァン様になってる。

 自分が何者かわからないんだもの。不安なの、当たり前よね。

 魔法師長様やアルフレッド陛下には、イヴァン様が国に害をなすんじゃないかって懸念はなかったのかしら。

 私は・・・

「自分が、誰かをこんなに好きになるなんて思わなかった。今まで誰かに惹かれたことも、執着したこともなかったから。だって僕は人間じゃないかもしれない。そんな僕に好かれても、一緒にはなれない。だけど、レティのことだけは駄目なんだ。君が欲しくて仕方がないんだ」

「イヴァン様」

「ごめん。分かってる。自分でも無茶苦茶だって」

 そうね。
貴族でないのなら、王女の降嫁先には相応しくない。

 イヴァン様が魔物や人に害なす存在だとは思えないけど、危険がある限りファンブルク王国では暮らせない。

「学園を卒業するまでで良い。もう少しだけレティのそばにいさせて欲しい」

「その後は、サウスクラウド王国に戻られるのですか?」

「サウスクラウド王国には戻らない。元々、成人したら国を出るって決めてたんだ。婚約とか申し込みが出てくるから・・・」

 ああ。
貴族でないことも、何者か分からないことも、魔法師長様やアルフレッド陛下しかご存知ないのね。

 だから、婚約の申し込みが来そうだからファンブルク王国へ来られた。

「学園を卒業したら・・・」

「うん」

「一緒に他の国を旅しましょうか」

「え?」

 私が過去に殺されてきたことも、そのことに誰かの思惑があることも、全部イヴァン様にお話しよう。

 だって、私がこの人と離れたくないんだもの。

 この人が何者であっても、好きなんだもの。

「私はイヴァン様が何者であっても、あなたのことをお慕いしております。ただ王女として降嫁することはできませんから、王籍から抜いて貰わなければなりませんけど。平民同士なら、どこへでも行けますわ。贅沢はできないでしょうけど」

 魔法も少しは使えるようになったし、冒険者になれたりするかしら。
しおりを挟む
感想 45

あなたにおすすめの小説

果たされなかった約束

家紋武範
恋愛
 子爵家の次男と伯爵の妾の娘の恋。貴族の血筋と言えども不遇な二人は将来を誓い合う。  しかし、ヒロインの妹は伯爵の正妻の子であり、伯爵のご令嗣さま。その妹は優しき主人公に密かに心奪われており、結婚したいと思っていた。  このままでは結婚させられてしまうと主人公はヒロインに他領に逃げようと言うのだが、ヒロインは妹を裏切れないから妹と結婚して欲しいと身を引く。  怒った主人公は、この姉妹に復讐を誓うのであった。 ※サディスティックな内容が含まれます。苦手なかたはご注意ください。

【完結】一番腹黒いのはだあれ?

やまぐちこはる
恋愛
■□■ 貧しいコイント子爵家のソンドールは、貴族学院には進学せず、騎士学校に通って若くして正騎士となった有望株である。 三歳でコイント家に養子に来たソンドールの生家はパートルム公爵家。 しかし、関わりを持たずに生きてきたため、自分が公爵家生まれだったことなどすっかり忘れていた。 ある日、実の父がソンドールに会いに来て、自分の出自を改めて知り、勝手なことを言う実父に憤りながらも、生家の騒動に巻き込まれていく。

【完結】あなたを忘れたい

やまぐちこはる
恋愛
子爵令嬢ナミリアは愛し合う婚約者ディルーストと結婚する日を待ち侘びていた。 そんな時、不幸が訪れる。 ■□■ 【毎日更新】毎日8時と18時更新です。 【完結保証】最終話まで書き終えています。 最後までお付き合い頂けたらうれしいです(_ _)

【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる

kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。 いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。 実はこれは二回目の人生だ。 回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。 彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。 そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。 その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯ そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。 ※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。 ※ 設定ゆるゆるです。

【完結】身代わり皇妃は処刑を逃れたい

マロン株式
恋愛
「おまえは前提条件が悪すぎる。皇妃になる前に、離縁してくれ。」 新婚初夜に皇太子に告げられた言葉。 1度目の人生で聖女を害した罪により皇妃となった妹が処刑された。 2度目の人生は妹の代わりに私が皇妃候補として王宮へ行く事になった。 そんな中での離縁の申し出に喜ぶテリアだったがー… 別サイトにて、コミックアラカルト漫画原作大賞最終候補28作品ノミネート

アンジェリーヌは一人じゃない

れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。 メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。 そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。 まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。 実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。 それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。 新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。 アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。 果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。 *タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*) (なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)

私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?

きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。 しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

処理中です...