11 / 18
永遠に崩れない
しおりを挟む
お題「『猪目笠の男』から思い浮かぶ詩、または短編小説を書きなさい。ただし、どこかに『乾杯』というワードを入れること。」
「……これ何ですか?可愛い」
ブレザーのスカートを微かに揺らしながら前かがみになり、俺のデスクの上に飾られた小さな人形を見る17歳の教え子。
「猪目笠の男」
あくび混じりに椅子にもたれて腕を組み、何気なく職員室内にいる周りの教師の動きに目を遣る。
「何ですか、それは。怪しくて可愛い」
こいつは一度始まったらしつこいんだよな、色々と。
「ハートだ、あ、腰のところにも」
「あぁ」
「どこで買ったんですか?」
「旅行の土産だよ、三重だったかな」
「お土産?誰からの?」
「嫁さん」
凛と上がるまつ毛の奥にある黒目が濃くなっていく。
「あ、急に可愛くなくなりました」
キーンコーンカーンコーン
「ほら、掃除だぞ」
「……はぁい」
予鈴によって発生する学校中にいる人間の濁流が、俺たちの間に流れる微妙な空気を覆い隠す。
それを利用して彼女が呟く言葉は。
「先生、今日も好きです」
「だめです」
パタパタと行ってしまった彼女。
自由でいいよな、若いやつは……。
つい大人になった姿を想像してしまう。
「乾杯っ」
そんなフレーズを赤い唇から零し、チェーンのピアスを揺らしてグラスを傾ける彼女。
そして結局こう呼ぶんだ。
「ねぇ、先生」
だめだ、俺たちの関係は永遠に崩れない。
そしてそれが一番居心地がいいんだよ。
「……これ何ですか?可愛い」
ブレザーのスカートを微かに揺らしながら前かがみになり、俺のデスクの上に飾られた小さな人形を見る17歳の教え子。
「猪目笠の男」
あくび混じりに椅子にもたれて腕を組み、何気なく職員室内にいる周りの教師の動きに目を遣る。
「何ですか、それは。怪しくて可愛い」
こいつは一度始まったらしつこいんだよな、色々と。
「ハートだ、あ、腰のところにも」
「あぁ」
「どこで買ったんですか?」
「旅行の土産だよ、三重だったかな」
「お土産?誰からの?」
「嫁さん」
凛と上がるまつ毛の奥にある黒目が濃くなっていく。
「あ、急に可愛くなくなりました」
キーンコーンカーンコーン
「ほら、掃除だぞ」
「……はぁい」
予鈴によって発生する学校中にいる人間の濁流が、俺たちの間に流れる微妙な空気を覆い隠す。
それを利用して彼女が呟く言葉は。
「先生、今日も好きです」
「だめです」
パタパタと行ってしまった彼女。
自由でいいよな、若いやつは……。
つい大人になった姿を想像してしまう。
「乾杯っ」
そんなフレーズを赤い唇から零し、チェーンのピアスを揺らしてグラスを傾ける彼女。
そして結局こう呼ぶんだ。
「ねぇ、先生」
だめだ、俺たちの関係は永遠に崩れない。
そしてそれが一番居心地がいいんだよ。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる