恋煩いの回転木馬

小春佳代

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遠くに行くことに変わりない

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相手が自分を好きかどうかとか
自分が相手を好きかどうかとか

どうゆう瞬間に決定的になるんだろう



もし、相手が実は僕を好きでいてくれて
本当に、自分が相手を好きだとしたのなら

それが後一ヶ月しか会えない運命なら

このからぶった両想いのような気持ちを

目と目を合わせて話をする時の
この「本当はどう想われているんだろう」
という気持ちを

少し離れた距離にいる相手の横顔を見た時の
この「今ある感情をどうすればいいんだろう」
という気持ちを

二人、過ごせる時間が終わるまで
僕は両手で抱えて
そして身動きがとれないんだ、きっと



両手で抱えた大きな気持ちは
自分の口の高さまでふくらんでいた

そのせいで口が塞がれて
言いたいことが言えないよ

『僕がずっとここにいられるのなら……』



相手が僕の言動に楽しそうな反応を示す時

相手が僕の目を一度見たら離さない時

相手が「なんで遠くに行っちゃうの?」
という言葉を口にした後に
寂しそうにうつむいた時

僕は思ってしまうんだよ

君に好かれているかもしれないのに

どうして僕はここにいることを
選択しなかったんだろうって



僕が今後行く道に、君以上の何かがあるのかな

そう、それは分からない、あるかもしれない

あるかもしれないのに



「なんで遠くに行っちゃうの?」
君が咄嗟にそう言った時

僕は一瞬言葉が出ずに
ただ君の顔を見てしまったんだ

ここで「好き」と伝えることと
ここで二人が無言になることに

何の違いがあるんだろう
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