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第二章
第二十八話 ダンスパーティの始まり
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暫くして。王宮でダンスパーティが開かれる事になった。わたしも王宮から招待を受けている。デビュタントの時の様にタクト様からは、彼の髪の色とお揃いの深いブルーカラーの素敵なドレスを贈って頂いていた。ただ当日はティアナ様のエスコートをする事となり、何だかメチャクチャ謝られた。
実は殿下からその話は事前に聞いていたから……わたしとしては、そこ迄気にしてないんだけどね。それに今回のダンスパーティでもしかしたらヒロインの決定的な証拠を掴む事が出来そうだと言われているから、逆にエスコートされなかった事は良かったかもしれない。これで当日わたしも自由に動く事が出来る。
エスコートは弟のアスウェルにお願いした。アスウェルはわたしの二つ年下で、我が伯爵家の嫡男だ。まだ十四歳になったばかりだけど、最近ぐんぐんと背も伸びてきて頼もしく成長してきている。身長は既にわたしを追い越してしまった。
わたしとお揃いのラベンダーカラーの髪はクルクルとした巻き毛で、瞳の色もわたしと同じラズベリーカラー。二人並んでいたらすぐに姉弟だと分かるだろう。なかなか社交的な性格をしているので、わたしが傍を離れても上手く立ち回れるだろう。
メイド達にドレスを着せて貰い、あとは出発の時間を待つだけとなった。
「姉上、準備出来ましたか?」
わたしと同じくモブらしい平凡な顔立ちのアスウェルが顔を出した。
「ええ、少し早いけど出掛けましょう。ウェル」
予定より少し早目だが、出来たらヒロインが到着する前に王宮には着いていたい。表に用意された馬車に向かうと、不思議な違和感を覚えた。いつもならカーマインが馬車前で待機してる筈なのに姿が見えない。
「どうしました、姉上?」
「……ウェル、なんか、変じゃない?」
「え、なにが……」
そうウェルが答えかけた時、ウェルの身体が真横に吹っ飛んだ。
「ウェル!?」
何が起きたのか分からなくて、倒れたウェルに駆け寄ろうとしたら背後から何者かにハンカチを口元に押さえつけられて目を見開く。
「…………暫くお眠り」
「ううっ!?」
薄らいでく景色の中で、玄関先に付いてきていた侍女やメイド達が皆倒れているのが見えて――わたしはそこまでで意識を失った。
実は殿下からその話は事前に聞いていたから……わたしとしては、そこ迄気にしてないんだけどね。それに今回のダンスパーティでもしかしたらヒロインの決定的な証拠を掴む事が出来そうだと言われているから、逆にエスコートされなかった事は良かったかもしれない。これで当日わたしも自由に動く事が出来る。
エスコートは弟のアスウェルにお願いした。アスウェルはわたしの二つ年下で、我が伯爵家の嫡男だ。まだ十四歳になったばかりだけど、最近ぐんぐんと背も伸びてきて頼もしく成長してきている。身長は既にわたしを追い越してしまった。
わたしとお揃いのラベンダーカラーの髪はクルクルとした巻き毛で、瞳の色もわたしと同じラズベリーカラー。二人並んでいたらすぐに姉弟だと分かるだろう。なかなか社交的な性格をしているので、わたしが傍を離れても上手く立ち回れるだろう。
メイド達にドレスを着せて貰い、あとは出発の時間を待つだけとなった。
「姉上、準備出来ましたか?」
わたしと同じくモブらしい平凡な顔立ちのアスウェルが顔を出した。
「ええ、少し早いけど出掛けましょう。ウェル」
予定より少し早目だが、出来たらヒロインが到着する前に王宮には着いていたい。表に用意された馬車に向かうと、不思議な違和感を覚えた。いつもならカーマインが馬車前で待機してる筈なのに姿が見えない。
「どうしました、姉上?」
「……ウェル、なんか、変じゃない?」
「え、なにが……」
そうウェルが答えかけた時、ウェルの身体が真横に吹っ飛んだ。
「ウェル!?」
何が起きたのか分からなくて、倒れたウェルに駆け寄ろうとしたら背後から何者かにハンカチを口元に押さえつけられて目を見開く。
「…………暫くお眠り」
「ううっ!?」
薄らいでく景色の中で、玄関先に付いてきていた侍女やメイド達が皆倒れているのが見えて――わたしはそこまでで意識を失った。
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