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第二章 戸惑う心 触れ合う身体
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別荘へ滞在するようになって一週間が過ぎた頃、カナリアの身体はすっかり元気になっていた。
意識の戻らない日が続いていたとは思えない程の異常な回復ぶりだった。
以前、定期的に発症していた原因不明の発作も見られなくなり、医者の診察も一日二回から隔日へと減っている。例の凄い味のする薬の量も格段に減っていて、カナは内心胸を撫で下ろしていた。
急に元気になった理由はわからないが、自分の身体が(正確には違うのだが)自分の思い通りに動かないことに大きなストレスを感じていたカナにとっては非常に喜ばしいことだ。
朝はスッキリ起きられるし、自分で身支度を整え、窓を開けて朝の清々しい空気を室内へと取り入れた。
着替えを済ませ、顔を洗い、髪をとかして、軽い化粧程度なら自分で済ませた。
白粉をはたき、チークをのせ、リップを塗る程度だったが、以前の病人っぽさはすでになく、肌には血色が戻りこけていた頬も張りが出て、唇もツヤツヤしている。
ほんの少し色をのせただけで、見違えるように様相を変える素材の良さに、慣れないなとは思いつつ、シミも小皺もない肌にはそれなりに満足していた。
いつもの朝のルーティーンを済ませたところで、部屋の扉が控え目にノックされた。返事をすると、姿を見せたのはナタリーだ。
「おはよう、リア。身体の具合はどう?」
「おはよう、ナタリー。もうすっかり良いみたい」
「そう。良かった。今日はどうしましょうか?」
「んー、そうね……この間の本の続きが読みたいのだけど」
「分かったわ。朝食の後に本をお借り出来るか、旦那様に確認しておくわ」
「ええ。ありがとう」
何気ない会話を交わし、朝食の為一階のダイニングへと向かうカナリアの後に続きながら、ナタリーはいまだに違和感しかない彼女の背をじっと見つめる。
ここ数年は部屋を出る事はおろか、ベッドから出る事も稀だったカナリアが、今こうして目の前を自分の足で歩いている。
ずっと待ち望んだ筈の光景なのに、いざ急にそんな状況に陥ると、逆に慣れないものなのだと分かった。
カナリアの身の回りの事は全てナタリーがやってきた。
それが当たり前の事であったし、アズベルトのお屋敷に仕えるようになって、カナリアの専属にしてもらえた事は信頼の証であり、ナタリーにとっては名誉な事だったのだ。
それがある日突然不要だと言われた。
「ナタリーはやらなきゃいけない事が沢山あって忙しいでしょう? だから、自分で出来る事くらい自分でやるわ!」
それがカナの言い分だった。
カナからすればそれはごく当たり前の事で、大きな屋敷を一生懸命掃除したり、食事や備品の手配をしてくれたり、カナリアの身の回りの世話を焼いたりと、忙しく動き回るナタリーの負担を少しでも減らしたいという配慮からでもあった。
それは理解出来る。貴族位の制度が無いと言っていたカナの世界では、それが当たり前の事だと聞いたし、実際そうする事でナタリーの仕事が減った訳だから、身体も楽になった。カナ自身も悪気があって言っている訳ではもちろん無い。それも十分分かっている。
しかし、ナタリーは複雑な想いを抱かずにはいられなかった。
カナリアが元気になる事が嬉しい筈なのに、ベッドから出て自由に動き回っていればいる程、それは『カナ』なのだと思い知らされている気がした。
ある時。
「ナタリー。髪の毛をまとめたいのだけど、髪留めってどこかしら?」
「どうしたの、リア。今日はお客様の予定はないわよ?」
鏡台に座らせ、櫛を手に取るナタリーを鏡越しに見つめながら、カナリアが楽しそうに笑っている。
「お掃除しようと思って」
「え?」
驚きに手が止まってしまったナタリーに、そんなに驚く事なのかと思いながら笑みを深くするカナリア。
「自分の部屋くらい自分でやるわ! ナタリー、他にもやらなきゃいけない事が沢山あるでしょう?」
「……それはそうだけど……」
「せっかく動けるようになったのに、ベッドの中にばかりいたら逆に具合が悪くなっちゃうもの」
楽しそうに屈託のない可憐な笑顔を向けられてしまえば、ナタリーには断る理由も拒否する理由も無いのだった。
また別の日。
「ナタリー、キッチンを使わせて欲しいのだけど……」
「キッチンですって?」
驚きに目を丸くするナタリーに、いけない事を言ってしまっただろうかと、不安げに眉尻を下げるカナリアが声を落として呟く。
「やっぱり……ダメ……?」
「あ……いえ、ダメという訳では……。でもどうして?」
「お茶の時間に食べるクッキーを焼きたいの」
お菓子を作りたいという彼女に、ナタリーは思案するように睫毛を伏せる。アズベルトに許可を取らなければ難しいかと予想していたカナリアは、すっかり肩を落としてしまった。
「やっぱり、私がキッチンを使うだなんて、おかしいわよね?」
「そんな事ないわ! 少し驚いただけ。お菓子作りくらいなら大丈夫だと思うし、私も手伝うから一緒に作りましょう」
「本当? 本当に良いの?」
「ええ」
途端に顔を綻ばせる姿に、ナタリーの頬も緩む。
「嬉しい! ナタリー、ありがとう!! ……あ、その……」
喜んだと思ったら、今度は何かを探るように、言いにくそうにナタリーを伺い見てくる。
「アズは、甘いものとか食べる人……?」
「ええ。特にお嫌いなものは無いわ」
「そう。……いや、その、お世話になってるから……その……」
「きっと、お喜びになると思うわ」
そう伝えた時の彼女の表情が本当に可愛らしくて天使のようで、ナタリーはズキズキと疼く胸の痛みを堪えながら、いつも通りの笑顔を浮かべたのだった。
毎日の食事も液体状のものから通常の食事へとすっかり移り変わった頃には、カナリアの身体は本来の調子を取り戻していた。
元々滑らかで白かった肌には艶が戻り、胸周りにも張りが出た。細かった腕や足もふっくらしてきたし、小振りなお尻にもしっかり弾力が戻った。アズベルトにとっても、ナタリーにとっても喜ばしい事だ。
何より思うように動かない自分の身体にフラストレーションが溜まっていたカナにとっては喜ばしい限りだ。
ナタリーもカナリアが精力的に動いて何でもやろうとする姿は本当に嬉しかった。
今まで一緒にやりたいと思っていた手仕事を一緒にやってみたり、協力して作ったお菓子を食べておしゃべりしたり、国についての歴史書を読んだり、フォーミリオ領について学んだり。
楽しい時を共有出来る事に喜びを感じていた。
しかし、心の奥の方で僅かに燻っている違和感をずっと拭えないままだった。
心を覆っている薄い膜には見えない傷が無数に刻まれている。それでもナタリーは最後の希望に望みを託し、その傷は見えないフリをしていた。
認めてしまえば揺らいでしまいそうで怖かった。
アズベルトならきっと何とかしてくれる。カナリアはきっと戻ってくる。その思いだけが、ナタリーの気持ちを奮い立たせる唯一の拠り所だったのだ。
朝食後、ナタリーは今日も登城するというアズベルトを見送った。
カナリアは先日の本の続きを読むと言って、アズベルトが貸した本を持ち、ダイニングで彼を見送った後部屋へと入っている。
玄関まで見送ると言った彼女を『ここでいい』と言ったのはアズベルトの方だ。
「無理せず徐々にで良い」と言ったその言葉には、嘘はないと思う。調子が戻ってきたとはいえ、カナリアの身体を案じてのセリフだったと思う。
カナリアはカナリアで、考えがあっての事なのだろう。食い下がる事はせず、素直に聞き入れ早々にダイニングを後にした。
「後を頼む」
そう告げて愛馬にまたがる主人の背を見つめていた。
他の使用人がいる場所では、ナタリーの目にも普段通りに接している。
が、今のように三人だけの時は、二人の間に何ともいえないぎこちなさが垣間見えた。
ナタリーの知る二人からはかけ離れたその姿が、『カナリア』は何処にも居ないのだと暗に言われているようで、その度にナタリーを侵食していく不安という名の靄は一層厚く濃く心を覆い尽くしていくのだった。
意識の戻らない日が続いていたとは思えない程の異常な回復ぶりだった。
以前、定期的に発症していた原因不明の発作も見られなくなり、医者の診察も一日二回から隔日へと減っている。例の凄い味のする薬の量も格段に減っていて、カナは内心胸を撫で下ろしていた。
急に元気になった理由はわからないが、自分の身体が(正確には違うのだが)自分の思い通りに動かないことに大きなストレスを感じていたカナにとっては非常に喜ばしいことだ。
朝はスッキリ起きられるし、自分で身支度を整え、窓を開けて朝の清々しい空気を室内へと取り入れた。
着替えを済ませ、顔を洗い、髪をとかして、軽い化粧程度なら自分で済ませた。
白粉をはたき、チークをのせ、リップを塗る程度だったが、以前の病人っぽさはすでになく、肌には血色が戻りこけていた頬も張りが出て、唇もツヤツヤしている。
ほんの少し色をのせただけで、見違えるように様相を変える素材の良さに、慣れないなとは思いつつ、シミも小皺もない肌にはそれなりに満足していた。
いつもの朝のルーティーンを済ませたところで、部屋の扉が控え目にノックされた。返事をすると、姿を見せたのはナタリーだ。
「おはよう、リア。身体の具合はどう?」
「おはよう、ナタリー。もうすっかり良いみたい」
「そう。良かった。今日はどうしましょうか?」
「んー、そうね……この間の本の続きが読みたいのだけど」
「分かったわ。朝食の後に本をお借り出来るか、旦那様に確認しておくわ」
「ええ。ありがとう」
何気ない会話を交わし、朝食の為一階のダイニングへと向かうカナリアの後に続きながら、ナタリーはいまだに違和感しかない彼女の背をじっと見つめる。
ここ数年は部屋を出る事はおろか、ベッドから出る事も稀だったカナリアが、今こうして目の前を自分の足で歩いている。
ずっと待ち望んだ筈の光景なのに、いざ急にそんな状況に陥ると、逆に慣れないものなのだと分かった。
カナリアの身の回りの事は全てナタリーがやってきた。
それが当たり前の事であったし、アズベルトのお屋敷に仕えるようになって、カナリアの専属にしてもらえた事は信頼の証であり、ナタリーにとっては名誉な事だったのだ。
それがある日突然不要だと言われた。
「ナタリーはやらなきゃいけない事が沢山あって忙しいでしょう? だから、自分で出来る事くらい自分でやるわ!」
それがカナの言い分だった。
カナからすればそれはごく当たり前の事で、大きな屋敷を一生懸命掃除したり、食事や備品の手配をしてくれたり、カナリアの身の回りの世話を焼いたりと、忙しく動き回るナタリーの負担を少しでも減らしたいという配慮からでもあった。
それは理解出来る。貴族位の制度が無いと言っていたカナの世界では、それが当たり前の事だと聞いたし、実際そうする事でナタリーの仕事が減った訳だから、身体も楽になった。カナ自身も悪気があって言っている訳ではもちろん無い。それも十分分かっている。
しかし、ナタリーは複雑な想いを抱かずにはいられなかった。
カナリアが元気になる事が嬉しい筈なのに、ベッドから出て自由に動き回っていればいる程、それは『カナ』なのだと思い知らされている気がした。
ある時。
「ナタリー。髪の毛をまとめたいのだけど、髪留めってどこかしら?」
「どうしたの、リア。今日はお客様の予定はないわよ?」
鏡台に座らせ、櫛を手に取るナタリーを鏡越しに見つめながら、カナリアが楽しそうに笑っている。
「お掃除しようと思って」
「え?」
驚きに手が止まってしまったナタリーに、そんなに驚く事なのかと思いながら笑みを深くするカナリア。
「自分の部屋くらい自分でやるわ! ナタリー、他にもやらなきゃいけない事が沢山あるでしょう?」
「……それはそうだけど……」
「せっかく動けるようになったのに、ベッドの中にばかりいたら逆に具合が悪くなっちゃうもの」
楽しそうに屈託のない可憐な笑顔を向けられてしまえば、ナタリーには断る理由も拒否する理由も無いのだった。
また別の日。
「ナタリー、キッチンを使わせて欲しいのだけど……」
「キッチンですって?」
驚きに目を丸くするナタリーに、いけない事を言ってしまっただろうかと、不安げに眉尻を下げるカナリアが声を落として呟く。
「やっぱり……ダメ……?」
「あ……いえ、ダメという訳では……。でもどうして?」
「お茶の時間に食べるクッキーを焼きたいの」
お菓子を作りたいという彼女に、ナタリーは思案するように睫毛を伏せる。アズベルトに許可を取らなければ難しいかと予想していたカナリアは、すっかり肩を落としてしまった。
「やっぱり、私がキッチンを使うだなんて、おかしいわよね?」
「そんな事ないわ! 少し驚いただけ。お菓子作りくらいなら大丈夫だと思うし、私も手伝うから一緒に作りましょう」
「本当? 本当に良いの?」
「ええ」
途端に顔を綻ばせる姿に、ナタリーの頬も緩む。
「嬉しい! ナタリー、ありがとう!! ……あ、その……」
喜んだと思ったら、今度は何かを探るように、言いにくそうにナタリーを伺い見てくる。
「アズは、甘いものとか食べる人……?」
「ええ。特にお嫌いなものは無いわ」
「そう。……いや、その、お世話になってるから……その……」
「きっと、お喜びになると思うわ」
そう伝えた時の彼女の表情が本当に可愛らしくて天使のようで、ナタリーはズキズキと疼く胸の痛みを堪えながら、いつも通りの笑顔を浮かべたのだった。
毎日の食事も液体状のものから通常の食事へとすっかり移り変わった頃には、カナリアの身体は本来の調子を取り戻していた。
元々滑らかで白かった肌には艶が戻り、胸周りにも張りが出た。細かった腕や足もふっくらしてきたし、小振りなお尻にもしっかり弾力が戻った。アズベルトにとっても、ナタリーにとっても喜ばしい事だ。
何より思うように動かない自分の身体にフラストレーションが溜まっていたカナにとっては喜ばしい限りだ。
ナタリーもカナリアが精力的に動いて何でもやろうとする姿は本当に嬉しかった。
今まで一緒にやりたいと思っていた手仕事を一緒にやってみたり、協力して作ったお菓子を食べておしゃべりしたり、国についての歴史書を読んだり、フォーミリオ領について学んだり。
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しかし、心の奥の方で僅かに燻っている違和感をずっと拭えないままだった。
心を覆っている薄い膜には見えない傷が無数に刻まれている。それでもナタリーは最後の希望に望みを託し、その傷は見えないフリをしていた。
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アズベルトならきっと何とかしてくれる。カナリアはきっと戻ってくる。その思いだけが、ナタリーの気持ちを奮い立たせる唯一の拠り所だったのだ。
朝食後、ナタリーは今日も登城するというアズベルトを見送った。
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※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
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