吸血鬼の憂鬱

うみぼうず

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二章 危機

第七滴 吸血鬼会議

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プリムラの進行の元、会議が始まった。
今日の議題は『減っていく吸血鬼とその対策について』

「……と、今までの説明の通り、吸血鬼の数が減っているのは分かるわね?」

説明が終わり、プリムラが皆を見回して合意を待つ。

「ねぇ、姉さん」
と、そこでノイがプリムラに質問を投げかける

「ボク達吸血鬼って、「不老不死」だよね?じゃあ、なんで吸血鬼の数が三百年前に比べて二十人も減ってるの?おかしくないかい?」

「……確かに、ノイの言う通りだよ。腑に落ちない。
今の吸血鬼はオレ達十四人と、地方に散ってる数十人がいいところ。死ぬはずのない吸血鬼が死ぬなんて変だよ」
カインもノイに賛同してプリムラに言う。

「ええ、それに関しては今リオとカルラにも探ってもらって調査中なのだけど。人間側が、私達の知らない、何か「武器」のようなものを隠し持ってるんじゃないかと推測してるのよ。」
プリムラのその発言により、吸血鬼達の顔が一気に緊張に走る。

「「武器」……ですか。私達を殺せるようなものなんて……あるんでしょうか。」
セシルが不安そうに、プリムラを見る。
プリムラは難しい表情のまま
「ある……んでしょうね。きっと。それが何なのかがまだ分からないけど、吸血鬼が死んでいるのは紛れもない事実よ。」
そう答える。

「にしてもさぁ、おれ達は「不死」なのに「死ぬ」んだろ?それって、不死の力が働かない・・・・・・・・・ってことだよな?」
リオが頭の後ろで手を組んで、背もたれにもたれて前後に揺れながら言う。
その一言に皆がハッとしたようにざわつきだす。
「そうか、確かにそうだよな。」
「不死の力を無効にする「武器」……?」
「そんなものあるのか?」
「あるんだとしたら……人間達は脅威になるぞ」

「でも、全ての人間がその力を使えるわけじゃないみたいなのよ。」
プリムラが、不安になっている皆に告げる。
「そうよね?カルラ」  

プリムラに話を振られたカルラは、フッと笑って
「うん、そうだよ。少なくとも、僕等が住んでる人里ではそういうたぐいの武器やらを持ってる人はいない。」
僕はなんにでも擬態できるからね~とニコニコして付け加える。

「では、人間達の中でも上位の存在……王国騎士やその王が所持している可能性はあるな。」
サリバがそう呟くと、プリムラが大きく頷く。
「ええ、私もそこに目をつけているわ。……でも、私達が生き残るためにはその「国」を滅ぼしていく必要があるでしょう?気の遠くなる話よ……」

皆がウーンと考え込んでいると 

「ねぇねぇ、数が減っているならサ、増やせばいいんだヨ!」

水冷シュイロンがウキウキと提案した。 

「増やす……?」
プリムラが聞き返すと
「ウン!産むんだヨ!もしくは「吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライド」にするとかサ!」

その言葉にサリバがピクッと反応したが、すぐに戻った。
「産むって……誰が」
「サリバだヨ!」

「「「「「はぁぁあぁぁあああ!?」」」」」

全員が一斉に叫んだ。ギゼラに至っては、理解ができないといった風に頭を振っている。

「サリバ、ケイとできてんダロ?「吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライド」だもんナ!だったら産めるでショ?ねぇ、産めるでショ??」
水冷シュイロンが好奇の眼差しでサリバを見つめる。キラキラと輝いているその瞳に、悪意はなかった。ただ純粋に、心からそう信じているようだ。

「え、いや……」
サリバは目を泳がして狼狽える。
ケイに助けを求めたが
「ニヤニヤ」  
……助けを乞う相手を間違えた。

と、その時
「あのねぇ、水冷シュイロン
プリムラの助けが入った。
「男が子供産めるわきゃないでしょうが」

「え、ナンデ?種付けしたらできるヨ」
「身体の作りが違うんだからできないのよ。そもそも、ケイとサリバはできてません。サリバはちゃんと、女性が恋愛対象です!」

「「がーーーん!!」」
二人分の声が聞こえたが、そこは皆無視する。

と、そこでセシルがおずおずと
「あの、でしたら、「人間に産ませる」というのはどうでしょうか」
そう提案した。

「「吸血鬼の子ダンピール」を作るという事ね?」
「はい。」

プリムラが大きく頷きながら「いい提案ね」と言う。
「なら、「吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライド」と「吸血鬼の子ダンピール」両方作るというのでいいかしら。」
プリムラがそう言うと
「「吸血鬼の花嫁ヴァンパイア・ブライド」の成功率は限りなくゼロに近い。屍生人ゾンビや魔物になって再起不能になることを考えると、「吸血鬼の子ダンピール」を作る方が効率的だ。」
とサリバが意見する。

これは最もな意見であり、誰も反論するものは現れない。たった一人だけ成功した例であるサリバが言うと、特に説得力があるのだ。

「サリバの言う通りね。無闇に屍生人ゾンビや魔物を作ることはないわ。じゃあ、「吸血鬼の子ダンピール」を作るというのでとりあえず決定ね。」

「ボク達を殺せる「武器」についてはどうする気だい?」
ノイが、水冷シュイロンによって忘れ去られていた武器について掘り返すと

「対処法が分からないから、出くわしたらとりあえず逃げて。「吸血鬼の子ダンピール」を作って吸血鬼を増やしつつ、武器について皆調査すること。」

プリムラの指示に、全員が「応!」と答え、とりあえず会議は終了した。

「まさか、「子孫を残す」なんて、人間みたいなことする日が来るとはねぇ」
カインがそう呟くと、
「よかったよね。不能になってなくてさ」
とノイが苦笑して答えた。

外へ出ると、土砂降りだった雨は上がり、空には虹がかかっていた
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