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八 先生、咲桜になにしたんですか?
side咲桜2
しおりを挟む「記憶がなくなる前はどうだったの? ってか――お母さんのこと……?」
「話した。全部、知ってることは」
「……珍しいね」
「うん……」
笑満は静かな眼差しで私を見て来た。桃子母さんのことを私から話したのは、流夜くんが三人目だった。
一人目と二人目は同じときで、小学生の頃の笑満と頼だ。
でも、二人に話したのは、友達になってから三年近く経ってから。それを、『流夜くん』とは出逢ってから数日で話してしまった。目の前で発作を起こしたから、なのかな……? どうして話してしまったか、自分でもよくわからなかった。
「……目の前で発作起こしちゃった言い訳ついでだったのか、話したかったからなのか……わからない」
私の視線は相変わらず下を向いている。笑満は、私が在義父さんと血の繋がりはないことも知っている。……全部、話してある。
「じゃあそれはあとで考察しよう。お母さんのことを話して、いつの間にか寝ちゃった、ということでいいの?」
「うん。いつの間にか……」
しゅかああっと、頬が一気に熱くなった。い、言っていいのかな、これ……言うの恥ずかしいわっ!
「咲桜? 話せるね?」
笑満に笑顔で脅された。
言うしかないのか……。笑満に隠し事ってのやだしなあ。
腹を決めても言うのには勇気がいって、恥ずかしさ対策に顔を手で覆ってから話した。
「………流夜くんに抱きしめられました……」
「きゃーっ!」
笑満の黄色い悲鳴が聞こえて、耳もふさぎたくなった。いや、笑満の口を塞ぐべき? けれど私の腕は四本ない。顔を隠すだけで精いっぱいだ。
「それはなに? 流夜くんから? 咲桜から?」
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