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四 殺すために生き続けた鬼と護るために生き続けた鬼
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しおりを挟む「呪阻?」
湖雪が返すと、桃花の声が震えだした。
「ゆきこを殺すため、だから、逃げ……っ」
言葉が終わる前に、ぼこっと、鬼の身体が歪に膨らんだ。
「桃花……っ」
湖雪が抱きしめようと手を伸ばすが、櫻がそれを遮った。
「離れろ、湖雪」
櫻が鬼を突き飛ばし、湖雪を背に庇う。
「櫻!? 旭日さんは……」
「呪阻って、いつのもんだよ、これ」
鬼の身体は原形を留めないほどに膨張し、歪む。
「湖雪っ、虹琳寺の、近づくなよ、こいつは俺が殺る」
「櫻! 駄目だってば!」
湖雪は櫻の腕にすがりつく。しかし櫻は冷たく湖雪を追い払う。
「お前にとって大切な奴かもしれないが、もうお前を殺すことしかしないぞ、この鬼は」
「殺すって……」
身体から血の気が引くのがわかる。急に手足が冷えてきた。
「お前を殺すために仕組みこまれた呪詛だ。恐らく、こいつが初めて鬼として死んだときにかけられたんだろう」
湖雪を殺すための呪阻。夏桜の血を……根絶やしにするために。
「鬼の自我が目覚めれば自動的に発動するように仕掛けられていたみたいだな。……何千年の昔に」
「それって……」
桃花を殺した、鬼。
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